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4章 街での日々とご近所さん
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そんな会話に、周りの兵士が大きく反応する。
「えっ、これを宿舎で⁉︎」
「んなわけあるか。 焼く前に付けてみるってことだよ」
「ああ……」
「けど、パサつかないだけでも御の字じゃねぇか?」
「だよなぁ!」
そう言い合いながら、兵士たちは自分の席に戻り、酒をご機嫌に飲み始める。
……粉イモを横流し――いや、あの人数分はなー。 ただでさえ、うちの消費量も激しいし……――しかし見事に、星蒼族のための植物に反応するよねー。
実際美味しかったけどさぁ。 ……完全にあの女のファインプレーで軽く鬱。
――ただ、最近気が付いたんだけど、結果、私が作った料理が賞賛を浴びるのであれば、それはそれで有り。 なんならちょっと、やり返した気になれるから、結構気分がいい。
別にこれはパクリでもなんでもないからね。 私はただ知ってる食材を使って調理しただけだし。
次から次へと兵士がやってきて、我が家の庭先で酒盛りを始める。 あらかたの料理を出してしまったら、あとは料理を一つのテーブルにまとめ、兵士たちにお任せだ。
追加の食材が置かれてることも多くなってきたので、これからくる兵士もいるみたいだ。
そしてようやく私たちは晩ご飯。
……って言ってもパンが焼きあがったりメインが出来上がった段階で軽くは食べてるんだけどね。 ちょっと遅いおやつみたいなもん。 ちゃんとご飯は食べるからきっと問題ない。
「……姉ちゃん」
ロランがお腹を抑えながら切なそうに私を呼ぶ。 だよねー? お腹空くよねー? みんな食べてるんだもんねー?
「うん。 もうご飯だよ」
「お、そんな時間か。 ロラン、今日はお前のスープなんだからたくさん食えよ?」
「うん!」
「プリムだってたくさん食べるもんなー?」
「たべるー!」
「ウィリムとダリアもたくさん食えー」
そんな兵士たちの言葉に笑いながら頷く。
「じゃあ、あとよろしくお願いします」
「まかしときなー」
「またなー」
「明日なー」
「明日じゃねえよ、月の日だよ」
そんな会話をしている兵士たちに手を振りながら家へと入る。
あの兵士たちは基本的に、うちの庭で飲み食いをして帰る。
たまにパンだけとか、メインだけで持って帰る人もいるけど、殆どの人がうちの庭で酒盛りだ。 絶対に最後までは付き合っていられないので、あらかた配り終えるか、ロランやプリムの空腹が限界になったら兵士たちに任せて、私たちは中へと引き上げる。
後片付けは兵士にお任せだ。 って言っても、鍋や大皿を水の張ったタライに入れておくだけだけど、やってあるとないとじゃ大違いだから、とても感謝している。
それに最近は、個人の食器も洗わなくて済むようになったので、これもだいぶラク。
「えっ、これを宿舎で⁉︎」
「んなわけあるか。 焼く前に付けてみるってことだよ」
「ああ……」
「けど、パサつかないだけでも御の字じゃねぇか?」
「だよなぁ!」
そう言い合いながら、兵士たちは自分の席に戻り、酒をご機嫌に飲み始める。
……粉イモを横流し――いや、あの人数分はなー。 ただでさえ、うちの消費量も激しいし……――しかし見事に、星蒼族のための植物に反応するよねー。
実際美味しかったけどさぁ。 ……完全にあの女のファインプレーで軽く鬱。
――ただ、最近気が付いたんだけど、結果、私が作った料理が賞賛を浴びるのであれば、それはそれで有り。 なんならちょっと、やり返した気になれるから、結構気分がいい。
別にこれはパクリでもなんでもないからね。 私はただ知ってる食材を使って調理しただけだし。
次から次へと兵士がやってきて、我が家の庭先で酒盛りを始める。 あらかたの料理を出してしまったら、あとは料理を一つのテーブルにまとめ、兵士たちにお任せだ。
追加の食材が置かれてることも多くなってきたので、これからくる兵士もいるみたいだ。
そしてようやく私たちは晩ご飯。
……って言ってもパンが焼きあがったりメインが出来上がった段階で軽くは食べてるんだけどね。 ちょっと遅いおやつみたいなもん。 ちゃんとご飯は食べるからきっと問題ない。
「……姉ちゃん」
ロランがお腹を抑えながら切なそうに私を呼ぶ。 だよねー? お腹空くよねー? みんな食べてるんだもんねー?
「うん。 もうご飯だよ」
「お、そんな時間か。 ロラン、今日はお前のスープなんだからたくさん食えよ?」
「うん!」
「プリムだってたくさん食べるもんなー?」
「たべるー!」
「ウィリムとダリアもたくさん食えー」
そんな兵士たちの言葉に笑いながら頷く。
「じゃあ、あとよろしくお願いします」
「まかしときなー」
「またなー」
「明日なー」
「明日じゃねえよ、月の日だよ」
そんな会話をしている兵士たちに手を振りながら家へと入る。
あの兵士たちは基本的に、うちの庭で飲み食いをして帰る。
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後片付けは兵士にお任せだ。 って言っても、鍋や大皿を水の張ったタライに入れておくだけだけど、やってあるとないとじゃ大違いだから、とても感謝している。
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