これは私の物語

笹乃笹世

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4章 街での日々とご近所さん

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「んじゃ姉ちゃんの料理全部!」
「そんなのプリムもだもん!」

 じゃれ合いや遊びの一環とは分かっていても、それでも自分が作った料理が全部好きだと言われて、顔を引き締めることが出来ない。 でも少し気になったのでニヨニヨと笑いながら質問する。

「――2人の1番は? とっておきで大好きなのはなに? あ、ウィリムもあったら教えて欲しい」
「1番……?」

 その質問にしばらく考え込む3人。
 やがてロランがポソリとぶっきらぼうに答えた。

「……ウサギのシチュー」

 ついさっき言ったことなので、ちょっと恥ずかしかったんだろう、少し怒ったようにそっぽを向いている。

「――今夜はとびきり美味しいの作っちゃう」

 その言葉に少しニヤッと笑いながら頷くロラン。

「プリムはー、プリムはねー。 ……やっぱりジャムの!」
「そっか。 プリム甘いの好きだもんね?」
「うん!」

 プリムの答えにニコニコと笑い合う。
 今は桃のジャムしかないけど、またなにかたくさん取れたら、それもジャムにしようかな。

 そして私たち3人の視線がウィリムに向く。 じっと見つめられたウィリムは少し困ったように笑って、からのスープボウルを持ち上げた。

「……これかな?」
「――ウィリムのスープってこと?」

 私の言葉に少しだけ首を傾げて話し始める。

「……ホロホロ鳥が丸ごと入ったスープを外で食べること、かな。 初めて食べたけとすごく美味しかったし……なんかやっぱり外でご飯食べるのが好きで……」

 言いながら恥ずかしくなってしまったのか、どんどん眉間に皺がよっていく。 
 ――私の弟、どっちも可愛すぎだろ……

「今日天気いいし……外で食べるご飯ってなんか特別で美味しいよね?」
「うん。 なんか特別」

 私の言葉に頷くウィリム。

「また来週来る⁉︎」
「ホロホロ鳥食べる⁉︎」

 そんなロランたちの言葉に思わずウィリムと顔を見合わせて笑ってしまった。



「――おっ! 帰ってきたな」
「無事かー?」

 森から出て、4人で仲良く薪を背負って、仲良く歩いていくと、門番をしている兵士たちが私たち気がついて手を振ってくれる。 
 
「ただいまー!」
「たくさん獲ったよー!」

 ロランとプリムが手を振りかえしながら応える。

「――なんだ大量だなぁ⁉︎」

 兵士の1人がウィリムやロランの腰に括り付けられたカモやキジに目を丸くする。 あれから数匹追加で捕まえたので、明日もめでたくウィリムのスープになることが決定した。

「あとね、ウサギも捕まえたし、ホロホロ鳥も捕まえたんだ!」
「すげーな? ……このキジは?」

 兵士がロランの腰にぶら下がるキジのことをたずねる。 するとロランは鼻の穴を膨らませながら胸を張って答えた

「俺が捕まえた」
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