これは私の物語

笹乃笹世

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6章 ヘソ曲がりとチョコレート

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 ――タッグを組んでどっちも買っちゃえよと囁いてくる……そりゃそうだよ。 どっちも私だよ。
 チョコレートなんかどれだけあったっていいんだから……――しかもまた買いに来るってなってもこの人混みが解消されてなかったら私たちだけじゃ厳しいし……

「――ココア3つと……すいません追加でダークも一枚下さい」

 その宣言に、弟たちからの「おお……」と驚愕と感嘆が入り混じったような吐息が漏れ、お姉さんからは「3つも⁉︎」という驚きの声が漏れ出た。

 冬場の甘いココアは最高ですよ?
 コツは牛乳で作ることです。
 水でも悪くは無いですけど……やっぱり牛乳が至高ですね。

「……ただいまご用意しますねー」

 笑顔を取り繕って奥に引っ込むお姉さん。
 その背中を眺めていると弟たちが興奮したように顔を突き合わせる。

「すごい! チョコレートたくさん!」
「全部食べられるな!」
「ココアはどんな味なんだろうな……?」

 興奮しながらも頑張って声をひそめている弟たち会話にクスリと笑いながら返事を返していく。

「全部食べられるけど、毎日ちょっとずつね?」
「毎日食べるの⁉︎」
「――すっごい薄く切っちゃうかも……ジャン兄さんのチーズぐらい」

 私の言葉に弟たちはきゃらきゃら笑いながら「薄すぎー」とか「向こうが見えちゃう」なんてじゃれあっている。
 ……あの頃はそれでもチーズが食べられたらご馳走だったけど――裕福になったもんだ……――この生活をいつまでも手放さないよう頑張ってお金貯めて、いつまでも分厚いチーズやチョコレートを気兼ねなく食べられるような大人になろうね……!

 代金をプレートで支払って、少し上等な紙袋にまとめられた品物を受け取る。
 この世界基準の“上等”なので、持ち手も付いていなければ撥水加工もしていない普通の紙袋だったが、お店のロゴがキレイに印刷されただいぶ厚手の紙袋だ。
 私はそれを素早くバッグの中に入れて、人の隙間を縫うようにカウンターから離れた。

「……予算は1金貨分と言っていなかったか?」

 再びスカスカの入り口付近にやってくると、クスリと笑うエルベルトさんがからかうようにたずねてきた。
 ……そんなことを言ったような気もしますけど……――だって三種類もご用意されてるとは思わないじゃん……?

「……初めは、まずこれだけ買って帰って食べてみてから――って思ってたんですけど……この人混みの中をまた買いに来るのかぁ……とか、私たちで買いにこれるかなぁ? とか考えてしまって……」

 そう言いながら、ガラスの向こうの人でごった返す大通りを眺める。
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