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「ーーえ、売り切れ……ですか?」
購買部のカウンターの前に立ち、リアーヌは店員に言われた言葉を呆然と繰り返していた。
「申し訳ございません」
再び頭を下げる店員に、リアーヌは困ったように眉を下げた。
その近くにいたビアンカはクスクスと少々場違いな笑い声を漏らすと、楽しそうに口を開いた。
「あらあら。 今回は手が込んでいますこと」
リアーヌがなかなか音を上げないことに焦れたのか実行犯が変わったのか、最近の嫌がらせが、机の飾りつけから、リアーヌの私物ーー主に教科書などーーに悪戯をする、という方法に変わってきていた。
そして方法が変わり数日、移動教室から戻ったリアーヌが目にしたのは、午後一番で使うテキストや教科書の変わり果てた姿だったーー
ゲンナリしつつも、いつものように新しい教科書を買いに購買部へとやってきたリアーヌたちだったが……今回は購買部の教科書を買い占めるというアフターフォローまで追加されていた。
(ビアンカが勧めてくれた通りに『失礼な断り方してごめんなさい』って意味の手紙を出したんだから、もう許してほしい……もしくはシカトの方向性へのシフトチェンジ希望)
「もー……ーービアンカ見せてくれる?」
しょんぼり……と眉を下げながら購買部を後にしたリアーヌは、廊下をトボトボと歩きながら縋り付くような視線をビアンカに向けた。
「……今ならばよろしくてよ」
「ーー今?」
ビアンカの含みのある答えにリアーヌは首を傾げ、疑問を態度で表した。
「ーー授業中はお断りよ。 そこまであちら様と明確に対立するつもりはないの」
「なんて友達がいの無い……」
リアーヌはジットリとした視線でビアンカを眺めつつも、どこか納得したような様子であった。
それも当然のことで、このことはビアンカが、リアーヌへの嫌がらせが始まった当初から公言していたことであった為だ。
『私は貴女を気に入っているし、友人だとも思っているけれど“味方”にはならないとお理解しておいてちょうだいね』
この学院には、この国のほとんどの貴族の子息、令嬢が通っている。
学校でのいざこざが、数年後、家同士の関係に影響を与えることは十分に考えられることだった。
そして、それを言われたリアーヌも(なんで薄情な……)と思いはしたが、そもそもこの現状を招いた原因が(ライバルキャラたちの取り巻きなんかになったら、ヒロイン虐めろって命令されて、結局最後には家に迷惑をかけるかも⁉︎)という想いからであった為、自分のことを棚に上げ「友達なら味方になってよ!」とは言えなかった。
(ーーそれとなくヴァルムさんにたずねたところ「ミストラル侯爵家とシャルトル公爵家家でございますか? そうですね、その二つの家であればお嬢様のご友人に相応しいかと……」ってニコニコしてたもんな……ーー確かにすごい家なのは分かりますけど、それ五分の二でお家没落コースなんですわぁ……)
「ーーで? どうしますの?」
廊下を歩いていたビアンカがそう言いながらピタリと立ち止まった。
「え……?」
なぜビアンカが立ち止まってしまったのか、訳も分からずキョトン、と見つめ返すリアーヌ。
ビアンカはそんなリアーヌの様子に呆れたように肩をすくめると、腰に手を当てながら口を開いた。
「だから“今”からならば、見せられると言っているでしょう?」
そう言いながらビアンカは何かに手をかざすような仕草をしてみせた。
その動きはリアーヌがギフトを使う時の仕草に酷似していて、そこでようやくリアーヌはビアンカが何を言いたいのかを理解した。
「ーー見る! 見ちゃう‼︎ ありがとうビアンカっ!」
そう言いながらビアンカに抱きつくリアーヌ。
その行為は、貴族の令嬢としては決して誉められたものでは無かったが、抱きついた側もリ抱きつかれた側も、楽しそうにクスクスと笑い合っていた。
購買部のカウンターの前に立ち、リアーヌは店員に言われた言葉を呆然と繰り返していた。
「申し訳ございません」
再び頭を下げる店員に、リアーヌは困ったように眉を下げた。
その近くにいたビアンカはクスクスと少々場違いな笑い声を漏らすと、楽しそうに口を開いた。
「あらあら。 今回は手が込んでいますこと」
リアーヌがなかなか音を上げないことに焦れたのか実行犯が変わったのか、最近の嫌がらせが、机の飾りつけから、リアーヌの私物ーー主に教科書などーーに悪戯をする、という方法に変わってきていた。
そして方法が変わり数日、移動教室から戻ったリアーヌが目にしたのは、午後一番で使うテキストや教科書の変わり果てた姿だったーー
ゲンナリしつつも、いつものように新しい教科書を買いに購買部へとやってきたリアーヌたちだったが……今回は購買部の教科書を買い占めるというアフターフォローまで追加されていた。
(ビアンカが勧めてくれた通りに『失礼な断り方してごめんなさい』って意味の手紙を出したんだから、もう許してほしい……もしくはシカトの方向性へのシフトチェンジ希望)
「もー……ーービアンカ見せてくれる?」
しょんぼり……と眉を下げながら購買部を後にしたリアーヌは、廊下をトボトボと歩きながら縋り付くような視線をビアンカに向けた。
「……今ならばよろしくてよ」
「ーー今?」
ビアンカの含みのある答えにリアーヌは首を傾げ、疑問を態度で表した。
「ーー授業中はお断りよ。 そこまであちら様と明確に対立するつもりはないの」
「なんて友達がいの無い……」
リアーヌはジットリとした視線でビアンカを眺めつつも、どこか納得したような様子であった。
それも当然のことで、このことはビアンカが、リアーヌへの嫌がらせが始まった当初から公言していたことであった為だ。
『私は貴女を気に入っているし、友人だとも思っているけれど“味方”にはならないとお理解しておいてちょうだいね』
この学院には、この国のほとんどの貴族の子息、令嬢が通っている。
学校でのいざこざが、数年後、家同士の関係に影響を与えることは十分に考えられることだった。
そして、それを言われたリアーヌも(なんで薄情な……)と思いはしたが、そもそもこの現状を招いた原因が(ライバルキャラたちの取り巻きなんかになったら、ヒロイン虐めろって命令されて、結局最後には家に迷惑をかけるかも⁉︎)という想いからであった為、自分のことを棚に上げ「友達なら味方になってよ!」とは言えなかった。
(ーーそれとなくヴァルムさんにたずねたところ「ミストラル侯爵家とシャルトル公爵家家でございますか? そうですね、その二つの家であればお嬢様のご友人に相応しいかと……」ってニコニコしてたもんな……ーー確かにすごい家なのは分かりますけど、それ五分の二でお家没落コースなんですわぁ……)
「ーーで? どうしますの?」
廊下を歩いていたビアンカがそう言いながらピタリと立ち止まった。
「え……?」
なぜビアンカが立ち止まってしまったのか、訳も分からずキョトン、と見つめ返すリアーヌ。
ビアンカはそんなリアーヌの様子に呆れたように肩をすくめると、腰に手を当てながら口を開いた。
「だから“今”からならば、見せられると言っているでしょう?」
そう言いながらビアンカは何かに手をかざすような仕草をしてみせた。
その動きはリアーヌがギフトを使う時の仕草に酷似していて、そこでようやくリアーヌはビアンカが何を言いたいのかを理解した。
「ーー見る! 見ちゃう‼︎ ありがとうビアンカっ!」
そう言いながらビアンカに抱きつくリアーヌ。
その行為は、貴族の令嬢としては決して誉められたものでは無かったが、抱きついた側もリ抱きつかれた側も、楽しそうにクスクスと笑い合っていた。
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