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「ーーやっぱり貴女のギフトって便利ねぇ?」
いつものベンチに座りながら、ビアンカはリアーヌの手元を眺めつつ感心したように言った。
リアーヌはそんなビアンカをチラリと見つめクスリと笑うと、どことなく幼かった頃の弟を思わせるあどけない表情で興味深そうにリアーヌのコピー能力を見つめているその横顔をサッと転写し、クスクス笑いながらビアンカに差し出した。
「ーー私、こんな顔してるんですの……?」
自分がしていたであろう表情を突きつけられたビアンカは、恥ずかしそうに頬を染める。
しかしどことなく嬉しそうに、そっとその紙を受け取った。
「ーー昔はね、その能力使っておやつ代稼いでた」
声をひそめてこっそりとリアーヌは言った。
ーーこれは、自分たちと先代ボスハウト子爵の血の繋がりがないというカミングアウトなどでは無い。
リアーヌたち一家が子爵家を相続する際、作られた、それらしいシナリオだった。
そのシナリオとは、リアーヌたちの父親サージュが、先代子爵様のご落胤ーー隠し子であるというもの。
不正発覚やらで、跡を継げる者がいなくなってしまったボスハウト家に観念した大奥様が、元々ご落胤と知って手元に置いていた夫の隠し子を正式に家に迎え入れ、跡を継がせたーーというのものだ。
血筋が耐えてしまう等の問題も出たが、そこはザームにボスハウトの分家の娘を嫁がせることで、あっさりと解決したのだった。
(大奥様が大雑把なのか、貴族ってそんなものなのか……ーーまぁ私は今の生活の方が嬉しいけどー)
「ーーそれは……合法なお仕事、ですわよね……?」
自分の顔が転写された紙をしまいながら、ビアンカは恐々とたずねる。
コピー能力を使って金を稼ぐという行為が、贋作や贋金作りを連想させたらしい。
「えっ……? ーーだって図書館にはそれをお仕事にしてる人たちいっぱいいたよ……? え、写本って合法でしょ⁇」
「写本……ーーええそうね。 あの……立派なご職業だと思うわ」
リアーヌの答えに、ホッとした様子のビアンカはコクコクと何度も頷きながら答えた。
「だよね⁉︎ よかったー。 実は違法とかだったらどうしようかと思った」
「ごめんなさい。 写本は手書きのイメージが強過ぎて、思い付かなかったのよ」
ビアンカのその答えに、リアーヌはビアンカが大の読書家であることを思い出し、いつも世話になりっぱなしで恩を全く返せていないビアンカに対する、絶好の恩返し方法を思いついた。
「ーーちなみにね?」
「……ええ?」
「この学院の持ち出し禁止図書だってチョチョイのチョイよ?」
「ーー素晴らしいギフトじゃないっ⁉︎」
いつものベンチに座りながら、ビアンカはリアーヌの手元を眺めつつ感心したように言った。
リアーヌはそんなビアンカをチラリと見つめクスリと笑うと、どことなく幼かった頃の弟を思わせるあどけない表情で興味深そうにリアーヌのコピー能力を見つめているその横顔をサッと転写し、クスクス笑いながらビアンカに差し出した。
「ーー私、こんな顔してるんですの……?」
自分がしていたであろう表情を突きつけられたビアンカは、恥ずかしそうに頬を染める。
しかしどことなく嬉しそうに、そっとその紙を受け取った。
「ーー昔はね、その能力使っておやつ代稼いでた」
声をひそめてこっそりとリアーヌは言った。
ーーこれは、自分たちと先代ボスハウト子爵の血の繋がりがないというカミングアウトなどでは無い。
リアーヌたち一家が子爵家を相続する際、作られた、それらしいシナリオだった。
そのシナリオとは、リアーヌたちの父親サージュが、先代子爵様のご落胤ーー隠し子であるというもの。
不正発覚やらで、跡を継げる者がいなくなってしまったボスハウト家に観念した大奥様が、元々ご落胤と知って手元に置いていた夫の隠し子を正式に家に迎え入れ、跡を継がせたーーというのものだ。
血筋が耐えてしまう等の問題も出たが、そこはザームにボスハウトの分家の娘を嫁がせることで、あっさりと解決したのだった。
(大奥様が大雑把なのか、貴族ってそんなものなのか……ーーまぁ私は今の生活の方が嬉しいけどー)
「ーーそれは……合法なお仕事、ですわよね……?」
自分の顔が転写された紙をしまいながら、ビアンカは恐々とたずねる。
コピー能力を使って金を稼ぐという行為が、贋作や贋金作りを連想させたらしい。
「えっ……? ーーだって図書館にはそれをお仕事にしてる人たちいっぱいいたよ……? え、写本って合法でしょ⁇」
「写本……ーーええそうね。 あの……立派なご職業だと思うわ」
リアーヌの答えに、ホッとした様子のビアンカはコクコクと何度も頷きながら答えた。
「だよね⁉︎ よかったー。 実は違法とかだったらどうしようかと思った」
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「ーーちなみにね?」
「……ええ?」
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「ーー素晴らしいギフトじゃないっ⁉︎」
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