【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

文字の大きさ
19 / 1,038

19

しおりを挟む
 大の読書家であり研究者気質のビアンカは、研究学部という大学のような場所への進学を希望していた。
 そしてそこで、戦争や部族間の争い、自然災害等によって地図から消えてしまった国や集落を見つけ、そこに伝わっていた文化や宗教などを調べ上げ、そこには確かに、こんな国や集落があり、どのような人々がどんなふうに日々を過ごしていたのかという事実調べ上げ、その情報を後世へと正しく伝えたいという願いを持っていた。

 しかしながら、そのようなことが書かれているような本は、現王族や国の重鎮たちにとって都合の悪いことが書かれていることも多々あり、体面を考え禁書指定などはしないにしろ、見つけ出し次第燃やす、売り買いできぬように圧をかけるようなことは、日常的に起こっている出来事だった。

 リアーヌはビアンカがそんな本を、一冊でも多く手に入れたいと切望していることを知っていたのだ
 そしてビアンカから聞いた話の中に、この学院に置かれているそんな希少本たちは、研究学部の者たちに借りる優先権があり、それに加え高位貴族の横槍なども入る為、いまだに一冊も一文字も読めていないという話があったことも。

「ーーこの速さで1ページ……一冊なら三十分ーーいえ、死ぬ気でやれば二十分でも……」
「ちょっと……?」

 顎に手を当てブツブツと不穏なことを言い始めたビアンカにリアーヌは眉間に皺を寄せた。

「ーー貴女の可能性の話よ。 本気では無いでしょう?」

 ふふふっと、にこやかな笑顔で言うビアンカ。
 しかしリアーヌはジットリとした視線をビアンカに向け続けた。

 まだ数週間という短い付き合いではあったが、ビアンカのこの完璧な笑顔が本心を隠すための仮面であることを、リアーヌはきちんと理解していたのだ。

「……うんって答えたら死ぬ気で働かせる気?」
「ーーほんの冗談よ」
「いや、絶対本音だったよ」
「ーー……たまに本音を漏らすことくらい許しなさいなーー友達でしょ?」

 いたずらっぽくそう言ったビアンカにリアーヌはぐぬぬ……と言葉を詰まらせた。

「ーーもーっ! その言い方ズルい! しかもビアンカ分かって言ってるよね⁉︎」
「ふふっ それでどうなんですの?」
「……はぁ。 あー……紙をめくってくれたり、本のページをめくってくれる人がいるなら、多分今の二倍は早くコピーできると思う」
「ーー素晴らしいわっ!」

 リアーヌの言葉にビアンカは瞳を輝かせうっとりとリアーヌを見つめた。

(ーー過去一で喜んでいらっしゃる……まぁ、喜ばせたくて提案したんだから期待通りの反応なわけだけど……なぜこんなにも釈然としないのか……)

 しかし、やはりどう考えてみてもビアンカにリアーヌの友達であり続けるメリットは見当たらなかった。
 それどころか、入学早々公爵家や侯爵家とトラブルを起こしたなど、デメリット以外のなにものでもないーーにも関わらず、リアーヌを友達だと言い切った、心優しいビアンカに、リアーヌは改めて少しでも恩を返すことを決意するのだった。

 リアーヌは、自分の時間が許す限り本を写本することを約束し、少し引いてしまうほど上機嫌になったビアンカと共に、教室へと戻って行くのだったーー
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。

三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*  公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。  どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。 ※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。 ※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。

ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~

浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。 「これってゲームの強制力?!」 周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。 ※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

目覚めたら魔法の国で、令嬢の中の人でした

エス
恋愛
転生JK×イケメン公爵様の異世界スローラブ 女子高生・高野みつきは、ある日突然、異世界のお嬢様シャルロットになっていた。 過保護すぎる伯爵パパに泣かれ、無愛想なイケメン公爵レオンといきなりお見合いさせられ……あれよあれよとレオンの婚約者に。 公爵家のクセ強ファミリーに囲まれて、能天気王太子リオに振り回されながらも、みつきは少しずつ異世界での居場所を見つけていく。 けれど心の奥では、「本当にシャルロットとして生きていいのか」と悩む日々。そんな彼女の夢に現れた“本物のシャルロット”が、みつきに大切なメッセージを託す──。 これは、異世界でシャルロットとして生きることを託された1人の少女の、葛藤と成長の物語。 イケメン公爵様とのラブも……気づけばちゃんと育ってます(たぶん) ※他サイトに投稿していたものを、改稿しています。 ※他サイトにも投稿しています。

元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ
恋愛
 侯爵令嬢のアンネマリーは流行り病で生死を彷徨った際に、前世の記憶を思い出す。前世では地球の日本という国で、婚活に勤しむアラサー女子の杏奈であった自分を。  病から回復し、今まで家や家族の為に我慢し、貴族令嬢らしく過ごしてきたことがバカらしくなる。  また、自分を蔑ろにする婚約者の存在を疑問に感じる。 「あんな奴と結婚なんて無理だわー。」  無事に婚約を解消し、自分らしく生きていこうとしたところであったが、不慮の事故で亡くなってしまう。  そして、死んだはずのアンネマリーは、また違う人物にまた生まれ変わる。アンネマリーの記憶は殆ど無く、杏奈の記憶が強く残った状態で。  生まれ変わったのは、アンネマリーが亡くなってすぐ、アンネマリーの従姉妹のマリーベルとしてだった。  マリーベルはアンネマリーの記憶がほぼ無いので気付かないが、見た目だけでなく言動や所作がアンネマリーにとても似ていることで、かつての家族や親族、友人が興味を持つようになる。 「従姉妹だし、多少は似ていたっておかしくないじゃない。」  三度目の人生はどうなる⁈  まずはアンネマリー編から。 誤字脱字、お許しください。 素人のご都合主義の小説です。申し訳ありません。

処理中です...