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馬車の乗りつけ口近くの小部屋の中でリアーヌたちは顔を突き合わせながら、コソコソと小声で話し合っていた。
ここはなんらかの問題が起きて馬車を待つ生徒たちが待合室代わりに使用する場所なので、使用するものはほぼいないと言っても過言では無いのだが、それでも大きな声で出来るような話題では無かったのだ。
「やっぱりゼクス様には言うべきかな……?」
「いつまでも黙ったまま、とはねぇ……」
「ーーもしかして特別手当がついちゃったり⁉︎」
そう言いながら瞳を輝かせるリアーヌにビアンカは少々呆れた顔をしながらも「……まぁ可能性は高いわね」と、少し投げやりな態度で答えた。
「えっじゃあ早速ーー」
「待ちなさい」
立ち上がりかけたリアーヌの腕を素早く引いて、一瞬で元の位置に座らせるビアンカ。
「特別手当……」
「高待遇を受けることが、必ずしも良い結果になるとは限らないわ」
「……そう、なの?」
首を傾げながら、ことの重大性をあまり良く分かっていないリアーヌに対して、ビアンカは何かを堪えるようにゆっくりと息を吐き出した。
「ーーもし、ラッフィナート殿がこの学院に在籍する生徒のギフトを全てコピーしろって言ったららどうするのよ?」
「いや……流石に一個だけとか、多くたって五個までーーとかいう制限があるでしょ⁉︎」
(だって無限にコピー出来ちゃったら、それこそ私がラスボスとかじゃ無いと、ゲームバランスどうにかなっちゃうよ⁉︎ あれだけすごいギフト持ちわんさか出しといて「でも、コピーのギフト持ちがいるから、その子が全部コピーしたら最強になるのかなぁー? あ、名前も出なかったモブなんですけど」とかいうぶっ飛び設定作らないでしょ⁉︎ ……え、作らないよね……?)
「貴女のギフトのことだから、私には詳しく分からないけれど……ーーいくらでもコピー出来てしまう方が問題は複雑になると思うわ」
そう言ったビアンカの声色はリアーヌが不安になるほどに真剣な色を帯びていた。
「ーーそんなトラブルになるほどコピーしたりしないし……」
リアーヌは膝の上で指を忙しなく動かしながら、視線を彷徨わせながら自信なさげに答えた。
心の片隅で(ゼクスに取ってこいって命令されたらどうしよう……)と、考えてしまったためだ。
「ーー私は貴女がギフトをコピー出来るのだと多くの人間に知れ渡ることこそがトラブルの元になると思っているわ」
「……コピー出来るって知られるだけでダメなの?」
「……ダメだと思う方々も多いでしょうね。 ギフトってね、持ってるだけで凄いことなのよーーどんな些細なものでも。 特に……持っていない人から見れば余計にね。 この学園だって、ギフトを持っているーーそれが入学許可証となり得るの」
「専門学科……?」
短く確認をとるリアーヌにビアンカはコクリと頷くだけで答えた。
「もちろんギフトを持っていてもリアーヌのようにきちん受験をする人もいるわ。 でもその能力のみで学園に入る人たちだっているの」
(ーー知っています。 というか……私もそのつもりだったんですよ……)
ここはなんらかの問題が起きて馬車を待つ生徒たちが待合室代わりに使用する場所なので、使用するものはほぼいないと言っても過言では無いのだが、それでも大きな声で出来るような話題では無かったのだ。
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「いつまでも黙ったまま、とはねぇ……」
「ーーもしかして特別手当がついちゃったり⁉︎」
そう言いながら瞳を輝かせるリアーヌにビアンカは少々呆れた顔をしながらも「……まぁ可能性は高いわね」と、少し投げやりな態度で答えた。
「えっじゃあ早速ーー」
「待ちなさい」
立ち上がりかけたリアーヌの腕を素早く引いて、一瞬で元の位置に座らせるビアンカ。
「特別手当……」
「高待遇を受けることが、必ずしも良い結果になるとは限らないわ」
「……そう、なの?」
首を傾げながら、ことの重大性をあまり良く分かっていないリアーヌに対して、ビアンカは何かを堪えるようにゆっくりと息を吐き出した。
「ーーもし、ラッフィナート殿がこの学院に在籍する生徒のギフトを全てコピーしろって言ったららどうするのよ?」
「いや……流石に一個だけとか、多くたって五個までーーとかいう制限があるでしょ⁉︎」
(だって無限にコピー出来ちゃったら、それこそ私がラスボスとかじゃ無いと、ゲームバランスどうにかなっちゃうよ⁉︎ あれだけすごいギフト持ちわんさか出しといて「でも、コピーのギフト持ちがいるから、その子が全部コピーしたら最強になるのかなぁー? あ、名前も出なかったモブなんですけど」とかいうぶっ飛び設定作らないでしょ⁉︎ ……え、作らないよね……?)
「貴女のギフトのことだから、私には詳しく分からないけれど……ーーいくらでもコピー出来てしまう方が問題は複雑になると思うわ」
そう言ったビアンカの声色はリアーヌが不安になるほどに真剣な色を帯びていた。
「ーーそんなトラブルになるほどコピーしたりしないし……」
リアーヌは膝の上で指を忙しなく動かしながら、視線を彷徨わせながら自信なさげに答えた。
心の片隅で(ゼクスに取ってこいって命令されたらどうしよう……)と、考えてしまったためだ。
「ーー私は貴女がギフトをコピー出来るのだと多くの人間に知れ渡ることこそがトラブルの元になると思っているわ」
「……コピー出来るって知られるだけでダメなの?」
「……ダメだと思う方々も多いでしょうね。 ギフトってね、持ってるだけで凄いことなのよーーどんな些細なものでも。 特に……持っていない人から見れば余計にね。 この学園だって、ギフトを持っているーーそれが入学許可証となり得るの」
「専門学科……?」
短く確認をとるリアーヌにビアンカはコクリと頷くだけで答えた。
「もちろんギフトを持っていてもリアーヌのようにきちん受験をする人もいるわ。 でもその能力のみで学園に入る人たちだっているの」
(ーー知っています。 というか……私もそのつもりだったんですよ……)
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