65 / 1,038
65
しおりを挟む
「……私のギフトのことが王家に伝わったら、ボスハウト家に迷惑かけますか……?」
その言葉を聞いたヴァルムは、不安に顔を曇らせるリアーヌを安心させるように必要以上に大げさに笑って見せた。
そして肩をすくめながら「ありえない!」という態度を全面に出して口を開く。
「心配には及びません。 ーー我がボスハウト家は王家に連なる家系にございますれば」
そうにこやかに紡がれた言葉に、リアーヌは安心するどころか、余計に不安に駆られた。
(ーーヤバい。 ヴァルムさんのコレ本気かもしれない……大奥様になにか意見する時とかそう言ってたの聞いたことあるし……でもそれって今から百年ぐらい前の大昔の話なんですよね⁉︎ 今さらその話を出したって「あーそっかぁ……遠い親戚なんだー。 じゃあ無理は言わないよー」とか、絶対ならないじゃんっ!)
「……ほんのちょっぴりだけ、言い過ぎなのかなぁーって思ったり……?」
自信満々なヴァルムにチラチラと視線を投げかけながら、言いにくそうにモゴモゴと口を動かした。
リアーヌの父が突然継ぐことになったボスハウト子爵家。
“王家に連なる”家系ということ自体は、言い過ぎでもなんでもなく、この家が興った当時は、ボスハウト公爵家であった。
当時の王弟が分家を作ることを許され、新しい公爵家として王家を盛り立てる役目を与えられたのだったがーー
先代ーー大奥様の夫ーーが、全くもって自由な人物だった。
各方面で不祥事やスキャンダルを量産し、内部に不和の種を撒き散らし、家の財産を食い潰し続けた結果、ボスハウト公爵家は先代当主の代で二回もの降格処分を受け、現在の子爵の位まで転がり落ちたのだった。
ーー先代の訃報が各家々に届けられた際、ほとんどの家で「とうとう奥方が……」「我慢の限界……」という話がまことしやかに囁き合われたほどにはーー大変に自由な方だった。
ーーつまりボスハウト家が子爵家になったのはここ三十年程度の話であり、貴族にも王族にも公爵家時代を鮮明に覚えている者たちは確実に存在していた。
……ゆえにヴァルムの言い分も、単なる“言い過ぎ”だとは言い切れなかったのだが……
リアーヌや現当主の父たちの世代の中に、当時の記憶を持ち合わせている人々がいないため、それに自覚を持てというのも、到底無理な話であった。
「言い過ぎなことなどございません。 そもそも、貴き血筋がその他の血筋に劣るなどありえません」
キッパリと言い切ったヴァルムにリアーヌは自分の頬が引き攣るのを感じた。
(わあ……なんて差別的なご意見ーー! ……ただ「本当それなー」な、とこがあるんだよねぇ……ーーギフト持ち同士の夫婦の間にはギフト持ちが生まれやすい。 だから貴族階級の者たちは、こぞってギフト持ちを自分の子供の相手にーーと望むのだ。 ーーだからこそ、主人公のハーレムルートが許されたんだって話だったし……ーー公式が言うんだから間違いねぇよ……)
その言葉を聞いたヴァルムは、不安に顔を曇らせるリアーヌを安心させるように必要以上に大げさに笑って見せた。
そして肩をすくめながら「ありえない!」という態度を全面に出して口を開く。
「心配には及びません。 ーー我がボスハウト家は王家に連なる家系にございますれば」
そうにこやかに紡がれた言葉に、リアーヌは安心するどころか、余計に不安に駆られた。
(ーーヤバい。 ヴァルムさんのコレ本気かもしれない……大奥様になにか意見する時とかそう言ってたの聞いたことあるし……でもそれって今から百年ぐらい前の大昔の話なんですよね⁉︎ 今さらその話を出したって「あーそっかぁ……遠い親戚なんだー。 じゃあ無理は言わないよー」とか、絶対ならないじゃんっ!)
「……ほんのちょっぴりだけ、言い過ぎなのかなぁーって思ったり……?」
自信満々なヴァルムにチラチラと視線を投げかけながら、言いにくそうにモゴモゴと口を動かした。
リアーヌの父が突然継ぐことになったボスハウト子爵家。
“王家に連なる”家系ということ自体は、言い過ぎでもなんでもなく、この家が興った当時は、ボスハウト公爵家であった。
当時の王弟が分家を作ることを許され、新しい公爵家として王家を盛り立てる役目を与えられたのだったがーー
先代ーー大奥様の夫ーーが、全くもって自由な人物だった。
各方面で不祥事やスキャンダルを量産し、内部に不和の種を撒き散らし、家の財産を食い潰し続けた結果、ボスハウト公爵家は先代当主の代で二回もの降格処分を受け、現在の子爵の位まで転がり落ちたのだった。
ーー先代の訃報が各家々に届けられた際、ほとんどの家で「とうとう奥方が……」「我慢の限界……」という話がまことしやかに囁き合われたほどにはーー大変に自由な方だった。
ーーつまりボスハウト家が子爵家になったのはここ三十年程度の話であり、貴族にも王族にも公爵家時代を鮮明に覚えている者たちは確実に存在していた。
……ゆえにヴァルムの言い分も、単なる“言い過ぎ”だとは言い切れなかったのだが……
リアーヌや現当主の父たちの世代の中に、当時の記憶を持ち合わせている人々がいないため、それに自覚を持てというのも、到底無理な話であった。
「言い過ぎなことなどございません。 そもそも、貴き血筋がその他の血筋に劣るなどありえません」
キッパリと言い切ったヴァルムにリアーヌは自分の頬が引き攣るのを感じた。
(わあ……なんて差別的なご意見ーー! ……ただ「本当それなー」な、とこがあるんだよねぇ……ーーギフト持ち同士の夫婦の間にはギフト持ちが生まれやすい。 だから貴族階級の者たちは、こぞってギフト持ちを自分の子供の相手にーーと望むのだ。 ーーだからこそ、主人公のハーレムルートが許されたんだって話だったし……ーー公式が言うんだから間違いねぇよ……)
55
あなたにおすすめの小説
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
【完結】ど近眼悪役令嬢に転生しました。言っておきますが、眼鏡は顔の一部ですから!
As-me.com
恋愛
完結しました。
説明しよう。私ことアリアーティア・ローランスは超絶ど近眼の悪役令嬢である……。
気が付いたらファンタジー系ライトノベル≪君の瞳に恋したボク≫の悪役令嬢に転生していたアリアーティア。
原作悪役令嬢には、超絶ど近眼なのにそれを隠して奮闘していたがあらゆることが裏目に出てしまい最後はお約束のように酷い断罪をされる結末が待っていた。
えぇぇぇっ?!それって私の未来なの?!
腹黒最低王子の婚約者になるのも、訳ありヒロインをいじめた罪で死刑になるのも、絶体に嫌だ!
私の視力と明るい未来を守るため、瓶底眼鏡を離さないんだから!
眼鏡は顔の一部です!
※この話は短編≪ど近眼悪役令嬢に転生したので意地でも眼鏡を離さない!≫の連載版です。
基本のストーリーはそのままですが、後半が他サイトに掲載しているのとは少し違うバージョンになりますのでタイトルも変えてあります。
途中まで恋愛タグは迷子です。
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
悪役令嬢の断罪――え、いま婚約破棄と?聞こえませんでしたわ!
ちゃっぴー
恋愛
公爵令嬢アクア・ラズライトは、卒業パーティーの最中に婚約者であるジュリアス殿下から「悪役令嬢」として断罪を突きつけられる。普通なら泣き崩れるか激昂する場面――しかし、超合理的で節約家なアクアは違った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる