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(……でもさ。 考えてみれば当たり前なのよ……ーーかたやギフトが目当てで婚約したビジネス婚約者、かたや真実の愛のお相手、運命の君ーー)
「ーー太刀打ちなんて、しようとすら思わないレベルで勝ち目なしじゃん……むしろ試合開始の合図と共にタオル投げてやれと……」
(そもそもの問題として、主人公がゼクスルートに入らなかったとしても、本当に結婚するのか微妙だと思ってるのに……ルート入ったら確実に捨てられるんだろうな……ーーここって好感度上げるのが全ての乙女ゲームの世界だと思うんだけど……好感度ってどの程度あれば円満な婚約破棄してもらえるんだろう……?)
「ーー……でも悪役令嬢側に問題が無いと、主人公が“人の婚約者横取りしたイヤなやつ”になっちゃうんだよねー……」
このゲームにおいて悪役令嬢の役割はそこまで多くはない。
一つ目は主人公と攻略対象者との間に試練を与えること。
……つまりは主人公に対しての嫌がらせ行為をすることだ。
エピソードや方法は各ご令嬢によって様々だが、行動原理としては自分の婚約者に近付こうとする無礼者への警告、そして婚約者に庇われる主人公への嫉妬だ。
そして重要な役割がもう一つ。
どれだけ嫌がらせを繰り返しても自分の婚約者の側を離れないばかりか、その絆を強固にしていき、他人の婚約者だというのに、自分こそが恋人であるかのように振る舞う主人公の命を狙うことーー
……ここまで来ていれば、このご令嬢のプライドはズタボロ、婚約者に集る羽虫も払えないと、評判も傷だらけ……そこで悪役令嬢たちは強硬手段を取ることを決めるーー
それこそが自身の破滅のトリガーとなってしまうとも知らず……
攻略対象者のほとんどはこの国の有力者となり得る才能溢れる若者たちだ。
その者たちの婚約者なのだから、当然ご令嬢たちの地位も高い。
ーー通常ならば、惚れた腫れた程度の理由で婚約破棄など出来るわけが無いのだ。
しかしそのまま婚約者が犯罪行為に手を染め、それを衆人環視の中で暴露されてしまったとしたらーー?
ーー悪役令嬢の役割は、その人生を台無しにして、主人公と攻略対象者のこれからの未来を切り開くことと言っても過言では無いのだろう……
(ーーえ? 私ってばいつのまにか、そんなものになってしまったんです⁉︎)
「ーーゼクスの好感度とか上げてる場合じゃなく無い……? いや、だからこそ好感度を上げにいかなくてはいけないのか……⁇」
(……たださぁ? これどれだけ好感度上げに行っても、主人公がゼクスルート入った途端、選ばれたのは主人公でしたーってなるやつでしょ……? モチベ上がらさすぎて草ぁ……)
そこまで考えたリアーヌは枕に顔を押し付けながら、ふふふっと自重気味な微笑みを浮かべた。
(ーー憧れのレーシェンド学院に無事入学できて、攻略対象者たちにちゃんと存在を認識してもらえているどころか、お茶会やらデートまでしちゃってること状況下で……ーーこれでも不満タラタラとか……受験勉強してた頃の夢見る私に伝えてあげたいよ……)
「ーー人の欲は成長するって本当なんだぁ……」
そう呟いたリアーヌは、ユル中に襲ってきた睡魔に身を委ねるべく、一つあくびをすると、その瞼をゆっくりと閉じるのだった。
「ーー太刀打ちなんて、しようとすら思わないレベルで勝ち目なしじゃん……むしろ試合開始の合図と共にタオル投げてやれと……」
(そもそもの問題として、主人公がゼクスルートに入らなかったとしても、本当に結婚するのか微妙だと思ってるのに……ルート入ったら確実に捨てられるんだろうな……ーーここって好感度上げるのが全ての乙女ゲームの世界だと思うんだけど……好感度ってどの程度あれば円満な婚約破棄してもらえるんだろう……?)
「ーー……でも悪役令嬢側に問題が無いと、主人公が“人の婚約者横取りしたイヤなやつ”になっちゃうんだよねー……」
このゲームにおいて悪役令嬢の役割はそこまで多くはない。
一つ目は主人公と攻略対象者との間に試練を与えること。
……つまりは主人公に対しての嫌がらせ行為をすることだ。
エピソードや方法は各ご令嬢によって様々だが、行動原理としては自分の婚約者に近付こうとする無礼者への警告、そして婚約者に庇われる主人公への嫉妬だ。
そして重要な役割がもう一つ。
どれだけ嫌がらせを繰り返しても自分の婚約者の側を離れないばかりか、その絆を強固にしていき、他人の婚約者だというのに、自分こそが恋人であるかのように振る舞う主人公の命を狙うことーー
……ここまで来ていれば、このご令嬢のプライドはズタボロ、婚約者に集る羽虫も払えないと、評判も傷だらけ……そこで悪役令嬢たちは強硬手段を取ることを決めるーー
それこそが自身の破滅のトリガーとなってしまうとも知らず……
攻略対象者のほとんどはこの国の有力者となり得る才能溢れる若者たちだ。
その者たちの婚約者なのだから、当然ご令嬢たちの地位も高い。
ーー通常ならば、惚れた腫れた程度の理由で婚約破棄など出来るわけが無いのだ。
しかしそのまま婚約者が犯罪行為に手を染め、それを衆人環視の中で暴露されてしまったとしたらーー?
ーー悪役令嬢の役割は、その人生を台無しにして、主人公と攻略対象者のこれからの未来を切り開くことと言っても過言では無いのだろう……
(ーーえ? 私ってばいつのまにか、そんなものになってしまったんです⁉︎)
「ーーゼクスの好感度とか上げてる場合じゃなく無い……? いや、だからこそ好感度を上げにいかなくてはいけないのか……⁇」
(……たださぁ? これどれだけ好感度上げに行っても、主人公がゼクスルート入った途端、選ばれたのは主人公でしたーってなるやつでしょ……? モチベ上がらさすぎて草ぁ……)
そこまで考えたリアーヌは枕に顔を押し付けながら、ふふふっと自重気味な微笑みを浮かべた。
(ーー憧れのレーシェンド学院に無事入学できて、攻略対象者たちにちゃんと存在を認識してもらえているどころか、お茶会やらデートまでしちゃってること状況下で……ーーこれでも不満タラタラとか……受験勉強してた頃の夢見る私に伝えてあげたいよ……)
「ーー人の欲は成長するって本当なんだぁ……」
そう呟いたリアーヌは、ユル中に襲ってきた睡魔に身を委ねるべく、一つあくびをすると、その瞼をゆっくりと閉じるのだった。
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