【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 空の色が目まぐるしく変化する夕暮れ時、星がその存在を主張し始め、月が光を放つ頃ーー

 リアーヌは家族と共に馬車を降り、この国で一番高貴な場所、王城へと足を踏み入れていたーー

 今日は王城で開かれる、王家主催のダンスパーティの日だ。

(……私まだ社交界デビューしてないのに、なんで参加してるんだろう……ーーって、よく考えたら主人公だってデビューしてないのに当然のように参加してたな……? ならそこまで珍しいことでもないのか……)

 そんなことを考えながら、リアーヌは廊下に敷かれた赤絨毯の上を、両親の後ろに続き歩いていく。
 廊下全体は白で統一されているが、至る所に金の細工が施されていた。
 そして高い天井にはキラキラと眩い光を放つ大きなシャンデリアがいくつもぶら下がっていた。
 リアーヌたちの左手にはライトアップされた噴水が、涼しげな音を立てていた。
 そちらから吹き込む風の心地よさに、リアーヌは思わず顔を綻ばせると、そちらを見つめながら大きく息を吸い込みーー
 警備のために立っている兵士と目が合いビクリと肩を震わせた。

(ーービビったぁ……ーーでもそうだよね? 普通、警備の人がいますよね……⁇ ーー犯罪抑止力のために、もっと目立つところで仰々しく警備したらいいのに……)

 中庭の暗がりに静かに等間隔に並んでいる兵士たちに向かい、チラリと恨めしげな視線を投げつけたリアーヌは、ほんの少しだけ唇を尖らせて、その不満を表現した。

 通り過ぎた背後で、目があった兵士が苦情を漏らしたような気配を感じたような気もしたが、リアーヌはそれを(絶対に気のせい……!)と確信して両親の後ろを歩き続けた。



 パーティー会場に入り、両親の挨拶回りに同行するリアーヌ。
 父のギフトのおかげなのか、デビューしていないリアーヌを気づかった結果なのか、挨拶回りはなんの問題もなく順調に進み、父は知り合いに誘われ男性同士の社交へ、母も女性たちが集まる場所へと誘われていった。

 リアーヌも予定されていたダンスを踊り終えればビアンカと合流することになっているので、一人を少々心細くはあったが、この後合流するはずのダンスのお相手を探し会場内をぐるりと見回した。

(ーー当然だけど、すっごい豪華……あんなデカさのシャンデリアなんか見たことないし……この床って大理石ってやつでしょ……? ーーあっちの食器とかも全部お高そうだし……ーーノド乾いたな……ーーあそこで一人、好き勝手飲み食いしてた主人公はさぞかし目立ったんだろうな……しかもそこで攻略対象者からダンスのお誘いでしょ? そりゃパーティーの話題独り占めだよねー……ーーよく考えたら、主人公ってばマジで恐ろしいことやらかしてるな……?)

 リアーヌは、来年この会場で繰り広げられるであろう一種の悲劇を思い、こっそりため息を漏らした。
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