【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 少しヘソを曲げたリアーヌだったが、明日の朝市にも顔を出してみようか? と言うゼクスの提案に、直ちに機嫌を直し、上機嫌で「頑張ります!」と答えたのだった。

(朝市ってことは絶対海鮮物あるよね⁉︎ 今日もうどこにも置いてなかった新鮮な海の幸が沢山の朝市ってことだよね⁉︎ ーーカニとかエビあるかな? 日本の港みたいに、あら汁とか売ってるお店あったりして⁉︎)

「ーーリアーヌそろそろ始めてもらっても?」

 紅潮させた頬を両手で押さえて、目をキラキラさせながら体をくねらせるリアーヌに、ゼクスがそっと声をかけた。

「あっ……すみません」

 ようやく現実に戻ってきたリアーヌは、そう答えながらじゅるりと音を立てーー……サッと口元を抑え、再び素知らぬ顔をするのだったーー



「ーーお客様、万が一のご不幸に備え、こちらの黒真珠などはいかがでしょうか?」

 客に見立てたゼクスに向かい、すました顔のリアーヌが話しかける。

(さあリアーヌ! 今こそ通販番組を思い出すのよっ! そしてあなたはこの世界のアンミカとなるのっ! すぐそこにある美味しいもののためにっ‼︎)

「いやいや、不幸に備えるなんて縁起の悪いこと言わないでよー」

 ゼクスは芝居がかった口調で答えてはいるが、その目には真剣な色がありありと見てとれた。

「ーーそうですね。 縁起がいいとは口が裂けても言えませんが……ご葬儀とは故人様との最後の思い出を作る場所でございます。 であるならば、それに相応しい服装や装飾品を用意しておくのは、死者に対する最大限の敬意では無いでしょうか?」
「ーーリアーヌそんな喋り方出来たんだねぇ……?」

 通販番組の司会者たちを参考にした結果、いつもよりもだいぶお上品な立ち振る舞いを始めたリアーヌに、ゼクスは呆然と言葉を漏らした。

「ーーえ、終わりですか?」

 あまりの衝撃に普通に返してしまったゼクスに対し、リアーヌは首を傾げながらたずねた。

「あ、ごめん。 単なる感想ーーえっと……服はもう持ってるし、装飾品なんかつけてるほうが死者に対して失礼なんじゃないかなぁ?」

 軽く謝ったゼクスは、多少強引に客役を推し進めた。

「そうでしょうか? 相応しい服装にはそれに相応しい装飾品があって然るべきかと思われますーー特に冠婚葬祭のような重要な儀式の場合にはなおさら」
「……重要な儀式かぁ」

 ゼクスはリアーヌの持ち出す、それらしい言葉選びに感心し、内心で舌を巻いていた。

(冠婚葬祭が重要じゃないことなんかないし、儀式だってもの間違ってないーーこう言われたら装飾品の一つも付けていないのは……って考えるやつは少なくない)
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