【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 ゼクスに見つめられ、驚いたように軽く目を見張ったオリバーだったが、すぐさま困ったように眉を下げると、ヘラリ……と笑う。
 そしてヒョイっと小さく肩をすくめて見せた。
 それはまるで「自分の言葉じゃどうせ止まりませんって……」と言っているかのようだった。
 そんなオリバーにゼクスは顔をしかめつつも小刻みに数回頷いて返事を返した。
 オリバーとリアーヌの関係性を考え、そりゃそうだよな……と納得してしまったからかもしれない。

 ゼクスは、再びハンターな目つきのリアーヌに視線を移すと、これ見よがしに大きなため息をついて見せたーー気がついて欲しかった張本人には、全く気がついてもらえなかったが……

(ーー……ま、いいさ。 ここであの人に恩を売って、損はないんだ……ーーくっそぉ、ヘタ売ったよなぁ……リアーヌが興味を示したんだから、その時に聞き出すなり口止めなりしときゃ良かったって言うのに……)



 朝市に行くため、待ち合わせをしていた宿のフロントに降りてきたリアーヌたち。
 その姿を一目見たゼクスは驚愕に目を見開いた。
 早朝で薄化粧、そしてお忍びの貴族に相応しい量産品のワンピースという服装であったにも関わらず、その肌艶は今まで見た中で一番の輝きを放っていたのだ。
 ゼクスは、自分の肌の調子の良さを誇るように胸を張っているリアーヌに向かい、笑顔を浮かべると、恭しく差し伸べたーー心の中では毒づきながら。

(ーーやられた。 あのメイドに先を越された……)

 さっきの一瞬、リアーヌを初めて視界に入れたその一瞬、目を見開いている自分向かって、アンナが勝ち誇ったような笑みを浮かべたことを、ゼクスは視界の端できちんと把握していた。
 歯軋りでもしてしまいそうになるのを必死に堪えつつ、ゼクスは全力で満面の笑みをリアーヌに向け、その美しさを誉めそやしたのだったーー



(……なんか思い出したら腹立ってきたな……? 大体あのメイドが、多少の恩で情報を口にするとは思えないし……ーーよし、作戦変更だ! こうなったらあの女からの好感度なんて知るか。 リアーヌさえ上機嫌にさせておけばきっと話は聞き出せる。 なら俺が取るべき手段はーー)

「ーーじゃあ、あっちのスープとかお肉とかも食べよっか?」

 ニコリと浮かべた笑顔の下に、商人の顔を隠してゼクスはリアーヌを誘う。

「ーーはい!」

 思惑通り、上機嫌で返事をしたリアーヌに満足げな顔を向けるゼクスだったがーーこれが発端となり、起こってしまう悲劇については、まだ想像すらついていないようだったーー
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