273 / 1,038
273
しおりを挟む
「ーーまぁ行商人に関しては、みんなで話し合って答えを出してくれれば良いんだけど……どうなるか分からないから、行商人を呼ぶ場合の話をしておくね。 ーー当然、行商人から品物を買うなら金が必要になる。 ーー重ねていうけど買う義務は無い、でもまったく金がかからないからーーと考えて来てしまった場合、余計な我慢が必要になるかもしれないね」
「ーー……分かりました。 あの、行商人を断るかどうか、少し時間を貰っても……?」
「あー……出来れば俺たちが帰る前には答えが欲しいかな……?」
ここでの滞在は四日程度を予定していて、今日は二日目だ。
充分ーーとは言えない期間かもしれない、とゼクスは頭の片隅で感じていたが、戻るまでに答えをもらわないと色々な手配が後回しになってしまうので、急がせてはしまうが、それ以上待つつもりは無いようだった。
「ーー十分です」
そう言ってペコリと頭を下げる青年。
そんな青年を眺めていたリアーヌは、ふと父が労働納税から上機嫌で帰ってきた時のことを思い出した。
そしてその途端、ザワザワと感じていた悪寒のような嫌な予感がフッと掻き消えるのを感じて、目を大きく見開いた。
(ーーつまりは今の思いつきが、いい結果に繋がるってこと……なのかな?)
「ーーあの!」
迷いながらもリアーヌは声を上げた。
得体の知れない悪寒にこれ以上苛まれ続けたくは無いーーその思いが、思ったよりも大きな声を上げさせていた。
「……どうかした?」
「ボーナス的なのは出ないんですか?」
「……え?」
「ボーナスです!」
「ーー俺たち今、労働納税の話してるよ
……?」
戸惑ったようなゼクスの様子に、リアーヌは、父サージュがあんなにも上機嫌だったのは、思ってもいない幸運が舞い込んだからだったんだな……と、今更ながらに納得したのだった。
「それでもですよー。 皆がすっごい頑張ってくれたら、ご褒美が出てもいいじゃないですか。 そのほうが絶対捗りますよ⁉︎」
「ーーそれは捗りそうだけど……納税、なんだよ?」
「……ダメですか?」
呆れたようなゼクスの様子に、リアーヌはしょんぼり……と眉も肩も下げて悲しそうな表情を浮かべる。
ーーここでゼクスに断られれば、またあの不愉快な悪寒に苛まれると思い、リアーヌ自身が思っていた以上にガッカリした態度を取ってしまった。
「ーー……例えばどのぐらいかな?」
困ったような微笑みを浮かべながらゼクスはたずねる。
意見を聞くという建前でリアーヌの同席を求めた以上、ここであっさりと意見を突っぱねることに、気が引けたようだった。
「ーー……分かりました。 あの、行商人を断るかどうか、少し時間を貰っても……?」
「あー……出来れば俺たちが帰る前には答えが欲しいかな……?」
ここでの滞在は四日程度を予定していて、今日は二日目だ。
充分ーーとは言えない期間かもしれない、とゼクスは頭の片隅で感じていたが、戻るまでに答えをもらわないと色々な手配が後回しになってしまうので、急がせてはしまうが、それ以上待つつもりは無いようだった。
「ーー十分です」
そう言ってペコリと頭を下げる青年。
そんな青年を眺めていたリアーヌは、ふと父が労働納税から上機嫌で帰ってきた時のことを思い出した。
そしてその途端、ザワザワと感じていた悪寒のような嫌な予感がフッと掻き消えるのを感じて、目を大きく見開いた。
(ーーつまりは今の思いつきが、いい結果に繋がるってこと……なのかな?)
「ーーあの!」
迷いながらもリアーヌは声を上げた。
得体の知れない悪寒にこれ以上苛まれ続けたくは無いーーその思いが、思ったよりも大きな声を上げさせていた。
「……どうかした?」
「ボーナス的なのは出ないんですか?」
「……え?」
「ボーナスです!」
「ーー俺たち今、労働納税の話してるよ
……?」
戸惑ったようなゼクスの様子に、リアーヌは、父サージュがあんなにも上機嫌だったのは、思ってもいない幸運が舞い込んだからだったんだな……と、今更ながらに納得したのだった。
「それでもですよー。 皆がすっごい頑張ってくれたら、ご褒美が出てもいいじゃないですか。 そのほうが絶対捗りますよ⁉︎」
「ーーそれは捗りそうだけど……納税、なんだよ?」
「……ダメですか?」
呆れたようなゼクスの様子に、リアーヌはしょんぼり……と眉も肩も下げて悲しそうな表情を浮かべる。
ーーここでゼクスに断られれば、またあの不愉快な悪寒に苛まれると思い、リアーヌ自身が思っていた以上にガッカリした態度を取ってしまった。
「ーー……例えばどのぐらいかな?」
困ったような微笑みを浮かべながらゼクスはたずねる。
意見を聞くという建前でリアーヌの同席を求めた以上、ここであっさりと意見を突っぱねることに、気が引けたようだった。
35
あなたにおすすめの小説
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
【完結】ど近眼悪役令嬢に転生しました。言っておきますが、眼鏡は顔の一部ですから!
As-me.com
恋愛
完結しました。
説明しよう。私ことアリアーティア・ローランスは超絶ど近眼の悪役令嬢である……。
気が付いたらファンタジー系ライトノベル≪君の瞳に恋したボク≫の悪役令嬢に転生していたアリアーティア。
原作悪役令嬢には、超絶ど近眼なのにそれを隠して奮闘していたがあらゆることが裏目に出てしまい最後はお約束のように酷い断罪をされる結末が待っていた。
えぇぇぇっ?!それって私の未来なの?!
腹黒最低王子の婚約者になるのも、訳ありヒロインをいじめた罪で死刑になるのも、絶体に嫌だ!
私の視力と明るい未来を守るため、瓶底眼鏡を離さないんだから!
眼鏡は顔の一部です!
※この話は短編≪ど近眼悪役令嬢に転生したので意地でも眼鏡を離さない!≫の連載版です。
基本のストーリーはそのままですが、後半が他サイトに掲載しているのとは少し違うバージョンになりますのでタイトルも変えてあります。
途中まで恋愛タグは迷子です。
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる