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ゼクスの説明を聞いて顔色を悪くしていた薪屋だったが、同じくゼクスの説明を聞いて、コクコクコクとすがるように何度も大きく頷く。
悲しいことにこの村の人々は、貴族の横暴さなど、痛いほどに理解していたのだ。
「ーーよろしくお願いします……!」
「はーい。 じゃあ……大まかな話し合いはこんな所かなー? ーー税金の額についてはまた改めてはなしあいましょう。 物納についての細かいことが決まらないと納得も出来ないでしょうし……」
ゼクスはそう言いながら集まった村人たちの顔をグルリと見たわしていく。
その時、会場の端のほうに座っていた痩せ型で少々気弱そうな男性が、おずおずと手を上げた。
「……なにか質問かな?」
「その後……もしよければ……ーー俺んトコにも……」
そう言いながら男性はチラチラと薪屋やティーダーたちやリアーヌに視線を移し、言外に不公平だ、と伝えていた。
「ーーまぁ……言いたいことは分かるけどねー……」
ゼクスは困ったように首の後ろを撫で付けながらリアーヌに視線を流す。
リアーヌもその男性がなにを言おうとしたのか、大体理解出来ていたので、同じように肩をすくめ返した。
(確かに不公平ではあるよねー……たくさん稼いで欲しいからって農園と薪屋にだけ儲け話が転がり込んだはずなのに自分たちの店にはなにもないわけでしょ? ……でもさ? そうなってくると、ここに集まってる人たち全員に儲け話を授けなくちゃいけなくなって……ーーまさかだけど、それって私がしたりする……⁇)
「あー……言いたいことは理解できるんだけどね……? その……君のところだけなら問題は無いと思うーーけど、そうなるとここに集まる全部の店と話し合う必要が出てくる気がしてるんだ……?」
困ったようにそう言いながら、再び村人たちの顔を見せ見回していくゼクス。
その目には、どこか期待を含んだ眼差しでことの成り行きを見守っている者たちばかりが映し出されていた。
「……すみませんでした」
ゼクスと同じように村人たちに視線を走らせた男性は、その決して少なくはない人数にため息を吐きながらそう言って、ガックリと大きく肩を落として、残念そうに背中を丸めた。
そんな男性の態度に期待のこもった眼差しをしていた者たちは大きく肩を落とし、薪屋の男性やディーターたちは居心地が悪そうにモゾモゾと動きイスに座り直した。
(これはーー不公平感が強いな……?)
そんな村人たちを見ていたリアーヌは、キュッと眉間に皺を寄せながら考えを巡らせ始めた。
王都とはいえ、その端……都会とは口が裂けてもいえないほどの自然溢れる場所で育ったリアーヌは、近所付き合いの難しさをきちんと理解していたのだ。
悲しいことにこの村の人々は、貴族の横暴さなど、痛いほどに理解していたのだ。
「ーーよろしくお願いします……!」
「はーい。 じゃあ……大まかな話し合いはこんな所かなー? ーー税金の額についてはまた改めてはなしあいましょう。 物納についての細かいことが決まらないと納得も出来ないでしょうし……」
ゼクスはそう言いながら集まった村人たちの顔をグルリと見たわしていく。
その時、会場の端のほうに座っていた痩せ型で少々気弱そうな男性が、おずおずと手を上げた。
「……なにか質問かな?」
「その後……もしよければ……ーー俺んトコにも……」
そう言いながら男性はチラチラと薪屋やティーダーたちやリアーヌに視線を移し、言外に不公平だ、と伝えていた。
「ーーまぁ……言いたいことは分かるけどねー……」
ゼクスは困ったように首の後ろを撫で付けながらリアーヌに視線を流す。
リアーヌもその男性がなにを言おうとしたのか、大体理解出来ていたので、同じように肩をすくめ返した。
(確かに不公平ではあるよねー……たくさん稼いで欲しいからって農園と薪屋にだけ儲け話が転がり込んだはずなのに自分たちの店にはなにもないわけでしょ? ……でもさ? そうなってくると、ここに集まってる人たち全員に儲け話を授けなくちゃいけなくなって……ーーまさかだけど、それって私がしたりする……⁇)
「あー……言いたいことは理解できるんだけどね……? その……君のところだけなら問題は無いと思うーーけど、そうなるとここに集まる全部の店と話し合う必要が出てくる気がしてるんだ……?」
困ったようにそう言いながら、再び村人たちの顔を見せ見回していくゼクス。
その目には、どこか期待を含んだ眼差しでことの成り行きを見守っている者たちばかりが映し出されていた。
「……すみませんでした」
ゼクスと同じように村人たちに視線を走らせた男性は、その決して少なくはない人数にため息を吐きながらそう言って、ガックリと大きく肩を落として、残念そうに背中を丸めた。
そんな男性の態度に期待のこもった眼差しをしていた者たちは大きく肩を落とし、薪屋の男性やディーターたちは居心地が悪そうにモゾモゾと動きイスに座り直した。
(これはーー不公平感が強いな……?)
そんな村人たちを見ていたリアーヌは、キュッと眉間に皺を寄せながら考えを巡らせ始めた。
王都とはいえ、その端……都会とは口が裂けてもいえないほどの自然溢れる場所で育ったリアーヌは、近所付き合いの難しさをきちんと理解していたのだ。
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