成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「ーーなに言ってんです? 最悪なのはアンタなんですけど⁇」

 リアーヌが一際低い声で言い放った瞬間、再びサロン内の空気が凍りついた。
 すかさずビアンカやゼクスがリアーヌを止めようと足や手を動かそうとしたが、それよりも前に怒りの収まらないリアーヌは再び口を開いた。

「何してくれてんですか? せっかく家族で意見出し合って、恋愛スポットとして有名になってくれたら来場者が沢山きてくれて、運営予算減らされなくて済むね! って喜んでたのに、うちの花園で超有名貴族が婚約者と痴話喧嘩とか、うちに恨みでもあるわけ⁉︎」

 ベシンッとテーブルを叩きながらフィリップに抗議するリアーヌの肩を抱くように身体を押さえつけたゼクスは、前のめりになっているリアーヌをグイッと後ろに引きながら、引きつる顔に笑顔を貼り付けるとリアーヌの致命的な失言こフォローを始めた。

「ーーつまり、今の発言はボスハウト家が管理している花園という意味であり、決して私物化しているわけでは……」
「今そういう揚げ足取られるの、すごいイヤです」

 ゼクスとしては婚約者の失言を無かったことにしようとする善意からの言葉だったが、庇われたはずのリアーヌはその鋭い視線をゼクスに向けて、冷ややかに言い放つ。
 そんなリアーヌの態度に頬を引きつらせるゼクスだったが、チラリとフィリップたちの様子を確認し、リアーヌの発言に対しての抗議が出ないことを確認すると、微妙な顔つきで「……ごめんよ?」と小声で謝った。

「大体、アンタの態度ってエスコート的にどうなの? 向こうが言ったから連れてってやった? なのに不機嫌になったんだけどって⁇ ーーそんなのその態度のせいですけどー⁉︎ エスコートの授業、もう一度やり直してきたらどうですかぁー⁇」
「ーーリアーヌ、ちょっと落ち着きなさいな……」

 ビアンカは顔をひきつらせながら、怒りに任せて好き勝手喋っているリアーヌの袖を引く。

「じゃあビアンカは嬉しいの⁉︎ 婚約者に、連れて行ってけど? 付き合ってのに⁇ みたいなエスコートされて⁉︎」
「そ、れは……その……」

 リアーヌの勢いの良さと、その発言の内容に、ビアンカは珍しく口ごもりリアーヌから視線を逸らした。

「この分じゃ、あーんだって拒否ってるよコイツ!」
「こちらのお方ね⁉︎」

 ビシリッと突きつけた指先を握りこんで無かったことにしながら、ゼクスは必死に言い募った。
 しかしリアーヌは鬱陶しそうにその手を振り解くと、フィリップに向かいアゴをしゃくりながら盛大に鼻を鳴らして不愉快そうに言い直す。

「あーん拒否お方‼︎」
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