【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

文字の大きさ
385 / 1,038

385

しおりを挟む
「イエスマンとか良くないと思うな……」

 数えきれないほど繰り返したやりとりに、リアーヌは大きなため息をつき、うんざりとした内心を隠そうともせずに、顔をしかめた。

「ーーあらダニエラ様、こちらのケーキはお食べになられまして? フルーツがとっても新鮮ですのよーー……お客様のお相手は私がしておくから、リアーヌはレジアンナのお相手だけに専念なさい?」

 ビアンカはとても良い笑顔でそう告げると、席を立ち会場内を見回す、そして客人たちにお菓子やお茶を進め、そのドレスやアクセサリーなどを褒めて会話を盛り上げ始めた。

(……もはや悔しさなんて感じないほどに、ビアンカが対応した方がお茶会は上手くいくんだよ……ーーただ……やっぱり貴女がそっち側なの、納得したくないんだよなぁ……)

「ーー専念なさい?」

 遠い目をしているリアーヌのほうにズイッと身を乗り出したレジアンナは、ニヤリと笑いながらイタズラっぽく首を傾げる。
 そんなレジアンナに軽く肩をすくめると、リアーヌは恭しく頭を下げながら口を開く。

「仰せのままに、スカーレット様」
「まぁ、ダメよダメ! その名はフィリップ様だけが使うものなのっ!」
「はいはい。 じゃあレジアンナ様ね」
「様はいらないのっ」
「じゃあ、レジアンナ!」
「それで良いのよ。 あ、そうそう! フィリップ様といえばね⁉︎ この間前髪をお切りになられたんだけど……ーー」
「ハハッ……ーーキャー、フィリップ様カッコイー!」

 またループ何始まった……と、ゲンナリした表情を浮かべたリアーヌは、投げやりな態度で相槌を打つ。

「もう! リアーヌはフィリップ様を褒めてはいけないの‼︎」
「ーーフィリップ様カッコ悪ーい!」

 ぷりぷりと怒り始めたレジアンナを揶揄うように反対の言葉を口にするリアーヌ。

「ビアンカ‼︎ リアーヌがイジワルするのっ」

 母親に言い付ける幼子のように、レジアンナはビアンカの名前を呼んだ。
 その声にビアンカはすぐさま反応して、レジアンナたちの座るテーブルまでやってくると、誰からもなんの説明も聞かずにリアーヌに向かって言った。

「そうですね。 リアーヌ、レジアンナに謝って」
「……ごめんなさーい」

(今のは確かに私も悪かったけど、お茶会的には自分の話を止めないレジアンナだって相当なマナー違反ですけどね⁉︎)

「もっとちゃんと謝って!」

 ビアンカという心強い味方を背中に貼り付けて、レジアンナは胸を張るように要求する。

「ごめんなさい!」

 ヤケクソのように謝るリアーヌにクスクスと楽しそうに笑いを漏らすレジアンナ。

「んふふっ 許して差し上げてよっ ーーでね⁉︎ 髪をお切りになられたフィリップ様がーー」

 再び始まってしまったフィリップ様が前髪を切った話に、リアーヌの顔が絶望に染まるのと、ビアンカが華麗なターンを決めて席を離れたのは同時だったーー

(誰か……誰か助けてください……)
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

【完結】ど近眼悪役令嬢に転生しました。言っておきますが、眼鏡は顔の一部ですから!

As-me.com
恋愛
 完結しました。 説明しよう。私ことアリアーティア・ローランスは超絶ど近眼の悪役令嬢である……。  気が付いたらファンタジー系ライトノベル≪君の瞳に恋したボク≫の悪役令嬢に転生していたアリアーティア。  原作悪役令嬢には、超絶ど近眼なのにそれを隠して奮闘していたがあらゆることが裏目に出てしまい最後はお約束のように酷い断罪をされる結末が待っていた。  えぇぇぇっ?!それって私の未来なの?!  腹黒最低王子の婚約者になるのも、訳ありヒロインをいじめた罪で死刑になるのも、絶体に嫌だ!  私の視力と明るい未来を守るため、瓶底眼鏡を離さないんだから!  眼鏡は顔の一部です! ※この話は短編≪ど近眼悪役令嬢に転生したので意地でも眼鏡を離さない!≫の連載版です。 基本のストーリーはそのままですが、後半が他サイトに掲載しているのとは少し違うバージョンになりますのでタイトルも変えてあります。 途中まで恋愛タグは迷子です。

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

処理中です...