成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

文字の大きさ
上 下
402 / 1,038

402

しおりを挟む
「お茶会って疲れるね……?」

 客人たちを全員見送り、ラッフィナート家が用意してくれた部屋に戻ったリアーヌたちは、ドサリと倒れ込むようにソファーへ腰掛けながら、げっそりとした声を上げた。

「……まぁ、疲れるものではありますけれどね……」

 似たような態度でソファーに座りながら、そう答えたビアンカは、どことなく納得がいかない表情を浮かべながらも、その言葉自体には同意してみせた。

 いくら、初めての主催だったとしても、ここまで手厚い準備を実家以外の家にしてもらい、当日は友人にその役割をほとんど任せるーーなどというフォローづくしのお茶会で、果たしてリアーヌが自分と同等に疲れているのだろうか……? と少し疑問を感じてしまったからなのかもしれないーー

(けれど、レジアンナの相手は殆どがリアーヌでしたし、スクラップブックの提案にも頭を悩ませていましたしーー本の提案も絶妙な采配でしたわね……ーーあれだけ頭を使えば、気疲れも相当でしょうし……)

 ビアンカはそう考え直しながら、ふー……と大きく息をつきながらソッとソファーにその背中を預けた。

「ーーああ、そういえば……」
「……なにー?」

 ビアンカの言葉に、リアーヌはだらけ切った態度で首をかしげる。

「多分、勘違いしたままだと思うから伝えておきますけど、あれマーリオン様たちのお話じゃありませんわよ?」
「……マーリオン様たちのお話……?」
「マーリオン様には男の兄弟がいらっしゃらないから、まだ正式な婚約者はいませんのーーまぁ、お家の中では婚約者も決まっているそうですけれどーーお相手は五歳年上という話ですし……ーーエミーリエ様は、お相手側から熱烈にアピールされてのご婚約を結ばれていらっしゃるから、仲が発展しないなんて事態は考えにくいでしょう?」
「……ーーえ? じゃああの話って誰の……⁇」
「ーー十中八九『名前を出したく無いどなた様か』のお話でしょうね」
「ええー……」

(あのウソくさい「あくまでも知り合いの話ですのっ!」「そう! 私たちの共通の知り合いが困っていますの!」が、まさかの本当だったってこと……?)

 困惑しきりのリアーヌにビアンカはヒョイっと肩をすくめながら笑いかける。

「今回の場合は、気がつかないのが正解ーーというか、話を合わせるのが正解でしたわ。 例えウソに気がついても、素知らぬ顔で相談に乗るものでしてよ」
「相談持ちかけるのにウソとか……」

 ビアンカの説明に納得のいかないリアーヌは、盛大に顔をしかめながら大きく鼻を鳴らす。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...