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「ーーそこは絶対に行きましょう⁉︎ なんなら週一で行きましょう⁉︎」
「うん。 無理かなー」
「婚約者でしょう⁉︎」
「どう頑張ったって、婚約者だからって予定をそこまで独占できたりしないんだよ……?」
「そんな……」
楽しみにしているデートが出来なくなるという事実に、リアーヌの顔は絶望に染まった。
ゼクスはその理由が確実にスイーツにあると理解しながらも、そこまで悲しまれることにある種の満足感を覚えていた。
「ほら、勉強がイヤになった時にでもこれがあれば、少しは気がまぎれるかもしれないだろ?」
「……紛れたってレッスンは減らないですもん」
ぶっすりと唇を尖らせたリアーヌは思い切り顔をしかめながらブチブチと答えた。
「ーーあ、これ可愛いねー? 赤地に白ドット……ピンクもあるんだー」
ブスくれるリアーヌを丸っとシカトしたゼクスは、わざと明るい声を出しながら商品を手に取り始めた。
「んー……ちょっと大きいかなぁ? このぐらいのサイズがいい⁇」
大きめの台紙と小さめの台紙を両手に持ったゼクスは、その両方をリアーヌの前に差し出しながらたずねる。
「私は別に……」
「今はデート中だよー? そろそろ機嫌直して一緒に選ぼうってー……」
(……ーーあれ? 待って⁇ ゼクス、私とスクラップブックやるつもりでいる……?)
その事実にようやく気がついたリアーヌは、ビックリしたように目を見張り、ゼクスが差し出す台紙とゼクスの顔を交互に見つめた。
「ーーそれとも、俺とはやりたくなかったりする……?」
困ったように笑いながら、小さな声でたずねるゼクスに、リアーヌは大いに動揺した。
(えー……いつも強気で他人の評価なんか、そこまで気にして無い風なのに、ここで弱気になるとか……ーーそういうギャップーー……嫌いじゃありませんけど⁉︎ それに私だってスクラップブックやってみたいと思ってたし! 王子ルートはそこまでだったけど……ーーでも、この自分達にしか分からない二人だけのやりとりとか、目一杯憧れてたしっ!)
そこまで考えたリアーヌの脳内に、ビアンカの声がこだました。
『心を寄せすぎてはダメよ』
(……ビアンカ、ちょっと手遅れっぽいかも……ーーまだなんとかなる……かなぁ?)
リアーヌは自重気味に肩をすくめると、悲しそうな瞳でスクラップブックを見つめているゼクスに向かい、大きく息を吸い込んだ。
そしてそれを一気に吐き出しながら答えていた。
「ーーそんな事ないです。 私と交換してしていただけますか?」
「ーーもちろん!」
パァっと花が咲くような笑顔を浮かべてから「良かったぁ……」とホッとしたようにホワホワとした笑顔を浮かべたゼクスに、リアーヌの胸は大きく高鳴った。
(ーーあー……。 これは手遅れの症状かもしれないですねぇ……)
「うん。 無理かなー」
「婚約者でしょう⁉︎」
「どう頑張ったって、婚約者だからって予定をそこまで独占できたりしないんだよ……?」
「そんな……」
楽しみにしているデートが出来なくなるという事実に、リアーヌの顔は絶望に染まった。
ゼクスはその理由が確実にスイーツにあると理解しながらも、そこまで悲しまれることにある種の満足感を覚えていた。
「ほら、勉強がイヤになった時にでもこれがあれば、少しは気がまぎれるかもしれないだろ?」
「……紛れたってレッスンは減らないですもん」
ぶっすりと唇を尖らせたリアーヌは思い切り顔をしかめながらブチブチと答えた。
「ーーあ、これ可愛いねー? 赤地に白ドット……ピンクもあるんだー」
ブスくれるリアーヌを丸っとシカトしたゼクスは、わざと明るい声を出しながら商品を手に取り始めた。
「んー……ちょっと大きいかなぁ? このぐらいのサイズがいい⁇」
大きめの台紙と小さめの台紙を両手に持ったゼクスは、その両方をリアーヌの前に差し出しながらたずねる。
「私は別に……」
「今はデート中だよー? そろそろ機嫌直して一緒に選ぼうってー……」
(……ーーあれ? 待って⁇ ゼクス、私とスクラップブックやるつもりでいる……?)
その事実にようやく気がついたリアーヌは、ビックリしたように目を見張り、ゼクスが差し出す台紙とゼクスの顔を交互に見つめた。
「ーーそれとも、俺とはやりたくなかったりする……?」
困ったように笑いながら、小さな声でたずねるゼクスに、リアーヌは大いに動揺した。
(えー……いつも強気で他人の評価なんか、そこまで気にして無い風なのに、ここで弱気になるとか……ーーそういうギャップーー……嫌いじゃありませんけど⁉︎ それに私だってスクラップブックやってみたいと思ってたし! 王子ルートはそこまでだったけど……ーーでも、この自分達にしか分からない二人だけのやりとりとか、目一杯憧れてたしっ!)
そこまで考えたリアーヌの脳内に、ビアンカの声がこだました。
『心を寄せすぎてはダメよ』
(……ビアンカ、ちょっと手遅れっぽいかも……ーーまだなんとかなる……かなぁ?)
リアーヌは自重気味に肩をすくめると、悲しそうな瞳でスクラップブックを見つめているゼクスに向かい、大きく息を吸い込んだ。
そしてそれを一気に吐き出しながら答えていた。
「ーーそんな事ないです。 私と交換してしていただけますか?」
「ーーもちろん!」
パァっと花が咲くような笑顔を浮かべてから「良かったぁ……」とホッとしたようにホワホワとした笑顔を浮かべたゼクスに、リアーヌの胸は大きく高鳴った。
(ーーあー……。 これは手遅れの症状かもしれないですねぇ……)
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