成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 ーーこれをきっかけに、ラッフィナート商店には、このノベルティー目当てに買い物に訪れるレーシェンド学院の生徒たちが爆発的に増え、ラッフィナートは決して少なく無い、今まではやりとりのなかった貴族とのつてを手に入れることに成功しーー
 さらには王都の外れに位置するラッフィナート商店のある店舗には、パラディール家の従者が度々買い物に訪れる姿が目撃されることとなるのだったーー

 そして、思いつくがままにスクラップブックを飾り付けるリアーヌの方法が、それとは分からないように工夫されながらもノベルティーの更新に役立つことになるのだったーー



 家に帰り着いたリアーヌは、夕飯や風呂を済ませると、自分の部屋でお礼してもらった大量のリボンやレースをテーブルの上に取り出しながら、真新しいスクラップブックを広げていた。

(私は好き勝手言っただけなのにこんなにたくさん……ーー売り場でちらっと見たけど、レースとか結構なお値段のもたくさんありましたぜ……? 早速このお礼をスクラップしようと思うんだけど……ーー『気前がいい』『太っ腹』って意味の花言葉をもう花ってあるのかなぁ……? ヴァルムさんかアンナさんに頼んだら用意してくれたり……? ーー詩のほうが探しやすかったり⁇)

 ビクビクしながらたどり着いた自宅で、リアーヌはお小言さえ貰わなかった事実にホッとしながらも、それはそれで居心地の悪い思いをすることになっていた。

(みんなが私と顔を合わせるたびに、ものすごく気の毒そうな顔をするんだもの……そして、泣いてる子供をあやすみたいに「明日からは全力でサポートいたしますからね……? 一緒に頑張りましょう……ね? ね⁇」って……これ以上ないほどに気を使われてますやん……ーー心が痛くなるので哀れむのだけ止めてもらいたい……これならいつもみたいに「お嬢様っ‼︎」って叱られたほうが、どれだけ気が楽だったか……ーー明日からは本当にお勉強がんばろう……超がんばろう……)


 時は少々遡り、リアーヌの本当の学力に気がついたオリバーが、急ぎ屋敷へと帰還した時まで巻き戻る。

 ボスハウト邸、執事であるヴァルムの執務室に、主だった使用人たちを集めたオリバーは、リアーヌの学力の現状を皆に説明していく。

「ーーそんな……」

 オリバーの言葉になんのウソもないとヴァルムが頷いたところで、使用人たちはその話の衝撃に言葉を無くし、顔色を悪くする。

 オリバーはそんな使用人たちを見回すと軽く息をついてから、再び静かに口を開いた。
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