成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「……どうしてそう考えたのか分からないけど、家から離れた場所で気持ちが大きくなったり、ハメを外してしまう者は決して少なく無いと思うよ……?」

 ゼクスは盗難や騒音といった、トラブル、そして性的な犯罪が起こってしまうのを危惧していた。

「でも、カフェのおばちゃんたちと一緒のトコなんですよ?」
「……君のその、おばちゃん崇拝はどこから来てるものなの……?」

 当然のことのように、なんの疑問も持っていないリアーヌに、ゼクスは苦笑いでたずねる。

「……だっておばちゃんたちにバレたら村のみんなーーそれこそ家族にだってバレちゃいますよ?」
「そ、れは……」

 ゼクスは想像していた以上に説得力のある抑止力を伝えられ言葉を詰まらせた。

 この村のーーいやどの地域に行こうとも、井戸端会議を行っているご婦人方の情報収集能力と、その情報の拡散力は侮れない。
 そしてこの村は、他所に比べて村人たち同士の距離が近く、その結束力も固いーーそんな村での悪い噂は、冗談でも大袈裟な話でもなく、家族、親戚に迷惑がかかる。

(……騒音とかも、トラブルになる前に、お叱りのお手紙が保護者から届きそうだな……?)

「ーーリアーヌが言いたいことは分かったけど……それでも護衛は必要かなー?」
「え、だってやらかしたら村に戻れないですよ? やらかし度合いによっては家族すら村にいられないですし……」
「それでもだよ。 万が一が怒った時「おばちゃんに任せておけば間違いないと思った」……なんて、口が裂けたって言えないし、外からやってくるトラブルや犯罪者だっている」
「あ……その想定はしてませんでした」

(……でも村の男の人っていくらだって仕事があるわけだけど……王都行ってくれるかなぁ? ーー外からのトラブルを防ぐ目的なら……)

「あ、警邏隊けいらたいの人にお願いしときます?」
「え、警邏隊?」

 またもやゼクスは、リアーヌの話の流れが掴めず、目をしばたかせる。

「はい! 近く見回る時は中にまで寄ってって下さーいってお願いするんです。 お茶やお菓子用意してーーあ、カフェのが良いですね! 警邏隊の人たちが出入りしてる建物だったら外からのトラブル少なくなると思いません?」
「ーーそれは……なるだろうね?」

(なんなら貴族ーー俺みたいな男爵ではなく、警邏隊に顔の聞く降爵レベルの貴族の関係者だって勘違いまでしてくれるだろ……)

「……あんまりやりすぎると、うちのお抱えさんたちみたいに、警邏隊の偉い人から苦情が届くと思いますけど……ーー寮は一つなんで、きっと大丈夫だと思います!」
「ーー詳しく聞いても?」
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