成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「ぶはっーーさすがは姉弟」

 思わずゼクスが吹き出してしまうのと「お嬢様!」「坊っちゃん!」という叱咤の声が飛ぶのは同時だった。

「あらあら……」
「ははっ。 まだまだガキンチョだなぁ?」

 子供たちの様子に肩をすくめ合う夫妻だったが、サージュはどことなく嬉しそうな様子だった。

「ーーでも、全部飴がけは嬉しいわね? 私もちょっと食べてみたかったの。 てっぺんのヤツ」
「……まぁな?」

 そうクスクスと笑いあう夫妻の会話で、今後のボスハウト邸で出されるプチシュータワーでは、少なくとも家族全員分の全コーティングのプチシューが用意されることが決定したのだったーー



「二人ともおめでとう」

 豪華な夕飯の準備が進められる中、ゼクスは改めてリアーヌとザームに祝福の言葉を送った。

「ありがとうございます!」
「……アリガトウゴザイマス」

 元気に答えるリアーヌと途端にカタコトになるザーム。
 どうやらきちんとしなくてはいけないという思いが働くと、今のようなカタコトになってしまうようだった。

「これ、ささやかなものだけど……」

 そう言いながら封筒のようなものをザームに、そして小包をリアーヌに向かって差し出した。

「え、いいんですか……?」
「うん。 お祝の品だから受け取ってほしい」
「……でも、私何も用意してなくて……」

 困ったように眉を下げるリアーヌにゼクスは慌てて言葉を重ねる。

「気になって今日押しかけちゃったのは俺の方だし、この日に来ておいてお祝いの品を持ってこないのも変な話だろ?」「……そう、なんですか?」
「ーー結果が出る今日、わざわざその結果を確認しにくるやつが祝いの品用意してなかったら、相当感じ悪いでしょ?」
「それは……まぁ?」

 曖昧な態度で同意するリアーヌにゼクスも肩をすくめて答え、再度祝いの品を二人の前に差し出した。

「……手紙?」

 先に贈り物に手を出したのはザームのほうで、首をかしげながらその中身を確認している。

「最近出来た、歌劇の店の予約席だよ。 多少の日にちは融通が利くから、ソフィーナ嬢の楽しんできて」
「……歌劇ぃ?」

 贈り物が好みとは少々離れていたのか、ザームはキュッと口を窄めながら封筒の中の チケットを眺めている。

「あれ? リアーヌから行きたがってるって話を聞いてたんだけど……ーー美味いローストビーフを出すって話題の店なんだけど……」
「ーー最近出来たうめぇ肉の店⁉︎」

 ゼクスの説明に、途端に瞳を輝かせるザームと、その後ろから「せめてお肉と……」と言いながら頭を抱えるオリバー。

「お肉!」
「ーーええ……ーーもうそれで」

 素直に言い直したザームだったが、オリバーの頭を覆う手は、一向に外れる様子がみられなかった。
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