成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「ーー……その、知らなかったんだと思います。 正式なお茶会に招かれた時はそんなことしちゃいけんいんだって……」

 リアーヌは自信なさげにポソポソと言葉を紡いだ。
 心の中で(本当、ゲームではその辺りの話丸っと省略されてたんですよ! だから誰にも教わらなかったんだと思うんです‼︎)と、昔を振り返りながらユリアを庇っていた。

「ーーそれは通用しないだろうな?」

 困ったように微笑みながら、しかしキッパリとした態度でフィリップが答える。
 それに続けるようにレジアンナも口を開く。

「だってあの方、すでにフォルステル家の正式な養子になっているでしょう?」
「たぶん……?」
「だったらやっぱり通用しないわよ……」

 レジアンナとリアーヌがそんな会話で眉を下げ合っていると、パトリックがポソリと言葉を漏らした。

「……ラッフィナート家に対する宣戦布告、なのでは?」
「……ぇ?」

(なんで⁉︎ なんでいきなり戦争の話⁉︎)

 パトリックの言葉は当然そのままの意味では無く、フォルステル家が『どんなことがあろうともラッフィナートとは手を組まない』という意思表示をしたのでは? という意味合いのつもりで言ったのだが、リアーヌにだけはうまく伝わらなかったようだった。

「おそらくは?」

(え、本当に戦争の話なの⁉︎)

 パトリックの言葉を正しく読み取ったゼクスは肩をすくめながらこともなげに同意し、未だに勘違いを続けているリアーヌはギョッとした顔をゼクスに向けていた。
 しかしその視線に気がつかないゼクスはパトリックに向けて言葉を続けた。

「ーーけれど、それだとの辻褄が会わなくなるんですけど……ーー向こうが勝手に自滅したんですかねぇ……?」
「次も恥を書かせるつもり……と言うことでしょうか?」

 パトリックは不可解そうに首を捻りながらたずねるが、ゼクスは大きく息をつくと、なにかを吹っ切ったかのような顔つきになり口を開いた。

「流石にもう一度コケにされたらうちはいらないかなぁー?」

(ーーえっ、いらない⁉︎ いつそんな話になったの⁉︎)

 そんなゼクスの宣言に参加者たちは
再びザワリッと、どよめいた。
 視線を交わし合う参加者たちを眺めながら、リアーヌは全く話についていけず、一人視線を彷徨わせていた。

「リアーヌもそのつもりでいてね?」
「えっ⁉︎ あの、はい……?」
「…………」
「…………」

 無言でゼクスと見つめ合うリアーヌは、その背後でオリバーがため息を噛み殺した気配を感じ取っていた。

「ーーリアーヌの意見を聞かせてもらえる?」
「……戦争はよくないと……?」
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