【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 つい最近、似たような生い立ちの女子生徒に独自の理論を展開された覚えのあるレオンは、顔をしかめながら言った。
 そんなレオンの考えを理解しているフィリップは困ったように苦笑を浮かべながら肩をすくめ口を開く。

「ーーこの場合、リアーヌ嬢がどう思っているかはあまり重要では無い。 エドガーの態度をオリバーが許している……ーーあの家は使用人の質にうるさいからねぇ……つまりエドガーの態度こそが、彼がボスハウト家の使用人では無いということの証明になるんだ」
「なるほど……」
「――もちろんレオンの指摘通り、リアーヌ嬢はマナーにそこまでうるさくは無いだろうけど……――彼女とユリア嬢の言い分はまた違うものだと思うよ?」
「……そうだな。 きっとリアーヌ嬢は敬語を使って話すことに心の距離などは感じないんだろうな……」

 疲れたようにそう言って大きくため息をつくレオン。

「――ユリア嬢の言葉、かな?」
「だな……ーー相手を敬う気持ちを距離だと? 心底近づきたくない相手だ……」
「彼女ももう少し、このに馴染んでくれれば良いんだがね……リアーヌ嬢のように」
「……あれを見習えと……?」

 レオンはギョッと目を剥きながらたずね返した。
 ――心の中ではフィリップの正気すら疑っていた。

「……本当にリアーヌ嬢はやろうと思えばそこそこはできる方なんだよ……ーーあの謝罪だけは完璧なご令嬢だっただろう?」
「……だいぶ無礼な態度だったが?」
「私は所作の話をしているし……無礼はお互い様だ」

 たしなめるようなフィリップの言葉に、バツが悪そうに顔をしかめるレオン。
 そしてそれをごまかすように前髪をいじりながら、渋々と言った態度でその言葉に頷き返した。

「そうだな……?」
「ーーラッフィナート家との縁が結ばれた方だからねぇ……本人も周りも“いざという時には取り繕える”程度の力があれば構わないと考えているんじゃ無いか?」
「……なるほどな」

 フィリップのこの認識は正しかった……――のだが、フィリップやラッフィナート側の考えるそこそこの実力と、ボスハウト側が考えるそこそこの実力というものの間に、大きな隔たりはあったようだが……

「ーーそろそろ、かな?」

 ひとしきり喋り終えたフィリップはそう呟きながらカップを手に取り、チラリとサロンの入り口に視線を流した。

 サロンの出入り口付近の使用人たちが慌ただしく動き始めたことに気がつき、の到着を感じ取る。

「……意外にかかったんじゃないか?」

 レオンは予測が外れたような顔つきで小さく鼻を鳴らした。
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