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「この度は当家のお嬢様がご迷惑をおかけしてしまったとか……?」
「一体なにがあったというのかしら……」
「それでーーお嬢様はどちらでしょうか……?」
二人は変わるがわるフィリップやレオンたちににこやかな笑顔で話しかけていくーーその瞳を氷のように凍てつかせながら……
「……安全な場所でデザートを楽しんで貰っていますよ」
予想以上に怒り狂っているメイドたちの態度に、フィリップは頬を引き攣らせながら答えた。
「まぁ……」
「お嬢様様ったらしょうのないこと……」
「これはしっかりとご挨拶をさせていただかなくては!」
「ええそうねカチヤ? 皆様、お礼は後日しっかりとさせていただきますので」
二人からの分かりやすい宣言に、フィリップやレオンだけではなく、パトリックたちや護衛たちもゴクリと唾を飲み込んだ。
「……案内、してもらえるんですよね?」
静かに会話を聞いていたゼクスはフィリップから視線を一切逸らさずにたずねる。
「……なら道を開けてもらえるかな?」
フィリップはその視線をしっかりと受け止めながらも(こちらの怒り具合も予想以上だったな……)と自分の見立て違いに、少しの後悔を覚えていた。
「ーーこれは失礼」
そう言いながら店の店員よろしく恭しい態度で道を譲るゼクス。
そんなゼクスの姿に、フィリップは抜けて面白くなさそうに鼻を鳴らしながら、乱れてしまったブレザーを直した。
◇
「ここだ」
フィリップがサロン棟のある一室の前で止まり、そう言った瞬間。
ゼクスがその身体を押し除けて扉に手をかけた。
「――リアーヌッ!」
そう叫ぶように名前を呼びながらサロンの内に入っていき、ようやくの目当ての人物を目にしたゼクスは脱力しながら戸惑いの声を上げていた。
「ーーええ……?」
「あら……」
「まぁ……」
ゼクスの後ろに続いていたカチヤたちもリアーヌの元気な姿に安堵を含んだ戸惑いの声を上げる。
背後から聞こえてきた「彼女、大物だね……」というフィリップの呟きは、ただの雑音として処理されたようだった。
「あ、ゼクス様」
部屋の中にいたリアーヌは手足こそ、柔らかそうな布で拘束されてはいたものの、ふかふかのソファーに座っていて、隣に座っていたメイドが口に運ぶミルフィーユを美味しくいただいていた。
「ええと……無事ーーなんだよね?」
「全然無事じゃないです! この人いくら言ってもこれとってくれないんですよ! これじゃお茶が上手く飲めません……喉乾きました」
リアーヌは拘束されている手を上げてゼクスに見せつけ、紅茶が入ったカップを見つめながらしょんぼりと眉を下げた。
「一体なにがあったというのかしら……」
「それでーーお嬢様はどちらでしょうか……?」
二人は変わるがわるフィリップやレオンたちににこやかな笑顔で話しかけていくーーその瞳を氷のように凍てつかせながら……
「……安全な場所でデザートを楽しんで貰っていますよ」
予想以上に怒り狂っているメイドたちの態度に、フィリップは頬を引き攣らせながら答えた。
「まぁ……」
「お嬢様様ったらしょうのないこと……」
「これはしっかりとご挨拶をさせていただかなくては!」
「ええそうねカチヤ? 皆様、お礼は後日しっかりとさせていただきますので」
二人からの分かりやすい宣言に、フィリップやレオンだけではなく、パトリックたちや護衛たちもゴクリと唾を飲み込んだ。
「……案内、してもらえるんですよね?」
静かに会話を聞いていたゼクスはフィリップから視線を一切逸らさずにたずねる。
「……なら道を開けてもらえるかな?」
フィリップはその視線をしっかりと受け止めながらも(こちらの怒り具合も予想以上だったな……)と自分の見立て違いに、少しの後悔を覚えていた。
「ーーこれは失礼」
そう言いながら店の店員よろしく恭しい態度で道を譲るゼクス。
そんなゼクスの姿に、フィリップは抜けて面白くなさそうに鼻を鳴らしながら、乱れてしまったブレザーを直した。
◇
「ここだ」
フィリップがサロン棟のある一室の前で止まり、そう言った瞬間。
ゼクスがその身体を押し除けて扉に手をかけた。
「――リアーヌッ!」
そう叫ぶように名前を呼びながらサロンの内に入っていき、ようやくの目当ての人物を目にしたゼクスは脱力しながら戸惑いの声を上げていた。
「ーーええ……?」
「あら……」
「まぁ……」
ゼクスの後ろに続いていたカチヤたちもリアーヌの元気な姿に安堵を含んだ戸惑いの声を上げる。
背後から聞こえてきた「彼女、大物だね……」というフィリップの呟きは、ただの雑音として処理されたようだった。
「あ、ゼクス様」
部屋の中にいたリアーヌは手足こそ、柔らかそうな布で拘束されてはいたものの、ふかふかのソファーに座っていて、隣に座っていたメイドが口に運ぶミルフィーユを美味しくいただいていた。
「ええと……無事ーーなんだよね?」
「全然無事じゃないです! この人いくら言ってもこれとってくれないんですよ! これじゃお茶が上手く飲めません……喉乾きました」
リアーヌは拘束されている手を上げてゼクスに見せつけ、紅茶が入ったカップを見つめながらしょんぼりと眉を下げた。
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