成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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(……みんなの目つきが違うんだもの……ーークラリーチェ様もあんな目つき出来たんだ……)

 流石にサロンの中に浴槽の準備は出来なかったが、銀製の洗面器やはちみつと塩、そしてたくさんのタオルを準備してもらい、リアーヌはスパの説明を始めた。
 ――その説明のために、リアーヌが袖のボタンを外し、腕まくりをしようとしたところで、カチヤたちから苦情が飛び出したが、それはすぐにオリバーによって宥められ、リアーヌへの許可が許可が下りた。
 「婚約者様の許可もあるようですし……ーーボスハウト家はパラディール家の時期当主様が、うちのお嬢様に対しを向けるなんてことがないとおりますとも……」という、嫌味と共に。

(……よく分かんないけど、オリバーさんがいいって言ったんだから、なにがあってもオリバーさんの責任ってことで……)

 そんなことを考えながら、リアーヌは腕まくりをしつつ、塩と蜂蜜で特製のスクラブを作っていく。

「あ、これあんまり力入れて擦っちゃダメだよ? こう……肌の上で塩の粒を転がすぐらい? 難しかったらはちみつ多めでやってみて?」
「……力を入れると痛いから?」

 そんなレジアンナの質問に肩をすくめながらリアーヌは答える。

「それもあるけど、肌に傷が付いちゃうから。 綺麗になりたいのに肌を傷だらけにするとか、意味わかんないでしょ?」
「確かに……優しく擦るのね」

 納得したように呟いたレジアンナに頷き返しながら、リアーヌは洗面器にスパを使いお湯を張る。

「順番としては、まずは入浴……今日は腕だけ……で、違いが分かるように片手だけね」
「……結構な匂いね……?」

 初めてスパの匂いを嗅いだビアンカは、うめくようにそう言いながら鼻に手を添え眉をひそめる。
 サロンの中にいた者たちも、少し距離を取りながらその匂いに忌避感を示している。

「たくさんの成分が入ってるからね。 だからお肌とぅるとぅるになるわけだけどー」
「たくさんの成分……――良薬口に苦し、かしら?」
「飲まないどそんなとこー」

 ビアンカとの話に相槌を打ちながら、リアーヌは洗面器につけていた手を出し、軽くタオルで水気を拭うとスクラブを手で掬い取った。

「お風呂でやるときは濡れたまんまで大丈夫。 肌がお湯で柔くなってるから傷つけないように優しくねー。 気になるところは何度もマッサージするといい感じになるよ」

 そんな説明を聞きながら、興味深そうにリアーヌの周りに集まり始めるのは、やはり女性陣、そして金の匂いを嗅ぎ取っているゼクスだった。
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