成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

文字の大きさ
上 下
706 / 1,038

706

しおりを挟む
「……そんな関係じゃないからね?」

 そう言いながら不本意そうに眉を上げて見せるゼクス。

(上部を取り繕って、仲良いふりして見せるのが貴族……というか、大人としての立ち振る舞いなんじゃない……? とか思わないこともないけど……ーーこの二人に関しては、にこやかにしてたところで周りの空気はヒェッヒエだからな……もうなにも言うまい……)

「――このタイミングってことは、さっきの騒ぎと関係があるんですかねぇ?」
「どうなんだろうね? 伝言内容は『なにかあればパラディールの控え室まで』で、今そこに案内されてるわけだけど……」
「……公爵家ともなると王家のパーティーで控え室が用意されるんですね?」
「……ね?」

(そんなわけないでしょ……ーー大方、パラディールが面倒見てる、第二王子がいるからだと思うけど……ーーこの情報ペロッと喋っちゃうとマズいから、そういうことにしておこう……)

 ゼクスは簡単な相槌を打ちながら、そう決めると、話題を変えるためにさらに口を開く。

「会場を離れる時、チラリと見えたんだけど、あの騒ぎの中心に向かってフォルステル伯爵が進んで行ったんだ。 だからあの騒ぎにかの方が関わってる可能性は高いと思う」

 その言葉を聞き、リアーヌが一番に心配したのはクラリーチェだった。
 あんな入り口にクラリーチェたちが居るとは思えなかったが、ユリアが騒ぎを起こす理由で、一番可能性が高いのはレオン関係だと思えてならなかったのだ。

「……ちなみにクラリーチェ様はフィリップ様とご一緒に動かれてるんでしょうか……?」

 リアーヌは言外に自分の不安を伝えようと、少しの仕草を交えて話しかける。

「ーー初めての王城だと聞いてるからねぇ? 流石にご一緒なんじゃないかなぁ? 顔合わせや紹介だってたくさん予定されてるんだろうし……」

 ゼクスはリアーヌの意図を正確に読み取り、まさか……と顔をひきつらせながらも冷静に、あの四人が一緒に行動しているであろうとの推測を口にする。

(ここは王城だ。 王妃の子飼いがわんさか出入りしている場所で、まさかパラディール家が第二王子から目を離すことはないだろ……)

「ですよね……?」

 ゼクスの言葉を聞き、ホッとしように胸を撫で下ろすリアーヌ。

(じゃあ例えユリアに突撃されたとしてもきっと平気だよ。 なんだってレジアンナが付いてるんだもん! ……レジアンナが……付いてる……? ――待って? これって……シナリオ通りに進むなら……ちょっかいかけるのは悪役令嬢側じゃない……?)
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...