【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「リアーヌ、力を貸してくれたらボーナスとして向こうで好きなもの買ってあげる」
「ーーお刺身⁉︎」
「まだ諦めてなかったの⁉︎」
「だって美味しかったんですもん……」

 ぶぅ……と唇を尖らせるリアーヌにゼクスが呆れたように肩をすくめた時、近くでその会話を聞いていた男が「あー」と声を上げながら同意するように口を開いた。

「アウレラの魚料理美味いですもんねぇ? 最近じゃ生で食うやつもーー」
「ーー少ないよねぇ? だって生だし!」

 ゼクスはその言葉を遮るように声を上げる。

「……え?」

 男ーーオットマーとしては、リアーヌたちの会話から、リアーヌがアウレラの魚料理が好きで、尚且つ食べたこともあるのだと認識し、それに相槌を打ったつもりだったのだが、そんな情報をリアーヌの耳に入れるわけにはいかないゼクスはに、睨みつけるような笑顔を向けられ「えっと……?」と、視線をうろつかせることになってしまった。

「食べる人いるんですか⁉︎」
「ええと……」

 これ以上ないほどに瞳を輝かせたリアーヌからたずねられ、オットマーは自分が口にすべき答えを求めて周りに視線を走らせる。

「ーーごく少数のやつが、味見程度に食べただけ、だよね? ほとんどの人間は食べたりしないよ。 ーーだって生なんだから」

 ゼクスが代わりに答えながら、オットマーに向けて『生はダメだ』と言外に警告する。
 それを受け、大きく首を動かしながら「ーーそうですね! 生で食うやつは少ないですよ!」と、わざとらしいほどの笑顔で答えるオットマー。

「……意見の強要とかイジメなのでは……?」
「ここで君をちゃんと止めないと、帰ってから俺がチクチクいじめられるですぅー」

 そんなゼクスの言葉に、リアーヌは面白くなさそうに顔をしかめ、アンナを振り返る。

「……食べる人いるみたいなんですけど……?」
「ーー火を通した料理はたくさんお召し上がりくださいませ」
「腹でも壊したら、食べたい! って言ってた料理、食べられなくなっちまいますよ?」

 アンナからもオリバーからもたしなめめられるように諭されたリアーヌは不満そうな顔を浮かべ、最後にもう一度ゼクスに視線を向けてぽそりと呟いた。

「ボーナスって言ったのに……」
「……カフェでアウレラのスイーツか軽食が食べられるようにするから、ね?」

(ーー……それはそれで有り寄りの有り……)

 リアーヌは顔をしかめつつも、嬉しそうに口元をモニョモニョと歪ませたのだった。



「ーー本当に力を貸していただけるんで?」

 甲板の真ん中の方に歩きながら、オットマーは再度確認するようにたずねる。
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