成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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(なんなら、私この国に転生でも全然構わなかった! ……あ、でもそうすると学院には通えないから……ーーミーハー的にそれは却下だな……ーーこうしてアウセレの食べ物も堪能できてるわけだし! やっぱりこの人生が大当たりなのかも!)

「ーーその袴も髪飾りもよくお似合いですよ?」
「ありがとうございます」
「バザール2行った時に見つけまして……季節の柄とは少しズレてしまうと分かってはいたのですが、本人が痛く気に入ったもので……」
「ーー本当によく勉強なされている」
「ええ! けれど季節柄なんかそこまで気にしなくともかまいませんのよ? いつの時代も主流から少しずらしたところに流行ができるんですから」
「心強いお言葉です。 リアーヌ良かったね?」
「はい」

 うなぎを食べ終え、少し満足したのか、リアーヌはようやく子爵令嬢としての仮面をかぶることに成功したようだった。

「ーーその髪飾りも素敵ですわね? あまり見ない形ですけれど……既製品かしら?」
「これはリアーヌがどうしてもリボンがつけたいから、と考案してーー三つの髪飾りを一つにまとめているんです」
「ーーそうでしたのね! リアーヌ様はお考えが柔軟ね? とても素敵だわ?」
「そんな……わがままを言ってしまっただけでして……」

 恥ずかしがるようなそぶりで口元を抑えて、顔を伏せるリアーヌに夫人はクスクスと微笑みを漏らす。

わたくしにも覚えがありましてよ? 両親に、もうやめなさいと諭された時は大いにぐずったものですもの……」
「……大きなリボン可愛いですよね?」
「ええ! 頭からはみ出るぐらい大きいのが良いわ?」
「ーーわかります! 鏡でちょっと見えるぐらい!」
「そうそう!」

 急に盛り上が上がり始めた女性陣に驚きながらも、クスリと微笑みを浮かべながら視線を交わし合う男性陣たち。
 ーーこれはリアーヌとってのだったのだが、はじめにリアーヌが奇行を取ったことで、タカツカサ夫妻の警戒心は大いに下がっていて、そのため四人の距離は一度の会食ではあり得ないほどにグッと近づいていたのだった。

「……家の中だけならば誰に気兼ねすることもないんじゃ無いのかな?」
「ーーやだもうあなたったら! リボンをつけているような少女に何をするつもりですの!」
「そりゃあ……色々ーーねぇ?」
「もおぉぉぉ!」

 息を吸うほどナチュラルにいちゃつき始めた夫妻に、リアーヌたちは驚愕の表情を浮かべながらも、すぐに気を取り直し、壁際に控えるタカツカサ家の使用人たちに声をかけた。

「ーーお茶のおかわりいいですか?」
「スプーンお借りしても?」
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