成り上がり令嬢暴走日記！

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　◇

「……え、コピーじゃなくて強奪、ですか……？」

　オリバーとザームがいつもより早く屋敷に帰ってくる頃には、すでに両親も揃っていて、眉間に皺を寄せたヴァルムも壁際に立っていた。
　きっと叱られるんだ！　と、ビクビクしていたリアーヌにオリバーが聴かせた話は、決してやらかしなどではなかったのだが、リアーヌを大いに困惑させるものだった。

「はい……」

　リアーヌの言葉に申し訳なさそうに顔をしかめたオリバーだったが、気を取り直すように表情を引き締め、自分が得た情報を事細かに語っていく。

「ーーどうやら誰かが意図的にウワサを流しているようで、発生場所が専門学科ということで、気がつくのが遅れてしまいました」
「専門学科……」

（ーーって事はつまり、犯人は……）

「ーー犯人はユリアって娘っ子か？」

　リアーヌとこ同じ考えに至ったのか、父サージュがオリバーにたずねる。

「ーー確証があるわけでは……しかし、中心に限りなく近いところにいると……」
「……どんな感じ？」

　オリバーの言葉に母リエンヌがサージュに話しかける。
　リエンヌからの質問にサージュは顔をしかめながら唸るように答える。

「良く、はねぇなぁ……？」
「そうよねぇ？」

　リエンヌもなにか見ているのか、同じように難しい顔で頷き返している。
　そしてお互いに眉間に皺を寄せながら顔を見合わせると、難しい顔のまま考え込んでしまう夫妻。

　オリバーから説明された情報によると、専門学科を中心にリアーヌのギフトが、実はギフトをコピーするのではなく、ギフトを奪いとってしまう『強奪』というギフトなのだということが、まことしやかにウワサされれていると言うものだった。
　そして、リアーヌには王族の血が流れているからこそ、そのギフト内容を虚偽申請していても、誰にもそれを咎められない状態なのだと。
　そして、リアーヌはユリアのギフトを狙っているーーのだそうだ。

「……ーーそのウワサって……どの程度ーーその、信憑性といいますか、みんなどのぐらいのレベルで信じてるんですか？　盲目的に信じ込んでるのか、冗談半分で本当かどうか知らないけど面白そうだからウワサしてるのか……」

　リアーヌの言葉にオリバーは言いづらそうに口を開く。
　
「……あの者をの盲目的に信じている者は一定数存在しています」
「あー……」

（つまりユリアの味方は本気で私が強奪のギフトを持っていると信じてるわけか……）

「こちらでもウワサを掻き消そう試みては見たのですが……」

　その反応からあまりうまくいっていないことを感じ取ったリアーヌは、眉を下げながら「ーーこの短時間じゃしょうがないと思います……」と声をかけた。