成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 リアーヌの訝しげな声にゼクスは慌てて言葉を続けた。

「あくまでで可能性の話だよ? 可能性だけで考えるならゼロでは無い、だろ?」
「……ーー限りなくゼロに近いと思いますけどね?」

(この先なにが起ころうとも、ユリアが私に「コピーして良いよー」とか言う未来が来るとは思えません……)

「ゼロでは無いなら無視してくれない人たちがたくさんいるって話さ。 君や子爵様を知らない人物ならなら余計にね」
「……そういうものですかね?」
「ーーそういう人たちの思惑が一致しちゃったんだろうねぇ……」
「ーーつまり私がいるから……?」
「えっ⁉︎ リアーヌのせいなわけないだろ⁉︎ 今説明したよね? うちはボスハウトと手を組んだから、無事に叙爵できるだけの準備期間を設けられたんだ。 それにボスハウト家が力を取り戻してくれたお陰でうちにちょっかい出して来るヤツらも大幅に減ったし……ーーねぇ、うちって、これでも国で一番の商家なんだよ? そんなに心配しなくても大丈夫だよ。 どうとでもして見せるって!」

 不安そうに顔を曇らせたリアーヌを安心させるようにゼクスは力強く笑って見せる。
 その言葉を聞いてもリアーヌの不安は拭えなかったが、それでもこれ以上ゼクスに気を使わせてはならないと、合わせるように笑顔を浮かべた。

 それから二人は授業が始まる前にーーと急いで教室へと戻る。
 教室に入る前、ゼクスはもう一度リアーヌを安心させようと微笑み、リアーヌはその笑顔に、やはりなんとも言えない不安を感じたが、それを押し殺すかのように無理やり笑顔を浮かべて見せたーー

 しかし……この騒動はゼクスが考えている以上に大きな騒動へと発展していくこととなるーー
 ボスハウト家へのねたみやそねみ、ラッフィナート商会の存在を心良く思わない者たちの手によって、もっと広く……そして今よりも悪意に満ちたウワサとなって広がっていってしまうだったーー

 ◇

「今回の騒動、うちのトラブルが発端になっちまったみたいで……」

 それから数日後、ラッフィナート邸の応接室にリアーヌとリアーヌの両親であるボスハウト子爵夫妻が通され、頭をかきながら謝罪の言葉を口にしていた。
 しかし、それを聞いたゼクスの祖父グラントはそれを豪快に笑い飛ばす。

「なんのなんの! きっかけなんてなんだって良かったんだよ! うちは敵が多いん」
「たまたまこのタイミングだったってだけさ!」

 それに同意するように祖母のフリシアも言葉を続けた。

「それに、これに乗じて明確な敵対行動を取ってくれた取引先や店が出てくれてな?」

 ゼクスの父クライスがニヤリと笑いながらいうが、サージュはその言葉に顔をしかめた。
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