【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「……どうかなさいましたか?」
「その……ーー婚約は無くなったんですよね⁉︎」
「ーーおん?」

 そう口から言葉が漏れた瞬間、リアーヌは背中に少しの衝撃を感じ、すぐさま表情を取り繕う。
 ベッティは、そんなリアーヌに気が付かれなかったのか、自分の話を優先したのか、気にせず話を続けていた。

「ゼクス君、はっきり答えてくれなくて……凍結は凍結だとか……ーーでもみんな、もう破棄されたとか、時間の問題だとか言っててーー良かったらどうなってるのか教えてくださいませんか⁉︎」

 ペコリと下げられたベッティの頭を見つめながら、リアーヌは必死に笑顔を取り繕いながらグッと胸を張った。

(ーー落ち着け。 いくら下手したてに出てるように見せかけててもコイツは絶対確信犯で私に喧嘩を打ってる……! そんな奴の口車に乗って乱暴な態度で返すとか絶対ダメ! ここ教養学科の入り口ですからね? もう少し行ったら建物の入り口見えるんだから! ーーそんな見え透いた釣り針なんかに誰が食いつくもんか!)

「ええと……それはわたくしとゼクス様の婚約について、のご質問ですよろしいのですわよね?」
「はい!」
「でしたら破棄など致しておりませんし、そのような予定があるとも聞いてはおりません。 ーーもちろん解消も同様です。 ですから……ご心配には及びませんよ?」

 ニコリと笑って答えたリアーヌに、心配そうに顔を歪めていたベッティの顔が引きつった。
 その後ろにいるユリアたちも意外そうに目を見開きながら顔を見合わせあっている。
 どうやら彼女たちの中ではリアーヌとゼクスの婚約はすでに解消が決定していることになっているようだった。

「えっと……でも、凍結したら次は解消なのでは……?」

 モゴモゴとたずねるベッティに、リアーヌはこてり、と首を傾げながらキョトンとした表情を作りながら口を開く。

「そういう場合も多いとは聞きますが……ーーそもそもこの婚約は王命ですので……凍結したぐらいでは……」

 ねぇ? と同意を求めるように笑いかけながら、リアーヌは口元を抑えクスクスと小さく笑いをもらす、まるで「そんなわけないじゃない」と言うかのように。
 そして出来うる限りの余裕を見せつけながら、心の中で目の前の少女やその後ろに控えるユリアたちに毒を吐きまくっていた。

(ーー絶対動揺なんかしてやらない! 悲しんでもやらない! ーー笑え! これ以上ないぐらい美しく!)

 リアーヌは凄みすら感じさせるほどに美しい笑顔を披露しながら一歩踏み出す。
 ーー貴族であろうとも……否、貴族であるからこそ喧嘩を売られっぱなしで反撃しないわけにはいかないーーリアーヌの反撃開始だった。
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