成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「ーーそういえば姉ちゃんなにやったんだ?」

 首を傾げながらたずねてきたザームに、リアーヌは顔を不本意そうに顔をしかめながら答えた。

「無実の罪を着せられそうになっている……」
「……ここからで無けりゃなんとかなんのか?」
「らしい。 少なくともオリバーさんが戻ってこないと出られない」
「……ーー姉ちゃんのこと捕まえにきたヤツ全員ぶっ飛ばしたら平気になるか?」
「ーーいやぁ……? どうなのかなぁー?」

(それは確実にザームが捕まることにしかならないから、是非とも考え直していただきたい所存ーー)

「あー……それに関してはーーそんな団体は来ないかもよ?」

 ゼクスの言葉にサロン内にいた者たちの視線が集中する。

「ーーへぇ? 情報網になにか掛かったのかな?」
「ーー情報網にね?」
「……ああ! 連日、女性を侍らせ続けていたのは情報収集のためだったんだね?」
「あははっ 面白い冗談だ!」

 にこやかに笑いながら話し合うフィリップとゼクスだったが、その視線の間にはバチバチと火花が散っていた。

 ーーその後、レジアンナがフィリップの気を引いている間にリアーヌがゼクスから話を聞いたところによると、ユリアとフォルステル家の関係が相当悪くなっていること、そして王妃との関係すらも悪くなっているという話が、王妃周辺の貴族から出回っているらしかった。

「……えっとーーでもフォルステル家はユリアを切り捨てられないですよね? だって、たくさんの家と取引してるって……」
「切り捨てるまでは行かないけど、これ以上勝手はさせたくないって感じかな? 彼女、伯爵家の意向なんか丸っと無視して好き勝手してるし……ーーもっというなら第一王子との婚約にも頷いていない」
「……だから王妃様ともギクシャク?」
「ーーウワサではね? 好きな人がいるからその人と結ばれたいらしいよ?」

 ゼクスの答えに、レジアンナが忌々しそうに「なんと迷惑な……」と吐き捨てる。

「慌てたフォルステル家は、なんとか説得しようとしたが無駄に終わりーー次の手に出たらしい」
「次の手……?」
「ーーボスハウト家との関係修復」
「うち……?」
「ああ。 守護のギフトをリアーヌにコピーさせる代わりに、陛下への取り次ぎを望んだようだね」

(あー……つまりは守護のギフトを使って、王妃よりも上の存在ーーこの国一番の後ろ盾を持とうとしたわけだ……ーーその条件が私がコピー……?)

「……ーーそれムリじゃ無いですか?」
「うん。 ユリア嬢は猛反発して、今はフォルステル家側とのやり取りを完全に拒否している状態のようだよ」
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