成り上がり令嬢暴走日記！

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「ッヒ……！」

　リアーヌの喉から声にならない悲鳴が漏れ出て、ゼクスがギュッと強くリアーヌを抱きしめる。
　その周囲にいたビアンカやレジアンナたちを各々の婚約者が庇い、そんなフィリップたちの前に各家の護衛たちが躍り出るーー
　ギュッと身を固くするリアーヌの耳に「ーー危ない……！」と言う声が聞こえ覚悟を決めるがーー

「ーーこれ、は……」
「綺麗……」

　いつまでたっても襲ってこない衝撃と、耳に聞こえて来た生徒たちの呟きに、リアーヌたちが恐る恐ると顔を上げるとーー
　リアーヌたちの周りにはオーロラのように色を変えるヴェールのような物があって、周囲の生徒たちはーー炎魔法を放った男子生徒や、争い合っていたエドガーたちですらもーーポカンと口を開けながら、その美しい光景を眺めていたーー

「これ、は……」
「ーー『守護』のギフト……？」

　フィリップとレオンが呆然と呟き、その呟きを聞いた者たちはハッとしながらジッと周囲を取り囲むヴェールを眺めていた。

「ーーえ、これが守護のギフトなら……」

　首を捻りながら呟くリアーヌにゼクスが頷き返す。

「ああ。　ーー居るんだ。　ここに。　守護のギフトを持った者がーー」

　その言葉にあたりを見回すリアーヌたち。
　その持ち主が誰なのか理解する前に、言い争う声が聞こえて来た。

「なんでよ⁉︎」
「ユ、ユリア落ち着いてーー」
「ーーなんでアンタが守護のギフトを持ってるのよーー⁉︎」

　絶叫するユリアと、そんなユリアに詰め寄られながらも、なんとかて宥めようとしている女子生徒ーーベッティ・レーレンの姿がそこにはあった。

「ーーあの子が……守護のギフトの持ち主……？」

（ーーん？　いや、ムリじゃない？　だってあの子のギフトって『情報収集』オンリーな……は、ず……ーーえ、まさか『強奪』のギフトも持ってるダブルだったりーー？）

　リアーヌの呟きが聞こえたのか、ユリアの発言から推測したのか、少し遠巻きにその様子を伺っている生徒たちが疑惑の眼差しをベッティに向け始める。
　そんな周囲の反応に気がついたのか、ユリアへの無実の訴えだったのか、ベッティはフルフルと首を横に振りながら口を開く。

「ち、違う……私じゃ無い……」
「ウソつかないでよ！　私ちゃんと分かったんだから！　あれは私のギフトよ！　貴女が力を使った瞬間にあれが出たなら、犯人は貴女しかいないじゃないっ！」
「それは……ーーあ、あの女よ！　リアーヌ！　きっとまた私に濡れ衣を着せるつもりなの！　ーー私は盗んでなんか無い！」

　ベッティのそんな叫び声を聞きながら呆れたような声を上げる人物が一人。