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「確かに、貴重な守護持ち……俺もすぐには殺されないと思うけどーー手足が一本や二本欠けてたって問題ないよね?」
(うわぁ……やっぱりじゃん……)
笑顔で説明しているゼクスの隣で、リアーヌは頬をひきつらせながら、顔を背けるように視線を伏せた。
ゼクスの言葉に、ほんの少しの可能性を感じたからなのかもしれない。
「わ、私は側妃になって……」
「どうせ表に出せない側妃なんだから、足足や手が無くて誰も気にしませんよ。 あぁ……ーー逃げられなくて便利だからむしろ好都合?」
「だ、だから! 私にそんなことしたら!」
助けないわよっ! と、ベッティが叫ぶ前にゼクスの冷静な声がかかる。
「ーーその時も! そんなふうに元気に怒鳴れる気力が残ってれば、そんな復讐も出来るんだろうけど……ーー守護のギフトを使わない守護持ちなんか……生きてる意味あるのかなぁ……? ーー君はどう思う?」
「そん、なの……ーーハッタリよ! そうなんでしょ⁉︎ だってそんなの……酷すぎる!」
訴えるように叫んだベッティに、ゼクスは目玉をぐるりと回しながら、呆れたように口を開いた。
「おいおい……酷いのは君の態度のほうだ。 国の宝と言っても過言じゃない守護持ちから守護を盗んで、罪人の分際で王族と取引ーーしかもその取引を土壇場になって反故にする……ーー貴族の顔にだって泥を塗ったら命の危機なのに……ーー王族の顔に泥? ……今日の夜、不審死したとしても俺は驚かない自信があるね」
(……驚くぐらいはするんだろうけど……ーー納得もしちゃいそう……)
リアーヌが気まずそうに前髪をいじりながら、そっと溜息をつく。
この世界で生きて二十年にもなっていないというのに、随分とこの世界の価値観に馴染んでいる自分に気がついたからなのかもしれない。
ゼクスの言葉を聞き、顔色を悪くするベッティは、身を守るように自分の身体に腕を巻きつけながら立ち上がる。
護衛たちが警戒する中、どこか怯えるような様子でブツブツと独り言を言いながら、ソファーの周りをうろうろと歩き始めた。
「ウソよ……そんなこと出来るわけがない……ーーありえない。 だってこれは向こうの世界で向こうの人間が作った話なのに……あんな優しい話でこんな酷いこと、起るわけが……」
(……その動揺も理解できるけどーーここで暮らしてたらゲームの中で描かれてないことなんか、わんさか出てくるって理解できそうなもんだけど……ーーいや、言われてることが衝撃的過ぎて、信じたくないって想いも強いのかな……?)
リアーヌはそんなことを考えながら、ベッティにほんの少しだけ同情的な視線を向けた。
(うわぁ……やっぱりじゃん……)
笑顔で説明しているゼクスの隣で、リアーヌは頬をひきつらせながら、顔を背けるように視線を伏せた。
ゼクスの言葉に、ほんの少しの可能性を感じたからなのかもしれない。
「わ、私は側妃になって……」
「どうせ表に出せない側妃なんだから、足足や手が無くて誰も気にしませんよ。 あぁ……ーー逃げられなくて便利だからむしろ好都合?」
「だ、だから! 私にそんなことしたら!」
助けないわよっ! と、ベッティが叫ぶ前にゼクスの冷静な声がかかる。
「ーーその時も! そんなふうに元気に怒鳴れる気力が残ってれば、そんな復讐も出来るんだろうけど……ーー守護のギフトを使わない守護持ちなんか……生きてる意味あるのかなぁ……? ーー君はどう思う?」
「そん、なの……ーーハッタリよ! そうなんでしょ⁉︎ だってそんなの……酷すぎる!」
訴えるように叫んだベッティに、ゼクスは目玉をぐるりと回しながら、呆れたように口を開いた。
「おいおい……酷いのは君の態度のほうだ。 国の宝と言っても過言じゃない守護持ちから守護を盗んで、罪人の分際で王族と取引ーーしかもその取引を土壇場になって反故にする……ーー貴族の顔にだって泥を塗ったら命の危機なのに……ーー王族の顔に泥? ……今日の夜、不審死したとしても俺は驚かない自信があるね」
(……驚くぐらいはするんだろうけど……ーー納得もしちゃいそう……)
リアーヌが気まずそうに前髪をいじりながら、そっと溜息をつく。
この世界で生きて二十年にもなっていないというのに、随分とこの世界の価値観に馴染んでいる自分に気がついたからなのかもしれない。
ゼクスの言葉を聞き、顔色を悪くするベッティは、身を守るように自分の身体に腕を巻きつけながら立ち上がる。
護衛たちが警戒する中、どこか怯えるような様子でブツブツと独り言を言いながら、ソファーの周りをうろうろと歩き始めた。
「ウソよ……そんなこと出来るわけがない……ーーありえない。 だってこれは向こうの世界で向こうの人間が作った話なのに……あんな優しい話でこんな酷いこと、起るわけが……」
(……その動揺も理解できるけどーーここで暮らしてたらゲームの中で描かれてないことなんか、わんさか出てくるって理解できそうなもんだけど……ーーいや、言われてることが衝撃的過ぎて、信じたくないって想いも強いのかな……?)
リアーヌはそんなことを考えながら、ベッティにほんの少しだけ同情的な視線を向けた。
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