【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「ーー旦那様のご命令ですっ!」

 その言葉にハッとした使用人たちはグッと背筋を伸ばし、サージュたちやリアーヌたちに一礼すると、キビキビとした動作で屋敷の中に駆け込んで行った。
 そしてヴァルムは玄関先まで出てきているサージュに向かい頭を下げると「すぐにご準備いたします」と、告げた。

「準備なんてどうでもいい! 今すぐ全員ここから逃げろ!」
「あの……貴方、私も力を使ってみるから……」

 サージュに手を掴まれたまま、引っ張られるように歩くリエンヌが夫に声をかけるが、サージュは一言「後にしてくれ」と言うだけで足を止めようとはしなかった。
 そして玄関先で蹲るリアーヌたちを確認すると、歩みを遅めながらザームに向かって口を開いた。

「ザーム姉ちゃんを運べ。 男爵、馬車に乗せてもらうがいいな?」

 そうたずねながらも、ザームに向かい、さっさとしろとジェスチャーで伝えている。
 促されたザームがリアーヌの腕を持ち、引っ張りあげようとした時、ようやくゼクスが正気に戻り、サージュに向かって声を上げた。

「ーー馬車は自由に使って下さい。 ……それとリアーヌは俺が」
「早く連れ出してくれりゃ誰が運んだっていいーー……リアーヌ覚えとけ、そんぐらいすげぇのは、今すぐにその場を離れなきゃダメだってことだ」
「……りょ」

 リアーヌはガタガタ震えながらも、カクカクと頷きながら理解したことを伝える。

(理解はしたけど、二度と体験したくないッス……ーーえ、これで馬車とか本気? ……リバースの危険性をはらんでおりますが⁉︎ いや、これが無くなるなら多少のリバースぐらい構わない気もしてるけど……!)

 リアーヌがゼクスの手を借りながらも立ち上がったことを確認すると、サージュはリエンヌの手を連れながらラッフィーナート家の馬車に近づいていく。
 そんなサージュへヴァルムの声がかかる。

「旦那様、何日程度の避難になるかは分かりますか?」
「分からんし、そんな準備なんぞどうでもいい!」
「……かしこまりました。 ーーアンナ。 お前だけ同行しなさい。 男爵、申し訳ありませんが、どこかの宿へ送り届けていただきたくーー」

 ヴァルムがそう言葉にした瞬間、リアーヌが感じていた悪寒が、さらにひどくなるのを感じる。

「あ、それ無理。 宿屋絶対無理」

 そんなリアーヌの言葉に同意するようにサージュも頷く。

「だな。 ……ラッフィーナート家はダメか? なんならどっかの支店の倉庫や屋根裏でもいい」
「それは……」

 ゼクスが口ごもるのに被せるようにヴァルムが口を開く。
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