【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 顔をしかめながら、そうなっていた場合の対処法を考えるヴァルム。
 その顔がずっと険しいままなのは、どう転んでもリアーヌの外聞にキズが付きそうだと感じていることが原因のようだ。

「ーー父さんがいてくれて本当によかった……」
「本当ねぇ……?」

 リアーヌとリエンヌがしみじみと言い合っているのを横目に、ザームが再び不機嫌そうに口を開く。

「ーーそこまでのことされそうだったのに、誘拐はされてねぇからって無かったことにされんのかよ……?」

 ザームは、家族が標的にされたというのに、それら全てを無かったことにされたーーという決定が面白く無いようだ。
 しかし今回の決定が面白く無いのはザームだけでは無い。
 陛下の決定だから……と、言葉を飲み込んでいるだけで、この部屋にいるすべての者たちが、少なからずこの決定を不満に感じていた。

(確かに面白くは無いんだけどねー……)

 ザームの不満を肯定するように、微妙な顔つきで視線を交わし合うサージュたちを確認すると、ヴァルムは困ったように笑いながら少し視線を伏せた。

「……前回も王妃たちの病気療養が決まったように、今回も少しの変化はございます」
「……今度は侯爵が病気療養?」

 フンッと面白くなさそうに言い捨てるザームに、クスリとほんの少しの微笑みを漏らしたヴァルムは、ゆっくりと頷きながら言葉を続ける。

「はい。 体調不良を理由に侯爵の座を降り、長男に跡を譲りました。 同時にその職を辞任して……おそらくですがもう二度と領地から出てこないのでは無いでしょうか?」

(……こっちも病気療養という名の監禁か厳重な監視生活の始まりっぽいな……? ーーいや、やろうとしてたことえげつなさ過ぎなんで、しっかり監視しといて欲しいけどー!)

「家は残ったようですが……急なことですから碌な引き継ぎもできていないとか……? 新しい侯爵様も文官の職についていたというのに、長の座を他家に奪われ……ーーこれでは派閥の管理も大変でしょうに……」

 ヴァルムの説明に補足するようにオリバーが続ける。
 どこかバカにしたような空気を醸しながら、眉をひそめ気の毒そうに紡がれる説明に、ザームはクスリ……と鼻を鳴らすように笑うとオリバーに向かって口を開く。

「……もう、でけー顔しねぇってこと?」
「今は王妃の実家ということです一目ぐらいは置かれているのでしょうが……ーーこれから先はどうなるか……」

 意味ありげなオリバーの言い回しに、ザームは首を傾げながらたずねる。

「……病気だろうが王妃は王妃なんじゃねぇの?」
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