ちぐはぐ

稀人

文字の大きさ
2 / 39
一章 私立八意学園

独白

しおりを挟む
私はモテる。同性、特に下級生にモテてしまう。


原因ははっきりしていて、女にしては背が高く顔立ちも中性的、そしてなにより去年の文化祭での仮装が執事服でたまたま来ていた中学生の女子や先輩方に本当に男だと勘違いされたのが始まりだった。

思わず悪ノリして執事っぽい行動をしたのも原因の1つだ。


正直、去年の自分を殴りたい。何が悲しくて可愛い新入生に


「去年の文化祭から好きでした!先輩が女性なのはわかってます、でも諦めきれないんです!私、先輩のためならどんな自分にもなれます!」

こうまで言われなければならないのか。
男子諸君ならグッとくる言葉だろう。私もグッと来た。


だが私はノンケだ。百合ではないんだ、やめてくれタチだとか猫だとかそんなものを私は知りたくないんだ。お願いやめて。


そして、なにより悪いのが私自身それを変に貫いてると言うか、引くに引けないと言うか、つまり未だに本当の自分が迷子になっている。


どうしようか。そして本当にどうしようかこのラブレター。校舎裏とか本気の告白じゃないか、そしてどう見ても女の子字じゃないか。どうするんだ私。


そんなことを考えつつお相手を待っていると可愛らしい女の子が現れた。


「先輩、私、先輩のことが!」


ここははっきりと自分がノンケだと伝えなければならない。これ以上被害者は出してはいけない。のだが。


「申し訳ない、君みたいな可愛らしい子に好意を持たれるのは光栄だが、君だけに捕らわれるわけにはいかないんだ。こんな返事で心苦しいが許して欲しい」


だぁぁぁかぁぁぁらぁぁぁあ!!!いい加減にしろよ私!もはや別人格次元まで来てしまっているじゃないか!


「そう、ですよね。先輩はみんなの憧れですもんね…。私なんかじゃ釣り合いません、よね…」


やめろ、やめてくれ、心に来るからやめて、いや本当にやめてくださいお願いします。なんでもはしないけど勉強くらいなら教えるからやめて。


「むしろ私などでは君みたいな可愛らしい子には釣り合わないさ、君を幸せにしてあげられない私なんかより、もっといい人が現れる。それまでは憧れの先輩という光栄な役割を果たさせてもらおう」


もう自分でも何をいってるのかわからなくなりつつある。劇団員にでもなればいいんだろうか。


「っ…!」


泣きながら去っていく可愛らしい少女とそれを見送るしかない背だけは高い劇団もどき。

はたから見たら絵になるだろう、はたから見たら愉快だろう。なにせ本人から見ても愉快だ。


なにをしてるんだろうか私は。彼氏でも作ればいいんだろうか?ん?悪くない考えな気がするぞ、そう、女の子にモテるなら彼氏を作ってしまえば諦めがつくだろうし、これはいい考えだ!


……相手がいればの話だが。なにせこれだ、女の子にモテても肝心の男の子にモテたことなど一度もない。


全員が納得出来るような彼氏でも降ってこないだろうか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

毒姫の婚約騒動

SHIN
恋愛
卒業式を迎え、立食パーティーの懇談会が良い意味でも悪い意味でもどことなくざわめいていた。 「卒業パーティーには一人で行ってくれ。」 「分かりました。」 そう婚約者から言われて一人で来ましたが、あら、その婚約者は何処に? あらあら、えっと私に用ですか? 所で、お名前は? 毒姫と呼ばれる普通?の少女と常に手袋を着けている潔癖症?の男のお話し。

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

処理中です...