ちぐはぐ

稀人

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一章 私立八意学園

本番当日

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やりたくもない体育祭がやってきてしまった。


全校生徒に恥を晒す日である。


「準備いいかー!」


「おー!」


良くないから、特に精神的によくないから。


「それじゃ楽しんでいこー!」


「おーーー!」


他の人はやる気満々らしい。これならもしかして騎馬戦負けても勝てるかも知れないな。


そんなことは思うものではないらしい。


残す種目は残り三つ、騎馬戦と短距離走とリレー、そして点差は僅差で負けていて三位。上位三クラスがほぼ横並び一線状態。(この学校の体育祭は各々のクラス毎に順位が決まり二位は蓮さん達のクラスだ)


どれか一つでも惨敗したら負けが決まってしまう。


『それでは、次の種目は騎馬戦です、各チーム集まってください』


騎馬戦は一年から三年までの男子12クラスで争うリーグ戦方式だ。

とはいえ全クラスやっていたら時間が足りないので三つに分けて最終戦を三チーム同時にやることになる。


ポイントが大きいのでここで勝つと優勝に近づける。


逆に惨敗すると負け確定なので責任重大だ。


なのに大将は自分だ。もうやだ。


「よっし!それじゃ騎馬戦頑張っていこうか!」


「男子ー!頑張ってよー!」


「ちゃんと類君守りなさいよー!」


「負けたらしばらく男子だけで掃除当番回させるからね!あ、類君はいいからねえ」


「類ばっかりずりぃぞ!」


「かわいいは正義、イケメンは許す。あ、中澤は負けたらトイレ掃除ね」


「ちょ、俺イケメンの部類っしょ!」


「いやー、中澤はねえ。イケメンだけど残念だし、残メン?」


クラスが笑いに包まれる。緊張感というものとは無縁らしい。


そして、騎馬戦の準備が整った。


「よっしゃ!そんじゃ出陣じゃー!」


「おう!!」


出陣はするが武士道には乗っ取らないという良くわからない騎馬隊が戦場へ向かう。


相手は二年生のチームで背が高く背伸びをしても届かなそうだ。


「それじゃプランAから行くぞ!」


「了解だけど、やりたくないなあ」


集まったチームの準備がすべて終わり、各チーム一斉にスタートを切った。


「お前ら一年坊主に負けんじゃねえぞ!」


「ちょちょいと蹴散らしてやろうぜ!」


背の高さを駆使して突撃してくる相手に対し


「大将以外は任せるぞ!」


「了解!!」


大将をこちらへ素通りさせ大将以外の足止めに全力を尽くす運動部達。その間を敵大将チームが突撃してくる。


「へー、あんなちっこいのが大将なんだ、悪いけど速攻終わらせるぞ!突っ込めー!」


「よし、今だ!やれ類!」


そうプランAとは


「せ、先輩怖いです…。その、少し屈んでくれませんか…?僕じゃ届かなくて…」


「うぉ!めっちゃかわいい子じゃん!屈めばいいの?こんな感じ?」


アホな先輩は頭を下げてくる。


「ばっ、ばか!下がれ下がれ!」


馬側が離れようとするが時すでに遅し。


「先輩、ありがとうございます」


ハチマキはすでに奪ったあとである。最後まで疑いもせずこちらをニコニコ見ながらハチマキを奪われる先輩は凄く間抜け面だった。


「そうプランAとは、あざといのAだ!」


そういうわけで、認めたくないが第1戦は我がチームの圧勝で終わったのである。


相手チームは凄く納得行かなそうな顔をして審判に抗議をしに行った。


「おい!女入れるのはルール違反だろ!」


「そうだ!女に手を上げられるわけねえだろ!」


『えー、一部揉めているのでここで宣言しますが、一年C組の大将早乙女類選手は男性です。美少女のように見えますが男の娘です。ですのでルール違反ではありません』


「嘘、だろ」


『本当です。女である私よりも可愛いですが男性です』


「ちぇーっ、もう一戦くらい同じ方法でいけるかと思ったんだけどなー。んじゃ次はプランCで行くか」


「あれやんの?あれ本当にやりたくないんだけど」


「大丈夫大丈夫、傍目からは違和感ないから」


「お前ちゃんと後で奢れよ?」


「500円までな」


「あー、やりたくない」


こうして騎馬戦第1戦目は勝利で幕を閉じた。
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