ちぐはぐ

稀人

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一章 私立八意学園

恋人

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いや、恥ずかしい。すごく恥ずかしい。格好つけてはみたけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。

なんせここは校庭のど真ん中。しかも短距離走で一位を取れたすぐ後だ。全校生徒の前で告白とか、痛い、視線が痛い。

後悔はしてないが辛いものは辛い。


蓮さんは少しの間ぼーっとしたようにこちらを見て、ようやく言葉の意味を理解できたのか真っ赤になる。


このポンコツ先輩はどうしてこうも残念なのだろうか。


正直なところ、告白とかしなくてもこのままずっと、今までの関係でいられると思ってたし、僕の気持ちもある程度伝わっていると思っていた。


思ったよりポンコツで伝わっていなかったらしいが。


「え?えっと、え?その、今のって?」

「そのままの意味です。好きな人が出来たので契約は終了です。そして今好きな人に告白してみましたが、返事がもらえてないです」


「も、もし断ったらどうするつもりだったのさ!」


「もちろん、僕のことが全然好きじゃない。契約だから付き合ってたなんて言うなら断ってもらってもいいですよ。でも、絶対諦めません」


諦めないし、意地でも振り向かせてみせる。そう思うくらいには蓮さんのことが好きになっているのだから。


参ったなぁ、そう考えるとべた惚れじゃないか。


「そ、そこまで、言うんならっ、その。つ、付き合っても、いいよ?」


「ありがとうございま」


『おめでとうございまぁぁぁあぁぁあす!!今ここに!!新たなカップルが生まれました!!みなさん盛大な拍手を!!あ、まだ不純異性交友でもないので先生も暖かな拍手をお願いします!!』


聞き覚えのある声だ。っていうか


「中澤ぁぁぁあ!!!」


『やべ、バレちった。みなさん拍手を!そして俺の逃げる時間を!』


マイクを使ってまで観衆を煽り逃走しようとする中澤を追いかけようとすると蓮さんが手を握って来た。


「いい、けどね?さっきのはすごく、傷付きました。だからお詫びが欲しいです」


このポンコツ先輩なに言ってんだ、この状況でなに言ってんだ。いや本当に。


「お詫びって、なにを」


「ふーっ…。みんなー!!聞きたいことがあるんだ!こういう場面でのお詫びと言ったらー!?」


全校生徒がざわめき始める。


「この場面っていったら」

「そりゃまあ」

「あれっしょ」

「あれやな」

「A先輩だな。俺も相手がいたら…」

「私でもよければ」

おいちょっとまて関係ないところでカップル生まれてんぞ


『キース!キース!それではみなさんご一緒にぃ!』

「中澤ぁぁぁあ!!!てめえ後で覚えとけよ!!!」


「「キース!キース!」」


「そういうことだね、類君。私は君を逃がすつもりは、もうないよ。観念したまえ」


あ、ポンコヅカモードだ、恥ずかしさを隠すためにキャラ変えやがった。
しかし、この先輩に一杯食わされるのも腹立たしい。こうなりゃ毒を食らわば皿までだ。


「謝りませんよ?」


そう言ってから蓮さんを押して体制を崩し背中を抱えるようにしてキスをする。
男が背伸びしてキスをするとか全校生徒の前じゃなくてもやりたくないしね。精一杯格好つけてやる。


歓声と悲鳴と野次が合わさり凄まじい怒号が鳴り響いた。


こんなことならもっと早くにちゃんと告白しとくべきだった。格好なんてつけようとするもんじゃないね。
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