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一章 私立八意学園
噂話
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男の子という生物はこういうものなのだろうか。
ついさっきまであんなにシリアスな感じで…シリアスでもなかったかな?
とりあえず、あんな告白したりされたりキスされたりという場面だったのに舌の根も乾かないうちにセクハラだ。
嬉しいと思うあたり私もどうかと思うが。
お説教をしていると類君のクラスの男子リレーが始まるところだった。
「そういえば宗ちんが出るんだっけ?」
「ええ、アンカーですよ」
「中澤くんも足速いんだ?」
「いや、それが見たことないんですよ。あいつが真面目に走ってるところなんて」
「え?でも、アンカーってことは速いんじゃ」
「多分クラスの全員が見たことないんじゃないですかね。あいつがアンカーがやりたいとごり押して取った席なんですよ」
「宗介っちがねー。まあそれなりには速いんじゃないかなー、なんとなく読めて来たし」
「読めて来た?」
「私の自惚れじゃなきゃ多分あってるよん」
絵里のこういうところがずるいと思う。一人だけで納得してこっちには見ればわかるさと教えてくれないのだ。
見てるこっちはやきもきするしかないというのに。
2位の状態で走り出した中澤くんはそれなりに早かった。それなりにだ。
「あいつなんでアンカーなんて立候補したんだ。他にもっと速いやついるだろうに」
「そうだね、多分私の方が速いかも。どうしたのかな、中澤くんならもっとしっかり活躍出来るところあったと思うんだけど」
「類ちゃんはまだ子供だにゃー。男の子なら男の子の気持ちわかったげなきゃー」
「そんなこと言ってもわかんないですって」
「男の子には引けないこととかあるんでしょー?」
「…あ、え?マジです?」
「多分ねー」
私にもわかるように言っていただきたい。
「お返事はどのように」
「んー?どうしよっかなー?」
私にだけわからないままに最後の直線に入る。中澤くんよりも圧倒的に1位のアンカーは速く、これは追いつかないだろうなと思っていると直線手前のカーブで転倒こそしないものの若干滑ったのか、1位のアンカーが体勢を崩してしまう。
速さが違うとはいえそれを追い抜きそのままデッドヒートを繰り広げ、ほんの一瞬だけ中澤くんが速くゴールした。
「なんて豪運だよあいつ」
類君は笑ってしまっていた。これが持ってるとかってやつなのだろうか。
そして満面の笑顔で実行委員会のところまで走っていきマイクを奪い取ると高らかに宣言した。
「ここでお知らせがあります。俺、中澤宗介は川澄絵里先輩が好きです!付き合ってくださぁぁぁあい!」
人のことは言えない気がするが、全校生徒の前で堂々と告白をするとかどういうメンタルなんだろうか彼は。
そして告白を受けた絵里の反応は。
「ぶふっ!あはははは!まさかマイクを使うとまでは思ってなかったよ!いいね宗介くん、君さいっこー。ここまで熱烈な告白は受けたことないや!これからよろしくねー!」
案外と悪くないご様子だった。絵里は昔から予想斜め上をいくような突き抜けた馬鹿とか面白い人間が好きだったし、この告白方法は絵里的にはかなり好感度が高かったみたいだ。
「っしゃあ!!!」
またもや全校生徒からの歓声やら怒声やらが響き渡る。
そしてどうやらこの時から新たな噂が生まれたらしい。
曰く、体育祭で1位を取って告白すると永遠に深い愛情で結ばれる。
曰く、全校生徒の前で告白すると結婚しても幸せな家庭が築ける。
本当にそうなったのかはまだ未来の話だけどね。
ついさっきまであんなにシリアスな感じで…シリアスでもなかったかな?
とりあえず、あんな告白したりされたりキスされたりという場面だったのに舌の根も乾かないうちにセクハラだ。
嬉しいと思うあたり私もどうかと思うが。
お説教をしていると類君のクラスの男子リレーが始まるところだった。
「そういえば宗ちんが出るんだっけ?」
「ええ、アンカーですよ」
「中澤くんも足速いんだ?」
「いや、それが見たことないんですよ。あいつが真面目に走ってるところなんて」
「え?でも、アンカーってことは速いんじゃ」
「多分クラスの全員が見たことないんじゃないですかね。あいつがアンカーがやりたいとごり押して取った席なんですよ」
「宗介っちがねー。まあそれなりには速いんじゃないかなー、なんとなく読めて来たし」
「読めて来た?」
「私の自惚れじゃなきゃ多分あってるよん」
絵里のこういうところがずるいと思う。一人だけで納得してこっちには見ればわかるさと教えてくれないのだ。
見てるこっちはやきもきするしかないというのに。
2位の状態で走り出した中澤くんはそれなりに早かった。それなりにだ。
「あいつなんでアンカーなんて立候補したんだ。他にもっと速いやついるだろうに」
「そうだね、多分私の方が速いかも。どうしたのかな、中澤くんならもっとしっかり活躍出来るところあったと思うんだけど」
「類ちゃんはまだ子供だにゃー。男の子なら男の子の気持ちわかったげなきゃー」
「そんなこと言ってもわかんないですって」
「男の子には引けないこととかあるんでしょー?」
「…あ、え?マジです?」
「多分ねー」
私にもわかるように言っていただきたい。
「お返事はどのように」
「んー?どうしよっかなー?」
私にだけわからないままに最後の直線に入る。中澤くんよりも圧倒的に1位のアンカーは速く、これは追いつかないだろうなと思っていると直線手前のカーブで転倒こそしないものの若干滑ったのか、1位のアンカーが体勢を崩してしまう。
速さが違うとはいえそれを追い抜きそのままデッドヒートを繰り広げ、ほんの一瞬だけ中澤くんが速くゴールした。
「なんて豪運だよあいつ」
類君は笑ってしまっていた。これが持ってるとかってやつなのだろうか。
そして満面の笑顔で実行委員会のところまで走っていきマイクを奪い取ると高らかに宣言した。
「ここでお知らせがあります。俺、中澤宗介は川澄絵里先輩が好きです!付き合ってくださぁぁぁあい!」
人のことは言えない気がするが、全校生徒の前で堂々と告白をするとかどういうメンタルなんだろうか彼は。
そして告白を受けた絵里の反応は。
「ぶふっ!あはははは!まさかマイクを使うとまでは思ってなかったよ!いいね宗介くん、君さいっこー。ここまで熱烈な告白は受けたことないや!これからよろしくねー!」
案外と悪くないご様子だった。絵里は昔から予想斜め上をいくような突き抜けた馬鹿とか面白い人間が好きだったし、この告白方法は絵里的にはかなり好感度が高かったみたいだ。
「っしゃあ!!!」
またもや全校生徒からの歓声やら怒声やらが響き渡る。
そしてどうやらこの時から新たな噂が生まれたらしい。
曰く、体育祭で1位を取って告白すると永遠に深い愛情で結ばれる。
曰く、全校生徒の前で告白すると結婚しても幸せな家庭が築ける。
本当にそうなったのかはまだ未来の話だけどね。
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