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一章 私立八意学園
激怒
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ムカつく。
話を聞いて一番最初に思ったことはこれだった。
自分の彼氏に振られたのを人のせいにしたのもムカつくし、それに嫉妬していじめに走ったのもムカつくが、なにより最後に業者の人まで巻き込み追い詰めたのがムカついた。
「こんな話でしたが、どうでしょう?男に犯されそうになるっていう気持ちの悪い話ですし、もし無理だと感じたら振ってくれても構いません」
その言葉にさらにムカついて我慢出来ず
「類君、ちょっと歯を食いしばろうか?」
「は?」
思いっきりビンタを浴びせてやった。
「いったいなぁ!なにするんですか!」
「なにするんですかじゃないよ!君は私が、私達がその程度で離れるように見えていたのか!?」
「だ、だって気持ち悪いじゃないですか!顔が女みたいだっていうだけでこんなことになるやつなんて!」
「知るか!私の彼氏を侮辱するな!私はその顔も含めて君が好きなのに、それまで否定するのか君は!」
「それはっ…でも、だって、怖いんですよ!人によってああいうやつもいるって分かってしまうと、誰がどう自分を見てるか怖くて仕方ないんです!」
「じゃあ、なんで今私にそんな話をしたの!」
「っ…!蓮さん、なら、信用出来る…って、離れないかもって思って…!」
「なら、もっと信用していいんだよ。私だけじゃなく、絵里だってそんなことじゃ離れないし、中澤くんなら二度とそんなことがないように守ってくれるかもしれないよ?だから、せめて私達だけでも信用して」
堪えきれず涙を流しながら類君は告白する。意地の悪い言い方をしたと自分でも思う。でもそれでも、もっと信じて欲しかった。振られるかもしれないなんて、怯えて欲しくなかった。
そりゃ悪い人だっているだろうし、考え付かないようなことをする人だっているだろう。でも、そんな人達と一緒にしないで、信じて欲しかった。
「あっ……あり、がとう、ございま…す、それに、それに…ごめっ…なさ…い!」
泣きじゃくる類君を抱き締め背中をあやす様に叩く。
「ん、辛かったね。これからはもっと頼っていいんだよ」
「はいっ…」
それからしばらく類君は泣いたままだった。随分と溜まっていたんだろう、人を信用出来ないというのがどれほど辛いか私には分からない。
でも、ずっと疑い続けるのはきっと辛いことなんだろう、苦しかったんだろう。
そう思うとこちらもつられて泣きそうになるが堪えて類君を抱き締め続けた。
20分ほどそうしていただろうか。呼んだわけでもないが、たまたま中澤くんと絵里もこの場所に訪れた。
「おっと、れんたんが類君をいじめてるー。可愛い男の子を泣かせるなんてダメだよーん?」
「どうしたんすかー?なんかあったんでしょ?俺に出来ることなら手伝いますが」
多分空気を壊すためだろう。軽い感じで話しかけてくる。よくよく気の利く二人だ。
「類君、話せる?」
「はいっ、大丈夫です。ありがとうございます」
訥々と語った類君に対して二人の反応は様々だった。
「そりゃきついわ、俺同じ立場だったら立ち直れねーもん。すげえわお前、でも次そんな目にあったら言えよ、大してなんも出来なくても絶対味方するからな」
中澤くんは普段あれなくせにキメるところはきっちりキメるからずるいと思う。
「そんなことがあったのね、そんでも話してくれたってことはおねいさんたちを信用してくれてるってことなのかなー?多分余計なこと言ってれんたんに引っ叩かれたんだろうし、わたしゃ怒らないし別に離れもしないよーん」
「なんでわかるのさ」
「ほっぺた赤くなってるもん。目元が赤いのは泣いてたからだとしてもほっぺたが赤いのはどう考えてもれんたんのせいでしょ」
絵里はもう探偵にでもなればいいと思う。
「よく見てることで…。でも、言った通りでしょ?」
「はい、三人とも、ありがとう。これこらもよろしくお願いします」
「だが、類、俺はお前に一つ聞かなきゃならないことが出来た」
珍しくシリアスな声で中澤くんが類君を問い詰める。
「なんだよ、中澤」
「柔らかかったか?」
「はっ?」
「柔らかかったかって聞いてんだよ、抱き締められてまさかその感触を堪能しなかったとは言わせんぞ」
「…最高だった」
「かぁぁぁあ!!ずりぃやつ!絵里さん!俺のこともハグしてハグ!出来れば顔を胸のあたりで!」
「宗ちんはブレないねえ。けど、付き合い始めたその日に言ってくるのは感心しないなー、あーあ、体目当てかー別れた方がいっかなー」
「ちょっ、ちょっすいません!そういうんじゃないっす!へへ、あ、ほらなんか買ってきましょうか?ジュースでも甘いものでも!」
「んーじゃあ適当な炭酸飲みたいなぁ、あ、甘いものもいいなぁ、もちろん全員分ね?」
「はい!ただいま!」
一瞬呆然としてしまったが、中澤くんが走っていったあたりで我に返り、そういえば類君の背丈的に抱き締めると胸のあたりだったなぁとか思い出し顔から火が出そうになる。
「あのね!類君!私は真面目に考えていたのに君はね!?」
「いや、ははは、一応、僕も男なので、その、すいません!!」
お説教してやろうと逃げ出した類君を中澤くんが戻ってくるまで追いかけ続けるのであった。
話を聞いて一番最初に思ったことはこれだった。
自分の彼氏に振られたのを人のせいにしたのもムカつくし、それに嫉妬していじめに走ったのもムカつくが、なにより最後に業者の人まで巻き込み追い詰めたのがムカついた。
「こんな話でしたが、どうでしょう?男に犯されそうになるっていう気持ちの悪い話ですし、もし無理だと感じたら振ってくれても構いません」
その言葉にさらにムカついて我慢出来ず
「類君、ちょっと歯を食いしばろうか?」
「は?」
思いっきりビンタを浴びせてやった。
「いったいなぁ!なにするんですか!」
「なにするんですかじゃないよ!君は私が、私達がその程度で離れるように見えていたのか!?」
「だ、だって気持ち悪いじゃないですか!顔が女みたいだっていうだけでこんなことになるやつなんて!」
「知るか!私の彼氏を侮辱するな!私はその顔も含めて君が好きなのに、それまで否定するのか君は!」
「それはっ…でも、だって、怖いんですよ!人によってああいうやつもいるって分かってしまうと、誰がどう自分を見てるか怖くて仕方ないんです!」
「じゃあ、なんで今私にそんな話をしたの!」
「っ…!蓮さん、なら、信用出来る…って、離れないかもって思って…!」
「なら、もっと信用していいんだよ。私だけじゃなく、絵里だってそんなことじゃ離れないし、中澤くんなら二度とそんなことがないように守ってくれるかもしれないよ?だから、せめて私達だけでも信用して」
堪えきれず涙を流しながら類君は告白する。意地の悪い言い方をしたと自分でも思う。でもそれでも、もっと信じて欲しかった。振られるかもしれないなんて、怯えて欲しくなかった。
そりゃ悪い人だっているだろうし、考え付かないようなことをする人だっているだろう。でも、そんな人達と一緒にしないで、信じて欲しかった。
「あっ……あり、がとう、ございま…す、それに、それに…ごめっ…なさ…い!」
泣きじゃくる類君を抱き締め背中をあやす様に叩く。
「ん、辛かったね。これからはもっと頼っていいんだよ」
「はいっ…」
それからしばらく類君は泣いたままだった。随分と溜まっていたんだろう、人を信用出来ないというのがどれほど辛いか私には分からない。
でも、ずっと疑い続けるのはきっと辛いことなんだろう、苦しかったんだろう。
そう思うとこちらもつられて泣きそうになるが堪えて類君を抱き締め続けた。
20分ほどそうしていただろうか。呼んだわけでもないが、たまたま中澤くんと絵里もこの場所に訪れた。
「おっと、れんたんが類君をいじめてるー。可愛い男の子を泣かせるなんてダメだよーん?」
「どうしたんすかー?なんかあったんでしょ?俺に出来ることなら手伝いますが」
多分空気を壊すためだろう。軽い感じで話しかけてくる。よくよく気の利く二人だ。
「類君、話せる?」
「はいっ、大丈夫です。ありがとうございます」
訥々と語った類君に対して二人の反応は様々だった。
「そりゃきついわ、俺同じ立場だったら立ち直れねーもん。すげえわお前、でも次そんな目にあったら言えよ、大してなんも出来なくても絶対味方するからな」
中澤くんは普段あれなくせにキメるところはきっちりキメるからずるいと思う。
「そんなことがあったのね、そんでも話してくれたってことはおねいさんたちを信用してくれてるってことなのかなー?多分余計なこと言ってれんたんに引っ叩かれたんだろうし、わたしゃ怒らないし別に離れもしないよーん」
「なんでわかるのさ」
「ほっぺた赤くなってるもん。目元が赤いのは泣いてたからだとしてもほっぺたが赤いのはどう考えてもれんたんのせいでしょ」
絵里はもう探偵にでもなればいいと思う。
「よく見てることで…。でも、言った通りでしょ?」
「はい、三人とも、ありがとう。これこらもよろしくお願いします」
「だが、類、俺はお前に一つ聞かなきゃならないことが出来た」
珍しくシリアスな声で中澤くんが類君を問い詰める。
「なんだよ、中澤」
「柔らかかったか?」
「はっ?」
「柔らかかったかって聞いてんだよ、抱き締められてまさかその感触を堪能しなかったとは言わせんぞ」
「…最高だった」
「かぁぁぁあ!!ずりぃやつ!絵里さん!俺のこともハグしてハグ!出来れば顔を胸のあたりで!」
「宗ちんはブレないねえ。けど、付き合い始めたその日に言ってくるのは感心しないなー、あーあ、体目当てかー別れた方がいっかなー」
「ちょっ、ちょっすいません!そういうんじゃないっす!へへ、あ、ほらなんか買ってきましょうか?ジュースでも甘いものでも!」
「んーじゃあ適当な炭酸飲みたいなぁ、あ、甘いものもいいなぁ、もちろん全員分ね?」
「はい!ただいま!」
一瞬呆然としてしまったが、中澤くんが走っていったあたりで我に返り、そういえば類君の背丈的に抱き締めると胸のあたりだったなぁとか思い出し顔から火が出そうになる。
「あのね!類君!私は真面目に考えていたのに君はね!?」
「いや、ははは、一応、僕も男なので、その、すいません!!」
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