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一章 私立八意学園
デート
しおりを挟む自分には無縁だと思っていたデートなるものに誘われ、挙句初デートはダブルデートとかいうわけのわからない展開について行けないままあれよあれよと日取りが決まり。
気が付いたら当日の朝を迎え、覚悟を決め服を選ぶもちょっとこうヒラヒラしてるというか、自分には似合わないんじゃなかろうかとか悩んでいるうちに約束の時間が近付いていて諦めて最初に選んだ服を着て出発するも時間を少しオーバーしてしまい、初デートで遅刻という彼女にあるまじき失態を見せてしまった。
思いの外誰も責めてこずに首を傾げていると何故か男性陣が喫茶店で奢ってくれるということになった。
喫茶店での軽い食事を終えて目指すは遊園地。
「とりあえず遊園地着いたら何乗ります?」
「いや、そこはもちろんジェットコースターっしょ!」
「ジェットコースターかー、れんたん大丈夫かね?」
「大丈夫だよ!平気平気!」
嘘だ。乗ったことすらない。というか実は遊園地自体初めてだったりする。
乗ってみたいとは思ったことがあるけど、機会に恵まれなかった。
「ふーん、まあれんたんが大丈夫ならわたしゃ問題ナッシングだよん」
「じゃあそれで行きましょう」
内心ビクビクしながら遊園地に入りジェットコースターを見上げてあまりの高さにゾッとする。
え?こんなに高いの?落ちたらどうするの?安全管理は大丈夫なんだろうか?
テレビで見たものよりずっと高く感じてマイナスなことばかりを思い付くが言い切った手前やっぱりやめようなどとは言い出せず、死刑囚のような気分で最後列に並ぶ。
「蓮さんやっぱり怖いんじゃ?」
「こ、怖くないよ!大丈夫大丈夫!こんなのなんてことないよ!」
なぜここで見栄を張るのか。それがわからない。
ポンコヅカと呼ばれることは少なくなったがきっとこういうところなんだろうなと自分で変に納得してしまった。
そして15分ほど待ったところで自分の番が来た。来てしまった。
ベルトをしっかり装着し何度も外れないか確認する。本当に大丈夫なんだろうか、外れたら真っ逆さまで間違いなく死ぬ。自分でもわかるほどに顔から血の気が引くのがわかった。
隣に座っている類君の手を思わず握り締めると苦笑いを浮かべ「無理しなければいいのに」と言われるがもはや返す余裕もなかった。
ゴトンッと揺れて動き始めてしまった。上にあがって行くだけで心臓がばくばくする。これ落ちる時心臓止まるんじゃないかと自分で心配になってしまう。
「蓮さん、もし無理なら手握ったままでいいですからね」
もう言われなくても離すことができそうにもなかったが、言われて少し安心する。も、つかの間。真っ逆さまに落ちて行くような感覚と共にジェットコースターは爽快に走り出した。
だが、案外始まってみると気持ちのいいもので、もちろん怖さはあったがスリルというレベルで、酷い悲鳴をあげるような失態は出さずに済んだ。
終わる頃にはまた乗ってみたいと思うくらいには楽しめていた。
「意外と平気そうでしたね、最初はどうなるかと思いましたが」
「初めてだったんだから仕方ないだろー!」
「うぇ!?蓮さん初めてだったんすか!?」
「あー、そういえばうちの中学って修学旅行の時遊園地とか行かなかったもんねー」
「でも、乗ってみたら楽しかったよ、また今度みんなで来ようね!」
「蓮さん、まだ一個目に乗っただけですよ。その言葉はまだ早いですって」
だって、それくらい気持ちよかったんだもの、いいじゃないか。
「そうそう、はじまったばっかだよん。そんじゃ次はどこいくー?」
そう、今日はまだ始まったばかりなのだ。次はどんな面白いモノに乗るんだろう。
初めてだったこともありすっかり浮かれ気分の私はニコニコと着いていくのであった。
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