あの日

きついマン

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1話

上の空

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 夏も半ば、まだまだ暑い日差しが校舎を焼いている。

 「え~、ここの公式は…」

 静かな教室に、先生の声が響く。今は5限目。1日の中で一番眠くなる時間帯だと俺は思っている。しかも、授業科目は数学。

 まるで呪文のようにも聞こえる先生の言葉に、クラス内の何人かがやられてしまっている。つい先ほど、前の席の拓人もやられてしまった。

 そんな閑散とした教室で、俺はずっと外を見ていた。

 あの子は一体誰なんだろう。

 夏の日のシーンを思い出しながら、物思いに耽る。

 「じゃあ、今日はここまで。」

 耽るだけ耽っていると、いつの間にか授業が終わりの時間になっていた。就業のチャイムがなった。

 「うーん、疲れたな…まだ6限もあるのか。」

 俺は背伸びをしながら、6限を嘆いた。

 「そうだぞ明宏。その6限が終わるまでお前はギターにさわれないのだ。」

 「お前もベースさわれねえぞ、拓人。」

 いつの間にか起きていた拓人。
 拓人とは中学からの付き合いで、好きなバンドが一緒で仲良くなった。

 「くっそ~、早く練習したいんだよな。また、『can't』が新曲出したんだよ。その曲をコピーしたくてな。」

 「また『can't』かよ、好きだなーほんと。」

 「お前も好きだろうが!」

 『can't』とは、明宏と拓人が仲良くなるきっかけになったバンドで、若者に人気のバンドだ。

 「拓人、あとで合わせてみようぜ!」

 「いいぜ、だがそのためにはあとドラムとボーカルを用意しないとな!部活内で俺らだけだぜ、まだバンド組んでないの。」

 部活内で、俺たちだけバンドが組めていないでいる。
 
 「しょうがないだろ!いないもんは!」

 拓人とたわいもない話をしていると、
 
 「はーい、席に着きなさい。授業始めるわよ。」

 「おっと先生だ。なんでもいいが早くメンバー見つけてくれよ?明宏。」

 先生が教室に入って来た。6限目が始まる。

 「わかってるよ…」

 そう呟き、また俺は物思いに耽る作業に入った。
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