【本編完結】私のツガイが「他の男にも抱かれろ」と言って来るので戸惑ってます(後日談投稿しました)

天狼本舗

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異世界

25. 転移陣と居場所サーチ魔法(獣人族の集落)

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その後『魔力保有量限界突破記念!』と称して、ガットとケインにも抱き潰されて。


目が覚めた時、私は裸でふたりに抱きしめられていた。
3人で一緒にシていたワケではないのに、おかしいな。

「「父さん、母さん、そろそろご飯にしよう~」」

そう言って部屋に飛び込んで来たのは、すっかり大きくなったノワールとビアンカ。
生まれてからまだ半年ほどしか経っていないのに、見た目はもう17歳ぐらいまで育ってる。

獣人族の成長は早くて、半年ほどで一気に大人になるけど、そこからの成長及び老化はひどくゆっくりとしたものになるらしい。
親の欲目、と笑われるかもしれないけれど、ふたりとも美男美女なので、なんだかすぐに孫を連れて来そう(冗談じゃなく)。

思えば妊娠してから出産、育児を終えた現在。
経過したのは、まだ9ヶ月ばかり。人間で言えば、まもなく臨月を迎える程度の時間しか過ぎていないと言うのに。
獣人族の子供に関わる期間って、ホントにあっという間なのね。・・・しんみり。


それにしても、両親3人が裸で抱き合ってるのを見ても(見られても)誰ひとり動じないのは、この世界の感覚故、なのかと苦笑してしまう。
子供たちに急かされて、私たちはすぐに“浄化“と“着衣“魔法で身なりを整えて、近くの食堂へと向かった。




「リサ。匂うね」

まったりとした時間を過ごしていたある日、いきなりガットにそう言われた。

「え? 臭う? ちゃんと朝、“浄化“魔法をかけたのに」

「僕も感じてた。・・・リサ、そろそろ次の発情期が来るね」

「えっ?」

「どうする? また俺たちの子供を産んでくれても良いんだけど?」

「リサはどうしたいの?」

急なお知らせに、私は一瞬フリーズした。




どうしたい? どうしたい??
このままここで、獣人族と暮らすのも悪くない。擬似ツガイたちは優しくて甘いし。
でも、でも。

魔力保有量がようやく限界を突破した今、私は本当のツガイであるオウガに逢いたい。
オウガに、
逢いたかった。


「オウガに、逢いたい」

「そうだよね~」

眉根を下げて、ケインが笑った。

「本当のツガイ、ですしね」

ガットも寂しそうに微笑む。
でも・・・

「でもね、昨日オウガにメッセージを送ったら、オウガは今、エイリーへのだ、って・・・。以前の奉仕ではエイリーは妊娠出来なくて、今回は再チャレンジ中なんだ、って書いてあった」

「あー、そうか~」

「そのエイリーって人の発情期、まだ終わってないのかな」

「身体の相性にもよるし、分かんないよな」

「なら、とりあえず“居場所サーチ“魔法で見てみたら良いんじゃないでしょうか?」

「“居場所サーチ“魔法?」

「リサはまだ習ってないのですか? じゃぁ、僕が教えてあげましょうか」

「じゃあ、俺は“転移陣の発動の仕方“を教えてやるよ。リサ、まだ習ってないだろ?」

そんなこんなで、私はふたりから新しい魔法を教わることになった。




「じゃあ、まずは転移陣からな」

転移陣は、自分の周りに大きな光の円をイメージする。
その円を、行きたい場所に繋げる、とイメージする。光のパイプで繋げるように。

「でも、これだけでは発動しなくて・・・」

次に自分を光のドームで“シールドする“とイメージする。
このシールドにより、転移中や転移後の障害や不測の事態から護られる。自動的に、転移しても問題ない場所へと転移するポイントが選定される。
この“シールド“は、ケインが知る限り“防御“魔法の最上級魔法である。

「これを一緒にイメージ出来ると、発動するんだ。最初は慣れなくて手間取るけど、慣れるとあっという間に転移出来るようになるよ。
まずは何回か練習してみようか」

そう言うケインに腰を抱かれ、「気になるから」と言って貼り付いてきたガットの分も併せて、大きめの円をイメージする。

「まずは、行き先を“テロークの噴水広場“にしてみようか」

テロークの街の噴水広場を思い出す。
モルタルで作られたような質感を持つ家々。その窓辺に飾られていたお花。噴水広場を囲むカフェや飲食店。

そして、最上級の防護魔法、“シールド“で3人を囲む。
そして、転移。

そうイメージした瞬間、足元から浮き上がった光の輪が取り囲み・・・。
その光の粒子が霧散したときには、私たちはテロークの噴水広場に立っていた。

「わお。リサ、凄い。一度で成功しちゃうなんて、驚きです」

ガットが目を丸くした。

「さすが、我らがリサだ。じゃ、次は俺たちの集落の、あのエントランスのテラスへ転移してみようか」

言われて、初めて私が降り立った、あの獣人族の集落の入り口を思い出す。
白い岩。海辺の崖。幅広の足場、もとい、テラス。大きな穴のような、エントランス。
そして、シールド。
最後に、転移。

再度光の粒子が円形に私たちを囲み、霧散したときには岩場のエントランスの前に立っていた。

「完璧」

ケインが大きな口を開けて笑った。





「じゃあ、次は“居場所サーチ“魔法です。
これは一度でも身体を繋げたことがある人のことのみサーチ出来る魔法なので・・・、ここはやはり、オウガの居場所をサーチしてみましょうか」

まず私の体内に残るオウガの魔力に意識を向ける。
オウガの魔力の色などの特徴を思い出して、見つけてみる。

オウガの魔力は、温かくて七色で。
・・・オークのみんなも七色だから見分けにくい。でも、オウガの色は目と同じ青い色が強く出ていて・・・。

「あ、あった」

オウガの魔力は、ひときわ澄んだ青色を纏わせながら輝いていた。

相手の魔力を見つけたら、今度は意識を360度、全方向に向けてサーチをかける。
何処かにある、オウガの魔力を探す感じで。
体の中にあるオウガの魔力と、外に視えた魔力が共鳴したら、それがオウガの居る場所・・・。

「あ、視えた」

この集落から見てかなり南の方に、オウガの魔力があるのが視えた。
そしてそれは、確かに私の中の魔力と共鳴するように揺らいでいる。
ただし、そこには白い色が混じっていた。

そのことを伝えると、ガットは苦笑いした。

「他の色が混じっているのは、他の誰かの・・・、この場合、白い魔力を持つ誰かの発情期に付き合ってる時、ですね。まだエイリーの発情期中みたいですね」

「そうなんだ・・・」

「ちなみに、そうやってサーチした相手の元へ転移することも可能だからな。・・・まぁ、勿論、発情期中のとこに跳ぶのは止めといたほうが良いけど」

「ですよねぇ・・・」

「だけど、一応オウガにメッセージを入れたら良いんじゃないですか? “次の発情期が来そうです“って。そうしたら、終わり次第何かアクションを起こしてくれるんじゃないかな?」

「リサ。“発情期が来そうだ“だけじゃなくて、“オウガに逢いたい“ってのも、ちゃんと書いとけよ。ちゃんと伝えなきゃ、伝わらないぞ?」

「うん、そうだね。そうしてみる。ありがとう」

私はふたりまとめてハグした後、早速オウガにメッセージを送った。


『オウガ、お取り込み中にごめんなさい。私、次の発情期が来そうなの。オウガ、あなたに逢いたいです。今、すごく、逢いたいです』




その後、魔法の話とか、神殿の話をしながら3人で午後のティータイムを楽しんでいると。

突然部屋の中に、オウガが現れた。
オウガ、なんだけど。
何よりも私の目には、オウガの身体の中にまっすぐ、すっくと立ち上がる、白い眩い光が目に入った。私と全く同じ、白い光が。

「リサ・・・」

「オウガ・・・」

およそ9ヶ月ぶりの再会で。
私たちは手に手を取って、ただただお互いを見つめあった。

「・・・リサ。魔力保有量が、とうとう限界まで達したんだね」

「・・・オウガ。あなたの中に、私と同じ光が視える。・・・これが、ツガイの証なのね」

「うん、そうだよ。リサにも、視えるようになったんだね」

「うん・・・」

そうして私たちは、しっかりとハグした。


「あーぁ、これが本当のツガイ、なんだねぇ」

「羨ましいですねぇ」

茶化すように話し始めたケインとガットの声が聞こえて、私たちは苦笑いしながら身体を離す。

「お別れの時、かな」

「しばしのお別れ、ですね」

「子離れ、じゃなくて親離れかぁ」

いつの間にかノワールとビアンカも来ていて、オウガと握手をしている。

「可愛い子たちだね。さすがリサの子供」

そう感想を漏らすオウガに、

「俺たちの子でもあるけどな」

とケインがニヤリと笑って見せる。

「そうそう。神殿ではいつでも奉仕活動の人材に困ってるようなので、獣人族からも行ってもらえたら嬉しいです。オレはもう、懲り懲りなんで」

「そう言えば、エイリーはどうしたの? もう発情期は終わったの?」

「いや、途中だったんだけど、グランを呼び出して代わりに置いて来たよ。今頃嬉々として奉仕してるんじゃないかな」

「あー、なるほど。オウガにそっくりのグランなら、その女性ひとも抵抗が少ないかもね」

「うん。ふたりの魔力量も同じぐらいだし、今度こそ彼女も妊娠出来ると思うよ。・・・って、最初からそうしとけば・・・、いや、意識があるときに言っても頷かなさそうだったしなぁ。まぁ、これが最善だったんだよな。・・・ありがとう、リサ。呼んでくれて」



「これ、みんなへのお土産です」

そう言って、オウガからみんなへと、大量のガラスプレートがプレゼントされた。
この集落ではまだまだ数が少ない品だったので、ものすごく喜ばれ、そしてその日の夜はそのガラスプレートを大いに活用しての夕食となった。



そうして食事を終えて、ケインやガット、キリーや子供達との別れも済んで、私たちは森の家へと転移した。
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