26 / 28
異世界
26. 終章
しおりを挟む
久しぶりに帰って来た森の家で。
私はすぐにオウガに押し倒された。
ううん、私がオウガを押し倒したかもしれない。
とにかく、ふたり揃ってベッドに倒れ込んで。
“鍵“魔法なんてとっくに解除していたから、あっさり脱がされて、あちこち手と唇を這わされて。
「どうしたの? いつものオウガじゃないみたい。余裕ない、って感じ」
「だって、久々のセックスだから」
「セックスなら、数時間前までエイリーとしてたでしょ?」
「リサ、それイヤミ? ・・・確かにしてたけど、全然楽しくないし、あんまり興奮出来なかったんだよね、エイリーが相手だと。
・・・いや、エイリーだけじゃなく。誰を相手にしても、今ひとつその気になれなかったんだ。・・・勿論、相手のフェロモンに巻かれれるからセックスは出来るし、お世話も甲斐甲斐しく出来るんだけど」
「何かが違うの?」
「リサも離れてる間、いろんな男に抱かれたんだよね? リサには分からないかな? ツガイとの違いが」
「ちゃんとツガイと認識して抱き合ったこと、まだ無いし」
「あぁ、そうか。じゃあ、やっぱりまずは抱かないとだな。・・・うん、とにかく今のオレに余裕がないのは確かだよ? 覚悟してね」
そう言うと、再びオウガは私の身体を一気に堪能し始めた。
這わされる手、指、唇、舌。そして擦れ合う肌。
私の身体を知り尽くしているオウガが、あらゆる手管で私を官能の渦に引き込む。多分媚薬も盛られてる。
肌を合わせただけでも揺らいでいた身体の中心のまばゆい光が、そうして快感を引き出されてイくたびに明るさを激しくする。
そのときに得られるのは、快感を超えた幸福感。満たされる満足感。そして安心感。
最後の魔力融合で感じたのは、光の粒子になって世界と、宇宙と一体化したかのような、果てしない幸福であり安心であり充足感。
他の人とのセックスでは、決して味わえない一体感であり幸福感だった。
「リサ、何か分かった?」
何度か魔力融合を起こして、例えようのない満足感に満たされた後、ようやく落ち着いたオウガが私に訊いてきた。
「うん。・・・とんでもない、幸せな感覚。表現出来ないほどの、満たされた感覚だった」
「うん、そんな感じ。・・・これはさ、他の女性相手じゃぁ、絶対得られないんだよね」
「そう言いながら、オウガ。私には他の男性と抱かれるように何度も勧めたクセに」
「そのおかげで、魔力保有量が限界突破したでしょ? ・・・この後抱いたら、今度こそ発情期に突入するけど、大丈夫?」
「大丈夫、って? 何が?」
「双子を産み育て終えたばかりのところ悪いけど、今度こそオレとの子供を孕んで、産み育てて欲しいんだけど?」
とろりと目を細めて見つめてくるオウガの首に、私は両手を回して抱きついて。
涙をこぼしながら「もちろんよ」と答えた。
いつもの発情期の際には理性も記憶もトばして抱かれていたけど、今回の発情期はちょっと違った。
理性はトんだけど、記憶はトばなかった。
トばない代わりに、光の粒子になって世界や宇宙を漂うような、不思議な感覚の中を漂った。
それはオウガも同じだったようで、途中からはただ身体を繋げて抱き合ったまま、不思議な世界の中でずうっと揺蕩っていたとのこと。
食事も取らずにそんなふうに何時間も過ごしていたにも関わらず、ふと現実に意識が引き戻されても、空腹感は感じなかったのだからホントに不思議。
そうして1週間の発情期を終えた時、私は願い叶ってオウガの子を身籠っていた。
オークの血を受け継いでいるとは言え、オークの妊娠期間も人間とほぼ同じとのことで、妊娠期間の10ヶ月余りをテロークの街でオウガの親族に世話されながら過ごした後、私はオウガ似の男の子、フォルトを出産した。
オウガは驚くほど子煩悩で、嬉々としてフォルトの世話をしてくれた。
オウガの親族たちも何故かベビーラッシュで、みんなで赤ちゃんたちを育ててくれた。
やがて成人したフォルトは、導かれるようにチェントレの神殿に住まうようになる。
そしてそこで、父親譲りの魔術と調整師の高い技術を、遺憾無く発揮する。
フォルトが独り立ちした後の私たちは、またふたりであちこち旅をした。
2週間旅を続けたら、1ヶ月森の家でまったりと過ごす。
歳を重ねるにつれ、旅のペースは“1週間の旅の後に1ヶ月の休息“、と、だんだん短くなって来ている。
随分前に、イルザとロッカは天寿を全うした。
亡くなる前に、オウガはイルザから“魔力を生体機能に回す“魔法を伝授されたらしい。
私たちもかつてのイルザとロッカのように、見た目はそのままで歳を重ねることになる。
獣人族はヒトやオークよりも短命な為、ノアールとビアンカも既にかなりの高齢。そして、孫やひ孫に囲まれている。
あれからマヴェーラ大陸では全土に渡ってオークや獣人族との交配が進み、見た目も多種多様になった。
“結婚“とか“カレカノ“と言う縛りのないこの世界の慣習に始めこそ戸惑ったけど、今ではその気楽さを私もすっかり受け入れている。
実際私たちも、あれ以来何度も調整師として他人と身体を繋げたし、気が向けばツガイ以外の人とセックスすることもあった。
それは単なる“プレジャー“で、そこに違和感も罪悪感も無い。
だけど、やっぱりツガイとの交わりが、一番刺激的で、幸せで、充足感が得られる。
それを何度もオウガとふたりで確認する、その幸せ。
元の世界で私は不幸な最期を迎えたけれど、そのおかげでこちらの世界に来れた、とも言える。
全てはなるようになっている、その不思議。
この先、この世界がどんなふうに変わっていくのかを、私たちは譲り受けたイルザの家と森の家を拠点にしながら見つめていこうと思う。
終
∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました <(_ _)>
そのうち気が向いたら、作中に出てきた他の登場人物の後日譚なども書いてみたいと思います (^^)
私はすぐにオウガに押し倒された。
ううん、私がオウガを押し倒したかもしれない。
とにかく、ふたり揃ってベッドに倒れ込んで。
“鍵“魔法なんてとっくに解除していたから、あっさり脱がされて、あちこち手と唇を這わされて。
「どうしたの? いつものオウガじゃないみたい。余裕ない、って感じ」
「だって、久々のセックスだから」
「セックスなら、数時間前までエイリーとしてたでしょ?」
「リサ、それイヤミ? ・・・確かにしてたけど、全然楽しくないし、あんまり興奮出来なかったんだよね、エイリーが相手だと。
・・・いや、エイリーだけじゃなく。誰を相手にしても、今ひとつその気になれなかったんだ。・・・勿論、相手のフェロモンに巻かれれるからセックスは出来るし、お世話も甲斐甲斐しく出来るんだけど」
「何かが違うの?」
「リサも離れてる間、いろんな男に抱かれたんだよね? リサには分からないかな? ツガイとの違いが」
「ちゃんとツガイと認識して抱き合ったこと、まだ無いし」
「あぁ、そうか。じゃあ、やっぱりまずは抱かないとだな。・・・うん、とにかく今のオレに余裕がないのは確かだよ? 覚悟してね」
そう言うと、再びオウガは私の身体を一気に堪能し始めた。
這わされる手、指、唇、舌。そして擦れ合う肌。
私の身体を知り尽くしているオウガが、あらゆる手管で私を官能の渦に引き込む。多分媚薬も盛られてる。
肌を合わせただけでも揺らいでいた身体の中心のまばゆい光が、そうして快感を引き出されてイくたびに明るさを激しくする。
そのときに得られるのは、快感を超えた幸福感。満たされる満足感。そして安心感。
最後の魔力融合で感じたのは、光の粒子になって世界と、宇宙と一体化したかのような、果てしない幸福であり安心であり充足感。
他の人とのセックスでは、決して味わえない一体感であり幸福感だった。
「リサ、何か分かった?」
何度か魔力融合を起こして、例えようのない満足感に満たされた後、ようやく落ち着いたオウガが私に訊いてきた。
「うん。・・・とんでもない、幸せな感覚。表現出来ないほどの、満たされた感覚だった」
「うん、そんな感じ。・・・これはさ、他の女性相手じゃぁ、絶対得られないんだよね」
「そう言いながら、オウガ。私には他の男性と抱かれるように何度も勧めたクセに」
「そのおかげで、魔力保有量が限界突破したでしょ? ・・・この後抱いたら、今度こそ発情期に突入するけど、大丈夫?」
「大丈夫、って? 何が?」
「双子を産み育て終えたばかりのところ悪いけど、今度こそオレとの子供を孕んで、産み育てて欲しいんだけど?」
とろりと目を細めて見つめてくるオウガの首に、私は両手を回して抱きついて。
涙をこぼしながら「もちろんよ」と答えた。
いつもの発情期の際には理性も記憶もトばして抱かれていたけど、今回の発情期はちょっと違った。
理性はトんだけど、記憶はトばなかった。
トばない代わりに、光の粒子になって世界や宇宙を漂うような、不思議な感覚の中を漂った。
それはオウガも同じだったようで、途中からはただ身体を繋げて抱き合ったまま、不思議な世界の中でずうっと揺蕩っていたとのこと。
食事も取らずにそんなふうに何時間も過ごしていたにも関わらず、ふと現実に意識が引き戻されても、空腹感は感じなかったのだからホントに不思議。
そうして1週間の発情期を終えた時、私は願い叶ってオウガの子を身籠っていた。
オークの血を受け継いでいるとは言え、オークの妊娠期間も人間とほぼ同じとのことで、妊娠期間の10ヶ月余りをテロークの街でオウガの親族に世話されながら過ごした後、私はオウガ似の男の子、フォルトを出産した。
オウガは驚くほど子煩悩で、嬉々としてフォルトの世話をしてくれた。
オウガの親族たちも何故かベビーラッシュで、みんなで赤ちゃんたちを育ててくれた。
やがて成人したフォルトは、導かれるようにチェントレの神殿に住まうようになる。
そしてそこで、父親譲りの魔術と調整師の高い技術を、遺憾無く発揮する。
フォルトが独り立ちした後の私たちは、またふたりであちこち旅をした。
2週間旅を続けたら、1ヶ月森の家でまったりと過ごす。
歳を重ねるにつれ、旅のペースは“1週間の旅の後に1ヶ月の休息“、と、だんだん短くなって来ている。
随分前に、イルザとロッカは天寿を全うした。
亡くなる前に、オウガはイルザから“魔力を生体機能に回す“魔法を伝授されたらしい。
私たちもかつてのイルザとロッカのように、見た目はそのままで歳を重ねることになる。
獣人族はヒトやオークよりも短命な為、ノアールとビアンカも既にかなりの高齢。そして、孫やひ孫に囲まれている。
あれからマヴェーラ大陸では全土に渡ってオークや獣人族との交配が進み、見た目も多種多様になった。
“結婚“とか“カレカノ“と言う縛りのないこの世界の慣習に始めこそ戸惑ったけど、今ではその気楽さを私もすっかり受け入れている。
実際私たちも、あれ以来何度も調整師として他人と身体を繋げたし、気が向けばツガイ以外の人とセックスすることもあった。
それは単なる“プレジャー“で、そこに違和感も罪悪感も無い。
だけど、やっぱりツガイとの交わりが、一番刺激的で、幸せで、充足感が得られる。
それを何度もオウガとふたりで確認する、その幸せ。
元の世界で私は不幸な最期を迎えたけれど、そのおかげでこちらの世界に来れた、とも言える。
全てはなるようになっている、その不思議。
この先、この世界がどんなふうに変わっていくのかを、私たちは譲り受けたイルザの家と森の家を拠点にしながら見つめていこうと思う。
終
∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました <(_ _)>
そのうち気が向いたら、作中に出てきた他の登場人物の後日譚なども書いてみたいと思います (^^)
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした
三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。
書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。
ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。
屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』
ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく――
※他サイトにも掲載
※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる