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それぞれの(後日談)
27. エイリー(チェントレの神殿)
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エイリーは、生まれた時から平均よりも魔力保有量の多い女の子だった。
両親ともにチェントレの神殿で暮らしていて、父は治癒師、母は魔力調整師だったので、成長の過程でその技法を覚えたエイリーは、自然と自身も魔力調整師として活動するようになっていた。
ただ、元より多い魔力保有量に加え、調整師としても熱心に多くの人との交合を続けていたおかげで、気がつけばとんでもなく魔力保有量が多くなっていた。
「そろそろ子供を身籠っても良いんじゃない?」
と、神殿仲間や患者さんにまで助言されたけど、そう言うつもりで発情期を迎えても、この魔力保有量が仇となって妊娠出来ずにいるのだった。
エイリーがそろそろ次の発情期が来るなと思いつつブルーになっていたところ、神殿の中で“発情期パートナーのマッチング“を趣味で行っている巫女のオババが、エイリーを呼び出してこう言った。
「今、神殿に“奉仕活動“に来ている男のうち、特に魔力保有量の多い3人を下に呼んである。あの中からパートナーを選んでごらん」
と。
オババに言われてエイリーが部屋の小窓から下を覗くと、神殿の聖堂の椅子に、3人の体格の良い男たちが座っているのが見えた。
みんな背格好も似ていて、見た感じ大差がない。
なので今度は“魔力の目“で、3人をサーチしてみると・・・。
エイリーは一番左に座っている金髪の男の、その魔力量の圧倒的な多さに驚いた。しかも七色に、まばゆく光り輝いている。
思わず声を失ってその魔力に見惚れていると、不意にその男がこちらを見上げてきて、目が合った。
「あの人・・・。あの、一番左側の男の人にします」
こうしてエイリーはオウガと出会い、自身の発情期のパートナーに選んだのである。
神殿の自分の部屋でエイリーが待っていると、無表情を保ったままのオウガがやって来た。
「初めまして、オレはオウガ。ここに行くように言われて来たんだけど」
「初めまして。私は調整師のエイリー。もうすぐ私の発情期が来るから、あなたにパートナーを務めて欲しいの」
「・・・アンタも分かってると思うけど、オレたち、魔力量が違いすぎるから妊娠は出来ないよ? でも、オレの左に座ってた男なら、アンタを孕ませることが出来ると思う。まだ間に合うと思うから、呼んでこようか?」
淡々とそう言い放つオウガを、エイリーは慌てて引き留めた。
「良いの。あなたが良いの。私、あなたの子供が産みたいの。魔力量が合わなくても、稀に妊娠する女性も居るって聞いたわ。だからお願い。私のパートナーになって」
「・・・無理だと思うけど」
渋るオウガの腕に縋り付いて、更にエイリーは畳みかけた。
「例え今回無理だったとしても、次回の発情期までには魔力保有量を限界まで上げておくから。今回と、今回失敗したら出来れば次回も。お願い、あなたに抱いて欲しいの」
「・・・分かった」
神殿の調整師相手にあまり邪険な態度をとるのもどうかと思ったのか、オウガは渋々頷いた。
「じゃあ、服を脱いで、ベッドに横になって」
偉そうに指示するオウガにエイリーは少しムッとしたけれど、自分から縋ってお願いした手前文句も言えず、大人しく“脱衣“魔法をかけてからベッドに座った。そこで横になろうとして、しかし、着衣のままベッドに乗ってきたオウガを見て、さすがに声を上げた。
「あなたも脱いでよ」
「脱がなくても出来る」
「ただのセックスじゃ無いのよ? これから発情期に入ったら、何日も抱き合うことになるのよ?」
「・・・知ってるよ」
「じゃあ脱いでよ」
エイリーに言われて、オウガはこれまた渋々“脱衣“した。
そこに現れた引き締まった身体に、エイリーは思わず生唾を飲み込む。
「すごい、鍛えてるのね」
思わず手でオウガの筋肉を撫でた。
その手が腹筋をなぞり、更に下へと伸びそうになったところをオウガが捕まえる。
「オマエ、本当に発情期前なのか? ちっともフェロモンが出てないぞ?」
「下腹部に小さな疼きを感じてるから、そう遠く無いはずよ。って、あなたフェロモンが出てるかどうかが分かるの?」
「そりゃあ、アンタの裸を前にしても全然その気にならないってコトは、そういうコトだろう?」
「あなた、本当に失礼ね」
エイリーがプンスカ怒ると、不意にオウガがエイリーの顔を掴んでキスをしてきた。
「時間が勿体無いから、オレが誘発してやるよ」
そう言うと、オウガは肉厚の舌をエイリーの舌にじっとりとなすり付けてきた。
途端に、エイリーの下腹部がズクンと疼き、蜜が滴り始める。
「え? な?・・・ん」
急激な欠乏感に襲われて、エイリーはオウガに縋りつく。
オウガはキスを繰り返し、胸を愛撫しながら、エイリーをベッドに押し倒した。
「あ、あ、あん、・・・ん」
オウガの抱き方は、まるきり“魔力調整“そのものだった。
目元を赤く染めつつも、無表情のまま、じっくりとエイリーの体内魔力を見極め、感じやすいところを狙って抉ってくる。
始めはそんなやり方にムッとしていたエイリーも、オウガのその的確な技術に翻弄され始め。
そうしてオウガが次々と与えてくる快感と魔力融合に溺れているうちに、オウガの宣言通りエイリーは発情期に突入し、とうとう理性と記憶をトばしたのだった。
ふと我に帰ると、エイリーはベッドのヘッドボードに枕を挟んで座らされ、その体勢でオウガから給餌されていた。
他の男たちは、みんな膝に抱いて給餌してくれるのに、つくづくヒドい。
オウガは相変わらず無表情だけれど、エイリーの世話は甲斐甲斐しく行ってくれるので文句も言えなかった。
「オウガ、ナカがまだ疼くの。・・・抱いて?」
ベッドに腰掛け、食器を浄化して“返却“魔法を発動したオウガに、エイリーは身体を擦り寄せた。
“魔力の目“で確認してみても、未だ妊娠の兆候が見られない。
発情期の名残があるうちに、少しでもたくさんオウガに精を注いでもらう必要があった。
オウガは小さくため息を吐くと、エイリーの口の中に舌を差し入れてきて、ねっとりとエイリーの舌を絡め取った。
『態度は冷たいのに、キスだけは情熱的なのよね』
オウガの熱い舌を味わいながら、早くも滴り始めた蜜口に、エイリーは自らの手でオウガの雄茎を導いた。
何度もねだってオウガに抱いてもらったにも関わらず、結局エイリーは妊娠出来なかった。
「だから言ったろ、無理だって」
オウガが呆れたような、困ったような複雑な顔でそう零す。
「次の発情期までには魔力保有量を限界まで上げておくからっ! 絶対次も私のパートナーになってね」
「・・・諦めの悪いヤツ」
そう言い捨てて、オウガは何処へともなく旅立って行った。
それから半年。
エイリーは誰よりも調整師の仕事を多く請け負った。
街にも頻繁に出掛けて、初めて会う相手を選んで身体を繋げた。
おかげで次の発情期を迎える頃には、エイリーの魔力保有量は限界を突破していた。
そこでエイリーは意気揚々と、神殿を通してオウガに呼び出しのメッセージを送った。
しかしオウガからの返答は一切無く・・・。
発情期が間近に迫り、仕方無くエイリーは神殿の他の調整師の男にパートナーを務めてもらった。
しかしその男の魔力量はエイリーよりもかなり低かった為、勿論妊娠には至らず・・・。
エイリーは何度目かの涙を飲むことになったのだった。
数ヶ月後、たまたま神殿にやって来たオウガの親戚と言う男性に出会い、オウガがツガイと出会ったことを知った。
なんでもそのツガイは病を得ていて、オウガが付きっきりで看病しているらしい。
それでは私からの要請なんて無視されても仕方ないかと、かなりガッカリしつつもオウガのことは諦めて、その次の発情期をそのオウガの親戚の男性と過ごした。
彼はかなり魔力量が多い方で、これはいけそうかも?と思えたものの、やはり妊娠には至らなかった。
エイリーは、“もう妊娠は諦めた方が良いのかもしれない“と思い、大きなため息をついた。
それからしばらく経ったある日、エイリーの前にひょっこりとオウガが現れた。
神殿からも、しつこく呼び出しが続いており、とうとう族長に当たる人を通じて呼出勧告が来たため、渋々親戚の男の子を預けに来たついでに顔を出したらしい。
(とは言え、神殿に来てすぐに、ではなく、半年ほどその男の子の教育に時間をかけてからこちらに顔を出したらしい。相変わらず、エイリーのことなど塩対応なオウガなのであった)
「あんた、そろそろ発情期だろ。約束を守ってやるよ。・・・ただし、相手をするのはこれが最後だからな」
そう言って、オウガはいきなりエイリーに濃厚なキスを仕掛けてきた。
オウガの熱い舌をねっとりと擦り付けられると、まるで条件反射のように蜜口が濡れてヒクつき始める。エイリーはオウガに文句を言うのも忘れて脱衣魔法を自分に施すと、一死纏わぬその身体をオウガに擦り寄せた。
発情期まではまだ軽く1週間はあったはずなのに、エイリーは今回も程無く発情期の渦の中へと身を投じていた。
ふと意識が浮上すると、エイリーはオウガの膝の上に座らされて、甲斐甲斐しく給餌を受けていた。
口元がソースや果汁で濡れるたびに、ぺろりと舌で舐めとってくれる。エイリーを見つめるその目元は、うっとりと濡れていて、まるでエイリーのことが愛しくて愛しくて仕方がないと語っているかのようである。
前回の時とは全く様子の違うそんなオウガに、エイリーは違和感を覚えた。
そう言えば、いつの間にか筋肉ダルマになってる。
そう言えば、前に給餌してくれてた時は、ちゃんと服を着てたのに、今は全裸のままだ。
そう言えば、なんだか身体のパーツの何もかもがデカいし、そして口元からは、前には無かったキバが見えていて・・・
「あなた誰?!」
思わず鋭くエイリーが尋ねると、男はニコニコと眉尻を下げながら答えた。
「俺はグラン。オウガの従兄だ。あんたは覚えてねーと思うけど、あんたの発情期の真っ最中に、オウガから俺にメッセージが来てさ。『今すぐにツガイの元に帰りたいから、代わってくれ』って頼まれたから、来たんだ」
悪びれもせずにそう言うグランに、エイリーは唖然とした。
「交代、した?・・・ですって?」
通常女性側が発情期の波に飲まれると、パートナーの男性側も疑似ツガイと化してその熱に飲まれる。
中途半端なところで頭が覚醒することなど、まず無い。・・・と聞いているのに・・・。
「ま、あのオウガだからな。しかもツガイからの“逢いたいコール“があったとなれば、当然一気に冷静になったんだろうさ」
なんだかもう、怒る気にもなれなくて、エイリーはがっくりと頭を垂れてため息をついた。
そんなエイリーのあごを太い指で優しくすくい上げると、グランがそっとキスをして、ペロリとエイリーの唇を舐めた。
「まぁ、それはともかく。オウガから聞いてるよ。あんた、妊娠したいんだろう?俺の魔力を視てみたか? 俺たち、結構相性良いと思うぞ」
言われてグランの身体の中を視てみると、確かにそこには、オウガほどの量ではないものの、溢れるほどの優しい七色の魔力があった。
そう言えば、自分がオウガを選んだのは、この七色の魔力に惹かれたからだったな、とエイリーはふと思い出した。
「あんたが覚醒するまでに、もう何度も射しちゃったから、もしかしたらもうあんたの願いは叶っちゃってるかもしれないけど・・・。でも、まだ発情期は完全には終わってないだろ? 今度はちゃんと、俺に、“オウガ“ではなく“グランに“抱かれてる、って意識しながら抱かれろよ」
ニヤリと笑いながらそう言うと、グランは手に持っていた皿やカトラリーを机に置き、そっとエイリーをベッドに寝かせて、静かにのしかかってきた。
目が覚めた時からエイリーは気がついていたけれど、グランのアレは、最初っからずっと臨戦体制だった。もう、一刻も待ちきれないと言ったところか。
グランの肉厚な舌で己の舌を性急に愛撫されながら、エイリーはそっと目を閉じた。
発情期が完全に終わるまで、否、終わってからもしばらく、ふたりは飽くことなく交わり続けた。
結果、見事にエイリーは妊娠した。
妊娠期間中は魔力調整士としての仕事は休みになり、エイリーは神殿の中にある自室で、日々をゆったりと過ごしていた。その隣には、いつでも甲斐甲斐しく彼女の世話を焼くグランの姿があった。
やがて臨月を迎えて彼女が無事に玉のような女の子を出産した後も、まるで腕の中に囲うようにしてグランはエイリーと娘の面倒を見続けた。
その後の発情期も全てグランに任せた結果、ふたりは次々と魔力量たっぷりの子供たちを授かることになる。
結局、エイリーが魔力調整士に戻ることは2度と無かったと言う。
∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞
久しぶりの投稿です (^^;
本編は完結済みですが、話中に出てきた登場人物のその後の物語は、私の頭の中で動いています。
少しずつ、気が向いた時にでも書き溜めて、投稿して行きたいなと思っています。(^^)>
両親ともにチェントレの神殿で暮らしていて、父は治癒師、母は魔力調整師だったので、成長の過程でその技法を覚えたエイリーは、自然と自身も魔力調整師として活動するようになっていた。
ただ、元より多い魔力保有量に加え、調整師としても熱心に多くの人との交合を続けていたおかげで、気がつけばとんでもなく魔力保有量が多くなっていた。
「そろそろ子供を身籠っても良いんじゃない?」
と、神殿仲間や患者さんにまで助言されたけど、そう言うつもりで発情期を迎えても、この魔力保有量が仇となって妊娠出来ずにいるのだった。
エイリーがそろそろ次の発情期が来るなと思いつつブルーになっていたところ、神殿の中で“発情期パートナーのマッチング“を趣味で行っている巫女のオババが、エイリーを呼び出してこう言った。
「今、神殿に“奉仕活動“に来ている男のうち、特に魔力保有量の多い3人を下に呼んである。あの中からパートナーを選んでごらん」
と。
オババに言われてエイリーが部屋の小窓から下を覗くと、神殿の聖堂の椅子に、3人の体格の良い男たちが座っているのが見えた。
みんな背格好も似ていて、見た感じ大差がない。
なので今度は“魔力の目“で、3人をサーチしてみると・・・。
エイリーは一番左に座っている金髪の男の、その魔力量の圧倒的な多さに驚いた。しかも七色に、まばゆく光り輝いている。
思わず声を失ってその魔力に見惚れていると、不意にその男がこちらを見上げてきて、目が合った。
「あの人・・・。あの、一番左側の男の人にします」
こうしてエイリーはオウガと出会い、自身の発情期のパートナーに選んだのである。
神殿の自分の部屋でエイリーが待っていると、無表情を保ったままのオウガがやって来た。
「初めまして、オレはオウガ。ここに行くように言われて来たんだけど」
「初めまして。私は調整師のエイリー。もうすぐ私の発情期が来るから、あなたにパートナーを務めて欲しいの」
「・・・アンタも分かってると思うけど、オレたち、魔力量が違いすぎるから妊娠は出来ないよ? でも、オレの左に座ってた男なら、アンタを孕ませることが出来ると思う。まだ間に合うと思うから、呼んでこようか?」
淡々とそう言い放つオウガを、エイリーは慌てて引き留めた。
「良いの。あなたが良いの。私、あなたの子供が産みたいの。魔力量が合わなくても、稀に妊娠する女性も居るって聞いたわ。だからお願い。私のパートナーになって」
「・・・無理だと思うけど」
渋るオウガの腕に縋り付いて、更にエイリーは畳みかけた。
「例え今回無理だったとしても、次回の発情期までには魔力保有量を限界まで上げておくから。今回と、今回失敗したら出来れば次回も。お願い、あなたに抱いて欲しいの」
「・・・分かった」
神殿の調整師相手にあまり邪険な態度をとるのもどうかと思ったのか、オウガは渋々頷いた。
「じゃあ、服を脱いで、ベッドに横になって」
偉そうに指示するオウガにエイリーは少しムッとしたけれど、自分から縋ってお願いした手前文句も言えず、大人しく“脱衣“魔法をかけてからベッドに座った。そこで横になろうとして、しかし、着衣のままベッドに乗ってきたオウガを見て、さすがに声を上げた。
「あなたも脱いでよ」
「脱がなくても出来る」
「ただのセックスじゃ無いのよ? これから発情期に入ったら、何日も抱き合うことになるのよ?」
「・・・知ってるよ」
「じゃあ脱いでよ」
エイリーに言われて、オウガはこれまた渋々“脱衣“した。
そこに現れた引き締まった身体に、エイリーは思わず生唾を飲み込む。
「すごい、鍛えてるのね」
思わず手でオウガの筋肉を撫でた。
その手が腹筋をなぞり、更に下へと伸びそうになったところをオウガが捕まえる。
「オマエ、本当に発情期前なのか? ちっともフェロモンが出てないぞ?」
「下腹部に小さな疼きを感じてるから、そう遠く無いはずよ。って、あなたフェロモンが出てるかどうかが分かるの?」
「そりゃあ、アンタの裸を前にしても全然その気にならないってコトは、そういうコトだろう?」
「あなた、本当に失礼ね」
エイリーがプンスカ怒ると、不意にオウガがエイリーの顔を掴んでキスをしてきた。
「時間が勿体無いから、オレが誘発してやるよ」
そう言うと、オウガは肉厚の舌をエイリーの舌にじっとりとなすり付けてきた。
途端に、エイリーの下腹部がズクンと疼き、蜜が滴り始める。
「え? な?・・・ん」
急激な欠乏感に襲われて、エイリーはオウガに縋りつく。
オウガはキスを繰り返し、胸を愛撫しながら、エイリーをベッドに押し倒した。
「あ、あ、あん、・・・ん」
オウガの抱き方は、まるきり“魔力調整“そのものだった。
目元を赤く染めつつも、無表情のまま、じっくりとエイリーの体内魔力を見極め、感じやすいところを狙って抉ってくる。
始めはそんなやり方にムッとしていたエイリーも、オウガのその的確な技術に翻弄され始め。
そうしてオウガが次々と与えてくる快感と魔力融合に溺れているうちに、オウガの宣言通りエイリーは発情期に突入し、とうとう理性と記憶をトばしたのだった。
ふと我に帰ると、エイリーはベッドのヘッドボードに枕を挟んで座らされ、その体勢でオウガから給餌されていた。
他の男たちは、みんな膝に抱いて給餌してくれるのに、つくづくヒドい。
オウガは相変わらず無表情だけれど、エイリーの世話は甲斐甲斐しく行ってくれるので文句も言えなかった。
「オウガ、ナカがまだ疼くの。・・・抱いて?」
ベッドに腰掛け、食器を浄化して“返却“魔法を発動したオウガに、エイリーは身体を擦り寄せた。
“魔力の目“で確認してみても、未だ妊娠の兆候が見られない。
発情期の名残があるうちに、少しでもたくさんオウガに精を注いでもらう必要があった。
オウガは小さくため息を吐くと、エイリーの口の中に舌を差し入れてきて、ねっとりとエイリーの舌を絡め取った。
『態度は冷たいのに、キスだけは情熱的なのよね』
オウガの熱い舌を味わいながら、早くも滴り始めた蜜口に、エイリーは自らの手でオウガの雄茎を導いた。
何度もねだってオウガに抱いてもらったにも関わらず、結局エイリーは妊娠出来なかった。
「だから言ったろ、無理だって」
オウガが呆れたような、困ったような複雑な顔でそう零す。
「次の発情期までには魔力保有量を限界まで上げておくからっ! 絶対次も私のパートナーになってね」
「・・・諦めの悪いヤツ」
そう言い捨てて、オウガは何処へともなく旅立って行った。
それから半年。
エイリーは誰よりも調整師の仕事を多く請け負った。
街にも頻繁に出掛けて、初めて会う相手を選んで身体を繋げた。
おかげで次の発情期を迎える頃には、エイリーの魔力保有量は限界を突破していた。
そこでエイリーは意気揚々と、神殿を通してオウガに呼び出しのメッセージを送った。
しかしオウガからの返答は一切無く・・・。
発情期が間近に迫り、仕方無くエイリーは神殿の他の調整師の男にパートナーを務めてもらった。
しかしその男の魔力量はエイリーよりもかなり低かった為、勿論妊娠には至らず・・・。
エイリーは何度目かの涙を飲むことになったのだった。
数ヶ月後、たまたま神殿にやって来たオウガの親戚と言う男性に出会い、オウガがツガイと出会ったことを知った。
なんでもそのツガイは病を得ていて、オウガが付きっきりで看病しているらしい。
それでは私からの要請なんて無視されても仕方ないかと、かなりガッカリしつつもオウガのことは諦めて、その次の発情期をそのオウガの親戚の男性と過ごした。
彼はかなり魔力量が多い方で、これはいけそうかも?と思えたものの、やはり妊娠には至らなかった。
エイリーは、“もう妊娠は諦めた方が良いのかもしれない“と思い、大きなため息をついた。
それからしばらく経ったある日、エイリーの前にひょっこりとオウガが現れた。
神殿からも、しつこく呼び出しが続いており、とうとう族長に当たる人を通じて呼出勧告が来たため、渋々親戚の男の子を預けに来たついでに顔を出したらしい。
(とは言え、神殿に来てすぐに、ではなく、半年ほどその男の子の教育に時間をかけてからこちらに顔を出したらしい。相変わらず、エイリーのことなど塩対応なオウガなのであった)
「あんた、そろそろ発情期だろ。約束を守ってやるよ。・・・ただし、相手をするのはこれが最後だからな」
そう言って、オウガはいきなりエイリーに濃厚なキスを仕掛けてきた。
オウガの熱い舌をねっとりと擦り付けられると、まるで条件反射のように蜜口が濡れてヒクつき始める。エイリーはオウガに文句を言うのも忘れて脱衣魔法を自分に施すと、一死纏わぬその身体をオウガに擦り寄せた。
発情期まではまだ軽く1週間はあったはずなのに、エイリーは今回も程無く発情期の渦の中へと身を投じていた。
ふと意識が浮上すると、エイリーはオウガの膝の上に座らされて、甲斐甲斐しく給餌を受けていた。
口元がソースや果汁で濡れるたびに、ぺろりと舌で舐めとってくれる。エイリーを見つめるその目元は、うっとりと濡れていて、まるでエイリーのことが愛しくて愛しくて仕方がないと語っているかのようである。
前回の時とは全く様子の違うそんなオウガに、エイリーは違和感を覚えた。
そう言えば、いつの間にか筋肉ダルマになってる。
そう言えば、前に給餌してくれてた時は、ちゃんと服を着てたのに、今は全裸のままだ。
そう言えば、なんだか身体のパーツの何もかもがデカいし、そして口元からは、前には無かったキバが見えていて・・・
「あなた誰?!」
思わず鋭くエイリーが尋ねると、男はニコニコと眉尻を下げながら答えた。
「俺はグラン。オウガの従兄だ。あんたは覚えてねーと思うけど、あんたの発情期の真っ最中に、オウガから俺にメッセージが来てさ。『今すぐにツガイの元に帰りたいから、代わってくれ』って頼まれたから、来たんだ」
悪びれもせずにそう言うグランに、エイリーは唖然とした。
「交代、した?・・・ですって?」
通常女性側が発情期の波に飲まれると、パートナーの男性側も疑似ツガイと化してその熱に飲まれる。
中途半端なところで頭が覚醒することなど、まず無い。・・・と聞いているのに・・・。
「ま、あのオウガだからな。しかもツガイからの“逢いたいコール“があったとなれば、当然一気に冷静になったんだろうさ」
なんだかもう、怒る気にもなれなくて、エイリーはがっくりと頭を垂れてため息をついた。
そんなエイリーのあごを太い指で優しくすくい上げると、グランがそっとキスをして、ペロリとエイリーの唇を舐めた。
「まぁ、それはともかく。オウガから聞いてるよ。あんた、妊娠したいんだろう?俺の魔力を視てみたか? 俺たち、結構相性良いと思うぞ」
言われてグランの身体の中を視てみると、確かにそこには、オウガほどの量ではないものの、溢れるほどの優しい七色の魔力があった。
そう言えば、自分がオウガを選んだのは、この七色の魔力に惹かれたからだったな、とエイリーはふと思い出した。
「あんたが覚醒するまでに、もう何度も射しちゃったから、もしかしたらもうあんたの願いは叶っちゃってるかもしれないけど・・・。でも、まだ発情期は完全には終わってないだろ? 今度はちゃんと、俺に、“オウガ“ではなく“グランに“抱かれてる、って意識しながら抱かれろよ」
ニヤリと笑いながらそう言うと、グランは手に持っていた皿やカトラリーを机に置き、そっとエイリーをベッドに寝かせて、静かにのしかかってきた。
目が覚めた時からエイリーは気がついていたけれど、グランのアレは、最初っからずっと臨戦体制だった。もう、一刻も待ちきれないと言ったところか。
グランの肉厚な舌で己の舌を性急に愛撫されながら、エイリーはそっと目を閉じた。
発情期が完全に終わるまで、否、終わってからもしばらく、ふたりは飽くことなく交わり続けた。
結果、見事にエイリーは妊娠した。
妊娠期間中は魔力調整士としての仕事は休みになり、エイリーは神殿の中にある自室で、日々をゆったりと過ごしていた。その隣には、いつでも甲斐甲斐しく彼女の世話を焼くグランの姿があった。
やがて臨月を迎えて彼女が無事に玉のような女の子を出産した後も、まるで腕の中に囲うようにしてグランはエイリーと娘の面倒を見続けた。
その後の発情期も全てグランに任せた結果、ふたりは次々と魔力量たっぷりの子供たちを授かることになる。
結局、エイリーが魔力調整士に戻ることは2度と無かったと言う。
∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞
久しぶりの投稿です (^^;
本編は完結済みですが、話中に出てきた登場人物のその後の物語は、私の頭の中で動いています。
少しずつ、気が向いた時にでも書き溜めて、投稿して行きたいなと思っています。(^^)>
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彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
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