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17 警戒アラーム ※
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∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞
「今、俺たち、巣ごもり中、なんだ。 ・・・ありがとう。アリーシャの、おかげで、俺、治った、みたいで」
見せつけるように腰を揺らしながら、軽く息を切らしつつ嬉しそうにそう報告するティレルに、
「あっ、そう。良かったね。
・・・ところで私、この街を出ることにしたから。じゃあね」
そう言い捨てて扉をバターンと閉めると、私はそのままティレルの家を後にした。
もともと自分の持ち物はいつも全部マジックバッグにしまっていたから、荷造りの必要すら無かった。
私の名前を呼ぶティレルの声が聞こえたような気がしたけど、そんなの絶対気のせいに決まってる。
気のせいじゃなくたって、絶対、二度と戻りはしないし。
当てもなく、ただ何となく歩き続けながら・・・。
ポルトガルドに来てからの、ここ3ヶ月足らずのことを思い返していた。
もともと同情からそう言う仲になったワケだし、「私だけだ」と縋ってくるティレルに絆されて一緒に居ただけ、でもあった。
もともとティレルが不能だったのは、疲れが溜まっていたせいが大きいんじゃないかと思う。そこに私が現れて、店を手伝うようになったから負担が減って、前ほど疲れなくなって。
私が回復魔法を付与したお菓子を、口にしていたのも大きいかもしれない。
私と関係を持てたことで、男としての自信も取り戻せていたのだろうし。
何にせよ、ティレルが他の女の人を抱けるようになって良かった。
これでようやく、お役目御免、なのだ。お守りから無事解放されたのだ。
そう考えているうちに、どうしても止められなかった涙がポロッとひとつ、頬を転がり落ちた。
結局、所詮ティレルもこの世界の人間だ、と言うことなのだ。
「私だけ」にしか勃たなかったのが、他の女性でも出来るとなれば、フリーセックスに戻るのは当たり前。
ティレルの行動を、心のどこかで“裏切り“と感じてしまうのは、私が前世の記憶を持つせい。
この世界の常識に慣れたつもりではいたけれど、私ってまだまだ「私だけ」と言うパワーワードに振り回されてるんだなぁ、と気がついて、私は苦笑いした。
ツラい思い出は思い返せば思い返すほど、傷つけられた時の記憶をトレースすればするほど、ますます傷は深くなる。
その時その場で実際に受けた以上の傷になってしまう。
だから過去は振り返らない。思い返さない。傷をなぞらない。
今、何をすべきかを考える。
それが、嫌なこと、悲しいことから立ち直る、最短の方法。
私は悲劇のヒロインぶって、悲しみに浸り続けたいワケじゃない。
だから“起きたこと“ではなく、まずは“今この瞬間に五感に感じる様々なこと“に意識を向けることで、過去を振り返りそうになる思考をコントロールするよう心がけた。
そうすると、何処からか魚を焼く美味しそうな匂いが漂ってきて・・・。
匂いに惹かれて一番街外れの飲食店の前まで来たときに、そう言えばまだ昼食を食べてなかったと気がついて、そこで食事を摂ることにした。
なんだかんだ言っても、食欲はしっかり有った。笑える。
出された焼き魚定食を食べながら、魔法付与のことだとか、ポルトノルドで買ったお土産のことだとか、ポルトノルドで扱った宝石級の紫水晶鉱石のことだとか、とりとめとなく考えていた時。
紫繋がりで、久しぶりにヴィーオのことを思い出した。
ヴィーオが誰かと巣ごもりしていることに気づいて待つのを止め、ファロヴェストを出てからそろそろ3ヶ月ほどが経とうとしている。
さすがにヴィーオの巣ごもりも終わっているだろう。
彼は今、一体どこに居るのだろう??
あ、コレを使えば、ティレルの行動にもっと早く気がつけたんじゃ? とちょっと思ったけど、もはやそれはどうでも良くて。
ホントに単なる思い付きと好奇心から、私は久々にサーチの魔法を使ってみることにした。
まずは自分の中のヴィーオの魔力を探る。
ヴィーオとの巣ごもりからはもう既に5ヶ月は経っているけれど、まだ私の中にヴィーオの魔力は残っていた。
ただそれはもう、ホントにホントに小さくなっていて、うっかりすると視落としそうなほどに弱まっていた。
その魔力を捉えながら、今度は全方向をサーチしてみる。
まずは前に視えた北のあたりから・・・。
驚いた。
あれから何ヶ月も経つと言うのに、相変わらずヴィーオの魔力はそこに留まり続けて居た。
前に見えた赤い魔力は見えないけれど、本体であるヴィーオの紫色の魔力が私の中に残る彼の魔力と共鳴して、小さく、弱々しく、微かに揺らいでいた。
・・・何かがおかしい。
私の脳内に、警戒アラームが鳴り響いた、気がした。
∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞・∞⌘∞
「今、俺たち、巣ごもり中、なんだ。 ・・・ありがとう。アリーシャの、おかげで、俺、治った、みたいで」
見せつけるように腰を揺らしながら、軽く息を切らしつつ嬉しそうにそう報告するティレルに、
「あっ、そう。良かったね。
・・・ところで私、この街を出ることにしたから。じゃあね」
そう言い捨てて扉をバターンと閉めると、私はそのままティレルの家を後にした。
もともと自分の持ち物はいつも全部マジックバッグにしまっていたから、荷造りの必要すら無かった。
私の名前を呼ぶティレルの声が聞こえたような気がしたけど、そんなの絶対気のせいに決まってる。
気のせいじゃなくたって、絶対、二度と戻りはしないし。
当てもなく、ただ何となく歩き続けながら・・・。
ポルトガルドに来てからの、ここ3ヶ月足らずのことを思い返していた。
もともと同情からそう言う仲になったワケだし、「私だけだ」と縋ってくるティレルに絆されて一緒に居ただけ、でもあった。
もともとティレルが不能だったのは、疲れが溜まっていたせいが大きいんじゃないかと思う。そこに私が現れて、店を手伝うようになったから負担が減って、前ほど疲れなくなって。
私が回復魔法を付与したお菓子を、口にしていたのも大きいかもしれない。
私と関係を持てたことで、男としての自信も取り戻せていたのだろうし。
何にせよ、ティレルが他の女の人を抱けるようになって良かった。
これでようやく、お役目御免、なのだ。お守りから無事解放されたのだ。
そう考えているうちに、どうしても止められなかった涙がポロッとひとつ、頬を転がり落ちた。
結局、所詮ティレルもこの世界の人間だ、と言うことなのだ。
「私だけ」にしか勃たなかったのが、他の女性でも出来るとなれば、フリーセックスに戻るのは当たり前。
ティレルの行動を、心のどこかで“裏切り“と感じてしまうのは、私が前世の記憶を持つせい。
この世界の常識に慣れたつもりではいたけれど、私ってまだまだ「私だけ」と言うパワーワードに振り回されてるんだなぁ、と気がついて、私は苦笑いした。
ツラい思い出は思い返せば思い返すほど、傷つけられた時の記憶をトレースすればするほど、ますます傷は深くなる。
その時その場で実際に受けた以上の傷になってしまう。
だから過去は振り返らない。思い返さない。傷をなぞらない。
今、何をすべきかを考える。
それが、嫌なこと、悲しいことから立ち直る、最短の方法。
私は悲劇のヒロインぶって、悲しみに浸り続けたいワケじゃない。
だから“起きたこと“ではなく、まずは“今この瞬間に五感に感じる様々なこと“に意識を向けることで、過去を振り返りそうになる思考をコントロールするよう心がけた。
そうすると、何処からか魚を焼く美味しそうな匂いが漂ってきて・・・。
匂いに惹かれて一番街外れの飲食店の前まで来たときに、そう言えばまだ昼食を食べてなかったと気がついて、そこで食事を摂ることにした。
なんだかんだ言っても、食欲はしっかり有った。笑える。
出された焼き魚定食を食べながら、魔法付与のことだとか、ポルトノルドで買ったお土産のことだとか、ポルトノルドで扱った宝石級の紫水晶鉱石のことだとか、とりとめとなく考えていた時。
紫繋がりで、久しぶりにヴィーオのことを思い出した。
ヴィーオが誰かと巣ごもりしていることに気づいて待つのを止め、ファロヴェストを出てからそろそろ3ヶ月ほどが経とうとしている。
さすがにヴィーオの巣ごもりも終わっているだろう。
彼は今、一体どこに居るのだろう??
あ、コレを使えば、ティレルの行動にもっと早く気がつけたんじゃ? とちょっと思ったけど、もはやそれはどうでも良くて。
ホントに単なる思い付きと好奇心から、私は久々にサーチの魔法を使ってみることにした。
まずは自分の中のヴィーオの魔力を探る。
ヴィーオとの巣ごもりからはもう既に5ヶ月は経っているけれど、まだ私の中にヴィーオの魔力は残っていた。
ただそれはもう、ホントにホントに小さくなっていて、うっかりすると視落としそうなほどに弱まっていた。
その魔力を捉えながら、今度は全方向をサーチしてみる。
まずは前に視えた北のあたりから・・・。
驚いた。
あれから何ヶ月も経つと言うのに、相変わらずヴィーオの魔力はそこに留まり続けて居た。
前に見えた赤い魔力は見えないけれど、本体であるヴィーオの紫色の魔力が私の中に残る彼の魔力と共鳴して、小さく、弱々しく、微かに揺らいでいた。
・・・何かがおかしい。
私の脳内に、警戒アラームが鳴り響いた、気がした。
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