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ツンデレ炸裂!
しおりを挟む可愛くねー。何なのコイツ?そんなに嫌なら他の人と変わってくれ。母さんには異性の専任の講師がついてるのに、何故に俺にはコイツなの?俺にも美人な講師をつけてくれ。
お願い誰か助けてー。
ヘルプ ミー。
「痛いですわ!何回も同じ所をミスしないで下さいませ。」
・・・・・。
全くちょっと引っ掛かっただけじゃん。ほいほいくるりんとねっと。
ケリッ…。
あっやべぇ…。
またやっちまった。
「・・・。魔王討伐の際は、素晴らしく勇敢でしたのに…。何故機敏に動けないのでしょうか?」
いてぇ…。だからって足つねるなよ。そんなに大きく回れる訳無いだろうが!俺はスケート選手じゃねぇんだよ!何で俺がこんな事を…。
向こうで母さんがクルクル回ってる。うわっと飛んでるよ。相手は誰だ?良く支えられるな?重くないのか?
「勇者様?コンパスの長さが違うのです。流石にあれをしろとは言いません。私も落とされては嫌ですからね。」
・・・・・。
ああ言えばこう言う…。全く可愛いげの無い奴だな。しかも然り気無く貶めやがって。何がコンパスが短いだ!俺も頼まれても嫌だわ。今回は母さんの為だ!母さんのお相手を吟味しに行くのだ!
「勇者様!聞こえてますの?」
・・・・・。
「ダンスに集中してます。だから聞こえてません。すみません。」
「まあ!その様なもの言いでは、何方もダンスのお誘いなんてして下さいませんよ!」
「ああ。俺は別に良いから。壁の花ならぬ、石像にでも絵画にでもなってるわ。」
「我国の勇者様がそれでは困るのです!わっ…私が物好きだと…言われてしまいます…わ…。」
ん?何を言われるって?さっきから言われまくってるのは俺じゃん。何だか帰りたくなって来たよ。父さんに変わって貰っちゃ駄目かね
「だったら父さんに…「ダメです!」…。」
「なら母さんと…「余計にダメです!」…。」
ダメだし2連発。容赦ねぇ。
「お父様は宰相の代理で出席します。正式に披露されましたので、勿論ご夫婦で同伴されます。お母様の同伴は父がつとめます。王家バックアップの、素敵な出会いの邪魔をするのですか?本当に仕方無い方ですわね。お相手が居ないのならば、私が誘って差し上げても…い…いたぁーい!!」
「うわー!ごめーん。もろ踏んじゃった。ヒール!回復かけたけど大丈夫?」
・・・・・。
「回復しても、感じた痛みは消えませんわ!」
・・・・・。
ケンケン煩いのだ。
あ!マリーちゃん出席するのかな?確か伯爵家だと言ってた。貴族なのに飾らなくて可愛いんだよな。彼女となら踊りたいかも。良し!会場で会ったら誘ってみよう。
「勇者様!聞いてますの?私が踊って差し上げますと言っているのです!」
・・・・・。
姫様はなぁ…。本番でも文句言われるのは嫌だ。
「ねぇ。ダンスのお誘いって、相手に婚約者とか居たら不味いの?」
伯爵家なら居るかもしれないよな。料理教室に通うくらいだし。
「まあ。そんな基本も知りませんのね。婚約者やパートナーが居る場合は、ファーストダンスはその方と。以降は自由ですわ。但し3曲続けて同じ方と踊った場合は、私はこの方以外とは踊りませんと言う意思表示になります。因みに私には婚約者はおりませんわ。心配要りませんことよ。」
別にそこは心配してない。でも姫様なのに、何故婚約者が居ないんだろ?
まあ関係ないけど。
ふーん。成る程ね。ならファーストダンスは母さんと踊って、以降は異性と居ない人を探せば良い訳か。
ん?パートナーは異性だけか?ワンコの事も有るからな。
「パートナーが同姓の場合も同じか?公認はされてても、正式に結婚は出来ないんだよな?」
聞いてビックリ。同姓のパートナーの場合は、男性の場合は同色のポケットチーフを胸元に。女性の場合は、同じ花飾りを胸元に飾る。お誘いは男女同様で、続けて3曲踊らなければ可能。また目印が有るからと、異性が誘ってはいけないと言うマナーはない。
・・・・・。
「ゆっ勇者様まさか…。」
何で姫様はいきなり黙りこんだんだ?何がまさかなんだよ?ハッキリと言えよ。不気味だな。
「・・・。確かに勇者様でしたら、筋肉マッチョの方々にはオモテになるでしょう。しかし…。良いのですか?」
え?何が良いの?何でマッチョ?嫌だよ。モテなくてよいけど?全くモテなくて結構です!
「我が国での同姓婚は、多重婚扱いになります。主になる方は同姓を迎える代わりに、必ず正式な妻か夫を持たねばならない。こちらは勿論異性です。つまり同姓のパートナーは、妾扱いです。そして妾側は多重婚出来ぬ為、生涯己の子を持てません。因みに妾は養えれば何人でも娶れます。」
・・・・・。
何それ。めちゃ権力者に調子良すぎじゃん。つまり後継ぎが必要だから、政略でも良いから異性と結婚しろと。他に養えるなら、男女構わず妾可能。同姓なら子が出来ず、後継者争いなどが起きぬから奨励する。まあここまではムカつくけど我慢しよう。昔の日本もそうだったしな。
しかし何故妾側は多重婚禁止なの?養われてるから?まあそれもムカつくけど別に良いや。俺には関係ないし、世界が違うんだ。常識の違いも認めよう。しかししかしだ!
何故俺を妾側だと決めつける?姫様?その辺を詳しく聞きたいんだか?
「おーい。祐太郎ー。練習どう?」
「別に普通だよ。」
「聖母様は筋が良いと講師が誉めてましたわ。それに引き換え勇者様は…。しかも同姓に興味を…。私情けないですわ。そんなに私には、女性としての魅力が無いのでしょうか?」
姫様が両手をギュッと胸元で握りしめてる。ウルウル目で俺を見ている。確かに可愛い。可愛いんだよな。しかし性格がキツいんだよ。でもって次期王様ってのがな。俺には無理だよ。
「祐太郎?そう言えばね。お兄様が見付かったそうよ。でもお兄様が王様になるのは無理でしょうね。だけど先の事は解らないわ。姫様だってまだ14才。早くても結婚まで後2年有る。そうカリカリしないの。色々お話してみたら良いじゃない。若いんだからね!」
はあ…。でも…。
え?姫様のお兄さんって見付かったの?ワンコがお兄様?彼奴は王兄だろ?正確には叔父だが、成長を止められショタにされた。その後逃走するまで、姫様のお兄さんとして城に住んでいた。あー!確かそんな事言ってたね。つまりワンコが姫様の言ってた兄で、王様もっ言ってた王兄なのね。
でもあのワンコが王様?
「ワン王はあり得ない。」
「そうね。呪いが解けても嫌ね。」
「「「・・・・・。」」」
*****
来週末の突然の晩餐会と舞踏会の参加要請。俺は堅苦しいのは嫌いだ。しかし母さんは出たいと言う。王様から頼まれてしまったそうだ。
実はワンコに魔法と言う呪いをかけた魔法使い。その魔法使いが隠れ住み、自殺をしたと言う森が我国と隣国の境に位置している。因みにこの隣国は、ダンジョンの有る隣国では無い。その森が最近騒がしい。逆に湖は静かだ。
森は国境に帯の様に伸び、伸びる長さは30キロ程。幅は少し短い位との事。その真ん中辺りに、古に女神が降臨したと言うシンディ湖が有る。魔法使いはここに住んでいた。
「シンデル湖?魚とかが居ないの?魚の住まない湖って何でだっけ?」
「祐太郎…。シンディってのは、女神の名前よ。魚が居ない湖は、硫黄成分が多いとか、塩分濃度の関係とか、鉱物汚染とか色々有るわね。でも全く住まないわけじゃ無いわよ。」
へー。でも何故森が急に騒がしくなったんだ?まあ、その原因を探しに行くんだけどね。
実は最近母さんが、隣国で聖母様だと言われている。聖女様では無いのは何故か?解りきった事を聞くなと叩かれた。己で藪をつつくのは止めよう。
隣国ではかなり長い間、反対側の国と戦争をしていた。数年前に漸く講和が纏まったんだけど、敗戦に近い戦後処理だった。しかもほぼ城まで落とされる直前だった。その為、死者に怪我人が多数。人手不足にも陥り、復興が全く捗らなかった。そんな中囁かれてたのが、救世主たる聖女様の降臨。
母さんは聖女じゃない!と反発したけど、ならば聖母様です!と言い含められちゃってた。母さんも押しに弱いからね。
隣国で母さんが何かをしたのかって?動機はめちゃ不純だが、確かにあれみたら奇跡の聖母様だよな。
ある日母さんが宿泊の常連さんに、隣国ではソバの栽培が盛んだったと聞いたんだ。母さんは色々調べて見たけど、現在輸出する程のソバは作っていないとしか解らない。何故なら己達の食料調達すらままなっていないのだ。
つまり輸入では手に入らない。
はい!我慢できずに母さんが、隣国へ乗り込みました!
勿論俺もついてきましたよ。何されるか恐ろしいからな!結果。定期的にソバ粉を輸入できる様になった。と言うか貢ぎ物だな。
しかし怖い…。隣国の人々はマゾなのか?あれで感謝できるとは…。
【サディスティックな聖女様】
否。結局は結果何だろう。戦争で死に損なった。それが元通り。戦争で受けた傷に比べりゃ、治療の痛みなんて屁のカッパだ。魔王討伐に出た俺でも思う。しかし俺は納得出来ない!
「母さんはサドじゃねえわ!」
敬うならもっとマシな渾名をつけやがれ!
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