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ワンコ再び……いらんわ!
しおりを挟む久々の更新になり、本当に申し訳ございません。他作品の書籍がようやく発売されました。感無量です。読んで戴いている皆さまに感謝しかございません。リアも多忙で中々更新できませんでしたが、他作品も徐々に再開したいと思っています。宜しくお願い致します。
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俺は庭の中心に倒れ込む少女をダッシュし抱える。地面に顔をつく前に確保だ!なんとかギリギリセーフ!さすがに女の子の顔がドロポチャでは可哀相過ぎるだろう。しかしあのままなら確実にドロパックだった。なぜなら湿った畑にもろ、前のめりに膝カックン状態だったからな。
どうやらこの畑には、自動のスプリンクラーが設置されているみたいだ。土が湿り気をおびているのは、これのせいだろう。みたところ魔道具みたいだけど、なぜ急に発動したんだ?
放射状にまかれた水は、家庭菜園らしき中庭の隅々に行き渡っている。突然青々とした新芽が顔をだしのびてゆく。あっという間にたわわに野菜や果物が実りだした。これには母さんも俺もビックリだ。
取りあえず倒れた少女を横にさせようと、抱え直して部屋に運ぶ。先に母さんが整えてくれたベッドに寝かせ、布団をかけた。するとラウエルさんが庭から中へ入ってきた。
「どうやら家の保存の魔法と連動していた様です。私は魔法は専門外なので詳しくはわかりませんが、自宅の扉が開くと家の保存が解除される。家が通常の時を刻み始めると、庭の時も動き出す。庭と家全体に時空停止魔法が使われていますね。中々凄い魔法と魔力です」
それをこんなに小さい少女がしたの?凄いな……実力も魔力もだ……
「でも家庭菜園らしき場所は、解除前から野菜の花なんかが成長しているみたいだけど?放置された感はするけど、時が止まってたならこんなにボウボウになる?」
「術式はあの東屋を中心としています。どうやらあの周囲だけは、完全に停止していない様ですね。多分完全に停止させたら、術式に魔力を供給出来なくなるからでしょう」
……………………難しすぎる……
とにかくこの少女は凄いことは理解できた。でも多分……だってこの世界の人たちは、俺たちよりかなり図体がよい。ワンコのショタ姿が十歳なら、きっとこの子は一桁くらいだよね?
「ラウエルさんからみたら、この子は見た目いくつくらい?」
「………………七歳くらいでしょうか?魔法はこの少女が使用したことに間違いはありません。庭の中心にあたる東谷に密封できるタマゴ型の簡易ベッドがありました。そこに寝ていたのでしょう。東屋の床には魔方陣が敷かれ、それを中心に高度な魔法が展開していました。しかしあれだけの魔法を、この小さな体で使用、継続させるのは無理です。負荷がかかりすぎ、自分の生命を維持できません。つまり……」
この少女は見た目通りの年齢じゃない!
「わかった!ワンコみたいに、誰かに小さくされたか、自分でしたかだね!」
「それも可能性の一つです。他に魔力を使いすぎて縮むことも有ります。しかしこの少女の年齢が見かけと違うとしても、これだけの魔方陣を発動させ継続させたのが疑問です。もし一人で行ったなら、その魔力は宮廷魔術師以上ですよ」
へえーー。魔力は使いすぎて縮むこともあるんだ?魔力が無くなったら、気絶か死ぬかの二択だと思っていたよ。え?普通はそうなの?
『肉体が作り出す魔力と保有できる魔力量が多いと、節約されたら例外が起こる?常時使用される内包魔力とが一定で、魔力循環が鼬ごっこになる状態が通常。節約されたら例外?』
すみません。意味がまったくわかりません。詳しく……出来ましたらもう少し簡単に……説明をプリーズ。
フムフム……通常の生命維持には、この鼬ごっこの原理が使われてるわけね。放出した魔力を供給する。そして一定に保つ。だから当たり前だが、体のサイズは変わらない。しかし魔力が不足したら補わなければならない。ポーションや魔力供給だな。補えなければ最悪死亡する。しかし元の保有量が多いと、己で魔力をある程度操作できる。通常使用しない肉体に染み込んだ魔力までをも使用し、肉体を疑似冬眠状態にすると?つまりがうーん……?肉体が限界まで縮み、省エネモードになるってかぁ?
ダメだ……俺の頭にはちと難しい……
なら宮廷魔術師たちかよ………………あの変人たちに聞くの疲れるんだよなぁ……確かに魔力はあるけど……少し締め上げてくるか?まさか人体実験とかしてないよな?あの魔法バカ加減が心配すぎる……
「………………祐太朗?魔術師さんたちをいじめちゃダメよ?彼らは研究バカなだけ。正行さんと同じなの。正行さんもよく、何日も研究室から帰らない。あまりにも薄汚くて、何度も職場からの帰りに職務質問されてたの」
親父が変人たちと一緒なの?ならその遺伝子を貰った俺は?
「俺、身なりだけは気をつけるわ」
人間清潔が一番だよ。やはり印象は大切だからな。
なんて話をしていたら、少女がぴくりと身じろぎをした。俺たちは一斉に少女を見つめる。
「……………………ワンダー?ワンダーは?もう五年なの?やっと結婚できるの?ワンダーどこ?」
キョロキョロと周囲を見回す少女。俺たちをみて不思議そうな顔をしている。
「ここは私のお部屋よね?あなたたちは誰?なぜワンダーがいないの?一緒に五年眠ったのよ。起きたら結婚しようと約束したのに!」
ワンダーって誰だ?周囲に誰かいたか?俺は母さんとラウエルさんをみる。しかし二人ともに首をふった。
「私が起きたら結婚しようって!だから私はほぼ一人で魔力を使った!でもなんで?キチンと計算したわ。縮んでも五歳くらいの予定だった……なのになんで?こんなに幼児になってるの……」
己の小さな手の平をみて驚く少女。しかしはてな??ワンダーは一緒に寝ていたの?でも誰もいなかったよ?
「この指輪に誓うって……まさかみんな嘘だったの……やっぱり隣国の姫様との結婚の噂は…………」
とうとう泣き出してしまった。母さんが背中を撫でている。ハンカチを差し出し、吸い飲みをそばにおいた。
「……………………!?」
突然少女が母さんの腕をつかみ、己のそばに引き寄せた。
「これ!これは私の指輪よ!ワンダーが私にくれたの!返して!なぜあなたがしているの?やめて!私に触らないで!ワンダーを出してよ!指輪を返せ!早く外してよ!」
少女が母さんの指から指輪を強引に外そうとする。しかし指環は指から外れない。
「そんな……ならあなたが姫様なの?その指環は本人識別機能つき。正式に結婚すると、契約の形になるから外れないと聞いた。でもワンダーは私にはめてくれたわ。『この指輪の主が決まるまで……目覚めるのを待っている。起きたら教会だ。きっと幸せになれる』そう言ったのになんで!どうしてあなたがその指輪をしているの!」
少女の悲痛な叫びが部屋中を支配する。その叫びに答える様に、隣国の魔の森側から遠吠えが聞こえてきた。空間が震える。庭が家が軋む。まるで少女を中心として、魔の森が共鳴しているみたいだ。これはなぜだ?
俺は魔物の気配を探る。魔物はこちらに敵意を向けてはいない。多分この少女の悲しみに同調しているだけ。魔物は少女の味方なのか?しかしなぜ?少女はどうみても人間だ。
「この指環は私がロイドから貰ったものよ。私たちは結婚したの。ロイドはワンダーじゃない。ロイドは今、この国の王様をしているわ。この指環は王家に代々受け継がれる王妃の指輪なの。あなたは王妃になりたかったの?」
まさか王様がワンダーってことは無いよな?母さんを騙してたなら覚悟しとけよ。まあ多分どう考えても……
「違う!私は王妃の指輪なんて知らない!ワンダーが私のだって!約束の誓いの指輪だって!彼は隣国の姫様との縁談を厭い放浪していた。そんな中出会ったの。ならばほとぼりが覚めるまで二人で寝ていようって……嘘よ……約束したの……よ……」
段々と頼りなく小さくなる声……。落ち着いたら、気持ちも多少収まったのかもしれない。でももし裏切られていたならば……
ワンダーには余り魔力が無い。しかし魔法を起動させ長く維持させるには、どうしても少女の魔力だけでは不足だ。その為寝ている期間の間だけ、無理なく注いで貰う形にした。それが約五年分。その間ワンダーは眠るだけ。他はすべて少女の魔力を使った。なので少女は自力では起きられない。魔力の供給と消費が鼬ごっこを起こしている状態を維持するから。起き出すには全ての術式を解除するか、魔力を多量に貰わなくてはならないそうだ。
「だから約束したの。五年経って先に起きたら、必ず魔力をくれるって。私が起きれば全てが解除される。私は少し縮んではいるかもしれないけど、補給をすれば直ぐに戻るから大丈夫」
なるほど。つまり本当なら五年後にワンダーが起き、少女に魔力を与え起こす。この際少女は多少は縮んでいるかもしれない。しかしそれは想定済み。起こしてくれたワンダーに魔力を貰えば元に戻る。
「でも……私たちが入ってきた時は他に誰もいなかった。これは断言できるわ。あなたのワンダーがどうしていないのかはわからない。でも真実を知りたいわよね?」
母さんが少女にたずねる。
「知りたい!私はワンダーのキスで目覚める様に術を施した。私は起きなければやがて衰弱死する……鼬ごっこににも限界がくる……そのための……キスが鍵だったのに……」
キスが鍵?なら少女はなぜ目を覚ましたんだ?キスなんて…………
「ワンダーは私と五年寝る気なんてなかったのね。あの嘘つき!その指輪よ!私はその指輪の魔力と魔方陣の効能を、あわせて計算して眠ったの。でも外されたから!多分魔力が足りず他で補ったのよ!」
……………………他で……魔力を?
「多分あなたが当初の計算より小さくなった分よね?」
「……………………多分そう……魔方陣が私から勝手に補給したのかしら……でも私はギリギリまで組み込んだ。こんなに縮んでも鼬ごっこが継続したのは奇跡に近いわ!私に魔力が余ってるならまだしも、通常ならエラーになるはず……」
「……………………!!」
「……………………うるさい!どけ!」
なんだ?外か?ラウエルさんと誰だ?
「ふはははは!私は一緒に眠るのを承諾などしてはいない!五年後起こしてくれと言われたから、わざわざ起こしにきてやった!だが起きなかったのは貴様だ!暫く様子を見ていたが全く起きん。食料も無くなり腹は減るし、更には貴様はキスでますます縮まった。そんな変な女を妃になど出来るか!」
「「ワンコ!? 」」
「ワンダー!?なんでそんなにチビなの?貴方は縮まないはず……」
「うるさい!チビでも麗しいだろうが!だが貴様の魔力は役にたたんわ!」
思わず母さんと顔を見合わせる。
「「やはりワンコか!このクズ野郎!」」
母さん。バッチリハモったね。しかしその間にかまえたその拳がジャストヒットだ。ワンコの脇腹に母さんの右ストレートが炸裂した!
「私……の……勇者……ゆ……きえよ……。たっ頼む……まっ……魔力を……く……れ……口づけ……を……」
倒れふし足でグニグニされる姿を晒し、口から出る言葉がそれなの?本当にバカすぎだよ。そんなに死にたいの?なんで勉強できないの?思ったことをそのまま口に出すなよ。
「キチンと義理を立ててお願いしろ!いい歳したオヤジが!それ位も理解出来ないのか?俺だって出来るのに……」
俺の言葉にワンコが吠える!
「なっなにをいう!私はオヤジではない!うるさいわ!私は王族だ!皆ひざまづくのだ!私とキス出来るのだ!棚ぼたではないか!なぜ私がお願いするのだ!」
たしかに見た目はね。でもムカつくーー!
「現実を見ろ!貴様は四十歳をこえた。立派なオヤジで中年だ。魔力をくれというが、もとに戻ればどうなる?オヤジでなければ、ジジイと呼んでやろう。しかも棚ぼただ?皆が貴様に惚れると思うな!この変態ナルシーが!天罰を喰らいやがれ!女の敵!いや、お前は人類の敵だ!まさか次回の魔王は貴様か?なら今のうちに殺るか……よしいくぞ!このくそワンコーー!!」
「……………………痛い……酷い……母さんのバカ…………」
思いきりひっぱたかれた……。
「調子に乗りすぎ。確かに女の敵だけどね。とにかくお茶でも飲んで落ちつきなさい」
………………はっ……既にお茶が……しかも茶菓子つき……母さん有り難う。ふうぅ……。やはり緑茶に餡子は落ち着くよね。そういえばワンコは?
「ぶ……ブハッ!! 」
「なによ?バッチイわね」
ぐるぐる巻きにされ、みのむしのように吊るされていたよ……哀れワンコ……
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本当に、ありがとうございます。
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