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【記念日お礼・Thanks to everyone】
パン屋の息子のアリー観察日記㊤
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※※※※※
【お知らせ】
前半をお届け致します。後編(PM18時更新予定)と同時に、カバー画像をアップ致します。既に見たよ!画像みる環境じゃないよ!などの方は、一番最後はスルー願います。
※※※※※
パン屋の朝は早い。毎朝まだ暗い内から仕込みを始める。美味しいパンは焼き立てが命だと、祖父から店を受け継いだ現店主の父はいう。そのため我が家のパンは、すべてが早朝から仕込まれる。もちろん昨日の持ち越しなどはなく、ホカホカパンが順次に焼かれてゆく。そして当然のごとく、残りが翌日にまわることもない。
魔道具が発達している現在、成型した状態で冷凍保存。販売直前に焼く。なんてこともできる。しかし頑固者の親父はそれを絶対に許さない。『年寄りなんだし少しくらい楽をしてもバチは当たらないだろう』と常々思うが、一度口に出したらキレたので二度とは言わん。
まあ毎日同じことを繰り返しているから、さすがの俺も慣れたもの。親父が生地を仕込み、俺がプレーンなパンを成型する。妹は具材を練り込みながら、色々なパンを成型してゆく。しばらくすると母さんが、発酵した生地を次々と焼き上げてゆく。パンの焼ける匂いが店内にに充満し始めるころ、ようやく外がしらみ始めてくる。
すると数件向こうの角地のお店から、元気な朝の挨拶が聞こえてくる。もちろん俺に挨拶をしてくれている訳ではない。しかし毎朝の元気な声は、一日の活力になっている。
その声を毎朝耳もとで聞けたら……。なんて密かに思っているのは内緒だ。
さて。そろそろ昼までの分は終わりか?ショーケースにもパン台にも、焼き上がったホカホカパンが陳列されている。ウチのパンは朝イチと昼前の二度焼かれる。それらが売り切れたらおしまいだ。頑固な親父が売れ残りを嫌うからな。
あ!保存食の黒パンや乾パンは別だぞ。売り切れても焼き菓子や保存食の販売は定時までしている。
「こら!まだ片付けるな!今日はアリーちゃんとこのも焼くぞ!ヒマワリの種子を沢山採取してきたそうだ。クルミと混ぜて、フンワリとハードの半々だ。 これはいつもの非売品だから、カウンター側に出すなよ!知ってる奴らには、かっさらわれちまうからな!」
…………ああ……もうそんな時期だったな。この時期になると、お得意様のころポックル亭から、大量な注文が入る。先代の時からの注文だ。毎朝の元気な挨拶の、彼女が店主をする食堂だ。若いながらも頑張っている姿に、町の皆が応援している。
【特製クルミパン(ヒマワリの種子いり)】
ころポックル亭で提供されているパンは、全てがウチのパン屋の品だ。アリーちゃんの亡くなった両親の頃からの付き合いで、親父とアリーちゃんの父は互いの腕に惚れあったそうだ。そのためアリーちゃんは、俺の両親の腕を全面的に信頼してくれている。しかしころポックル亭は、不幸な事件により閉店してしまう。だがアリーちゃんは料理人となり、ご両親の味を復活させた。そして店主として、再度親父に試食を持ち仕入れを頼みに来た。親父はまるで再現されたような味と進化した料理に感動していた。現在お店は大繁盛し、既にご両親をも越えていると噂になっている。俺も早く親父に信頼して貰いたい。彼女を見習わなくてはならない。
ヒマワリの種は特に食用とされてなく、栽培されている訳ではない。そのため市場に食料として流通していない。しかしアリーちゃんが採取し鑑定し、パンに混ぜこんでみたいと親父に相談してきた。試行錯誤し胡桃を混ぜこむことにより、ころポックル亭名物の、非売品であるクルミパンが出来上がった。以降大量仕入れの中に加わった。
「あ!忘れてた!おい!ハードとフンワリは通常通りの配合レシピだ。今回はそれと別に黒パンにも混ぜてみてくれ。プラスこれもな!今回からヒマワリと黒パンは、お前に全てを任せる。俺はコッペパンと丸パンだ。アリーちゃんを失望させるなよ!」
親父が袋を投げてきた。中身は小さくカットされた、色とりどりのドライフルーツ……か?
「これ……見慣れない色のが混ざってるけど……「気にするな!」……」
気になるわ!と言いたい口を閉ざし、俺は黙々とパンを作り始めた。
ころポックル亭への納品のパンは、正直かなりの量だ。食堂で提供するパンは、毎朝焼き立てを配送する。その他に一月に二回、大量な保管用のパンを頼まれる。最初は保管用のパンの注文を受ける親父に驚いた。『焼き立てに拘るんじゃないのか? 』親父に聞いても知らぬふり。お前がアリーちゃんに認められたらわかる!その一点ばりだった。『いったいなんなんだよ!』親父は頑なに口を閉ざす。まああのアリーちゃんが、ウチのパンを粗末に扱う訳もない。しかしあの多量のパンをなにに使うんだ?親父はそれすら、教えてはくれなかった。
ふぅ……。今回は黒パンもあったためか、すべてが焼き上がるまでにかなりの時間を要してしまった。さすがに腹が減ったな。しかもいつもとは違う匂いに、鼻のきく冒険者が覗き込んでくる。『ヒマワリの種子が貴重だから、一般には売れないんだよ。悪いな!』と心の中で詫びつつ、『そろそろか? 』と裏口がノックされるのを待つ。
「こんにちはーー。パンを受け取りに来ましたーー!」
扉が開くと同時に聞こえてくる、元気な挨拶。いつものアリーちゃんだ。アリーちゃんは可愛らしい。しかも元気で働きもの。顔を見るとついついドキドキニヤニヤしてしまう。しかも……ついつい目線が下向きになってしまうのは……許してくれ。健全な男ならば仕方ないよな?
「アリーちゃんはいつも元気だね。ご苦労様。今親父を呼んでくるよ」
動揺を隠しながら、親父を呼びに奥へ向かう。
「旦那さんは花屋さんにいましたよ。だからお兄さんで大丈夫です。パンをこのカゴに入れ直して貰ってもよいですか? 」
アリーちゃんと二人で焼き上がったばかりのパンを、どこからか出した巨大なカゴに詰め重ねてゆく。やがて部屋の片隅に、うず高く積み上がったカゴを見て、俺は口がポカンと開いてしまった。このカゴはどこから出てきた?いや、このカゴをどうここから出すんだ?入り口のドアが見えない。まさか一つ毎に運ぶのか?呆然としていたら裏口が開き、親父がドカドカと入ってきた。
「あれ? アリーちゃん来てたのかい? 花屋に配達してたんだ。遅れたなら悪いね。それにパンのカゴ……いいのかい? 」
なにが良いんだ?ここから運び出せないぞ?
「大丈夫ですよ。来るときに花屋さんにいるのを見ましたから!それに親父さんが言ったんじゃないですか!息子も俺を越えたって。だから私も信用します。信用がなければ、商売は成り立ちません」
親父……いつも『まだまだだ!この下手くそが!』と怒鳴ってばかりだけど、内心では俺のことを認めてくれていたんだな。嬉しいよ。
「なんだよ!親父も照れ隠しばかりしないで、たまには本心で俺をほめてくれよ」
ゴイン!ボカッ!
「い……いてててて……酷いな……」
「パン職人としての腕だけわな!他はまだまだだ!今も一つ失敗しとるぞ!換気扇のフィルターは調整したのか?」
「あ!ヤバッ……してない……」
「やはりな。アリーちゃんすまん。外に匂いが漏れとる。明日辺りから、解禁日はまだかと殺到するかもしれないな……」
俺は慌てて外を確認する……こりゃバレバレだわ……。外に匂いを漏れないように、フィルターを調整するのを忘れてた……
「なら明日のテイクアウトの方で販売します。丁度畜産の鶏のお肉をゲットしたんです。アッサリしたお肉なので、スモークしたら特製クルミパンにあいそうです!」
「それは旨そうだな。だが良く畜産の鶏肉なんて手に入ったな。卵を取るのがほとんどで、滅多に肉にはならんだろ?」
へーそうなんだ?肉なんてどれも同じかと思ってたわ……
「隣町の農場で放し飼いをしていたのが、サイレントバッファにやられたんです。結界を敷いたので鶏は無事でした。しかし一部の鶏が超音波を浴びてしまい、体内のバランスを崩したらしいんです。おかげで卵を産まなくなってしまい、残念ですがお肉にされちゃいました」
まあ卵を産まない鶏は、肉にするしかないよな。でも高そうだな。
「超音波による肉への異常は見つからなかったので、私が全て購入してきました!」
「アリーちゃん? かなりの金額になったんじゃないのかい?畜産の鶏肉なんて高級品だぞ……」
「サイレントバッファの討伐には、結界が有効です。結界で誘導し傷を少なくすれば、皮からお肉に爪の先まで全てが高く売れるのです。今回も通常のバリケードの場合の、約三倍近い売却金でした。そのため結界はりのアルバイトは引き手あまたです。売却金によっては、ボーナスもつきますからね。ほぼ私が行くので顔がきくんですよ。今回はボーナス分でチャラにして貰いました!」
ボーナス分でチャラにって……。アリーちゃんはスキル持ちなんだな。しかし結界のアルバイト料はいくらなんだ?知るのが怖いな……。なのにそんなことを気にもしないような、快活な笑顔が飾らなくて可愛いんだよな。
本当に理想の嫁さんだよ。俺もそろそろ本腰いれて口説いてみようか……。しかしただの兄貴くらいにしか思われてなかったらショックだな。
ん? あれ? 山積みのパン入りカゴは、どこにいったんだ?
親父………………なんでそんなに呆れ果てたような顔してるんだよ。まさか帰っちゃったの?慌てて探したらいた!何だよ心配させるなよ。よし。俺も男だ!一発当てるぞー!!
…………だからその顔やめろ!
親父の中では…………俺がフラれるの確定してるのかよ!応援しろよ!!ってあれ?
妹までみてるし……しかもその大きなため息はなんなんだ!覗くなら黙って隠れて見てろ。顔も口もだすな!もちろん手もだぞ!
兄ちゃんだってやると決めたらやるんだーー!!
しかし親父が邪魔だ……なぁ…………
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パン屋の朝は早い。毎朝まだ暗い内から仕込みを始める。美味しいパンは焼き立てが命だと、祖父から店を受け継いだ現店主の父はいう。そのため我が家のパンは、すべてが早朝から仕込まれる。もちろん昨日の持ち越しなどはなく、ホカホカパンが順次に焼かれてゆく。そして当然のごとく、残りが翌日にまわることもない。
魔道具が発達している現在、成型した状態で冷凍保存。販売直前に焼く。なんてこともできる。しかし頑固者の親父はそれを絶対に許さない。『年寄りなんだし少しくらい楽をしてもバチは当たらないだろう』と常々思うが、一度口に出したらキレたので二度とは言わん。
まあ毎日同じことを繰り返しているから、さすがの俺も慣れたもの。親父が生地を仕込み、俺がプレーンなパンを成型する。妹は具材を練り込みながら、色々なパンを成型してゆく。しばらくすると母さんが、発酵した生地を次々と焼き上げてゆく。パンの焼ける匂いが店内にに充満し始めるころ、ようやく外がしらみ始めてくる。
すると数件向こうの角地のお店から、元気な朝の挨拶が聞こえてくる。もちろん俺に挨拶をしてくれている訳ではない。しかし毎朝の元気な声は、一日の活力になっている。
その声を毎朝耳もとで聞けたら……。なんて密かに思っているのは内緒だ。
さて。そろそろ昼までの分は終わりか?ショーケースにもパン台にも、焼き上がったホカホカパンが陳列されている。ウチのパンは朝イチと昼前の二度焼かれる。それらが売り切れたらおしまいだ。頑固な親父が売れ残りを嫌うからな。
あ!保存食の黒パンや乾パンは別だぞ。売り切れても焼き菓子や保存食の販売は定時までしている。
「こら!まだ片付けるな!今日はアリーちゃんとこのも焼くぞ!ヒマワリの種子を沢山採取してきたそうだ。クルミと混ぜて、フンワリとハードの半々だ。 これはいつもの非売品だから、カウンター側に出すなよ!知ってる奴らには、かっさらわれちまうからな!」
…………ああ……もうそんな時期だったな。この時期になると、お得意様のころポックル亭から、大量な注文が入る。先代の時からの注文だ。毎朝の元気な挨拶の、彼女が店主をする食堂だ。若いながらも頑張っている姿に、町の皆が応援している。
【特製クルミパン(ヒマワリの種子いり)】
ころポックル亭で提供されているパンは、全てがウチのパン屋の品だ。アリーちゃんの亡くなった両親の頃からの付き合いで、親父とアリーちゃんの父は互いの腕に惚れあったそうだ。そのためアリーちゃんは、俺の両親の腕を全面的に信頼してくれている。しかしころポックル亭は、不幸な事件により閉店してしまう。だがアリーちゃんは料理人となり、ご両親の味を復活させた。そして店主として、再度親父に試食を持ち仕入れを頼みに来た。親父はまるで再現されたような味と進化した料理に感動していた。現在お店は大繁盛し、既にご両親をも越えていると噂になっている。俺も早く親父に信頼して貰いたい。彼女を見習わなくてはならない。
ヒマワリの種は特に食用とされてなく、栽培されている訳ではない。そのため市場に食料として流通していない。しかしアリーちゃんが採取し鑑定し、パンに混ぜこんでみたいと親父に相談してきた。試行錯誤し胡桃を混ぜこむことにより、ころポックル亭名物の、非売品であるクルミパンが出来上がった。以降大量仕入れの中に加わった。
「あ!忘れてた!おい!ハードとフンワリは通常通りの配合レシピだ。今回はそれと別に黒パンにも混ぜてみてくれ。プラスこれもな!今回からヒマワリと黒パンは、お前に全てを任せる。俺はコッペパンと丸パンだ。アリーちゃんを失望させるなよ!」
親父が袋を投げてきた。中身は小さくカットされた、色とりどりのドライフルーツ……か?
「これ……見慣れない色のが混ざってるけど……「気にするな!」……」
気になるわ!と言いたい口を閉ざし、俺は黙々とパンを作り始めた。
ころポックル亭への納品のパンは、正直かなりの量だ。食堂で提供するパンは、毎朝焼き立てを配送する。その他に一月に二回、大量な保管用のパンを頼まれる。最初は保管用のパンの注文を受ける親父に驚いた。『焼き立てに拘るんじゃないのか? 』親父に聞いても知らぬふり。お前がアリーちゃんに認められたらわかる!その一点ばりだった。『いったいなんなんだよ!』親父は頑なに口を閉ざす。まああのアリーちゃんが、ウチのパンを粗末に扱う訳もない。しかしあの多量のパンをなにに使うんだ?親父はそれすら、教えてはくれなかった。
ふぅ……。今回は黒パンもあったためか、すべてが焼き上がるまでにかなりの時間を要してしまった。さすがに腹が減ったな。しかもいつもとは違う匂いに、鼻のきく冒険者が覗き込んでくる。『ヒマワリの種子が貴重だから、一般には売れないんだよ。悪いな!』と心の中で詫びつつ、『そろそろか? 』と裏口がノックされるのを待つ。
「こんにちはーー。パンを受け取りに来ましたーー!」
扉が開くと同時に聞こえてくる、元気な挨拶。いつものアリーちゃんだ。アリーちゃんは可愛らしい。しかも元気で働きもの。顔を見るとついついドキドキニヤニヤしてしまう。しかも……ついつい目線が下向きになってしまうのは……許してくれ。健全な男ならば仕方ないよな?
「アリーちゃんはいつも元気だね。ご苦労様。今親父を呼んでくるよ」
動揺を隠しながら、親父を呼びに奥へ向かう。
「旦那さんは花屋さんにいましたよ。だからお兄さんで大丈夫です。パンをこのカゴに入れ直して貰ってもよいですか? 」
アリーちゃんと二人で焼き上がったばかりのパンを、どこからか出した巨大なカゴに詰め重ねてゆく。やがて部屋の片隅に、うず高く積み上がったカゴを見て、俺は口がポカンと開いてしまった。このカゴはどこから出てきた?いや、このカゴをどうここから出すんだ?入り口のドアが見えない。まさか一つ毎に運ぶのか?呆然としていたら裏口が開き、親父がドカドカと入ってきた。
「あれ? アリーちゃん来てたのかい? 花屋に配達してたんだ。遅れたなら悪いね。それにパンのカゴ……いいのかい? 」
なにが良いんだ?ここから運び出せないぞ?
「大丈夫ですよ。来るときに花屋さんにいるのを見ましたから!それに親父さんが言ったんじゃないですか!息子も俺を越えたって。だから私も信用します。信用がなければ、商売は成り立ちません」
親父……いつも『まだまだだ!この下手くそが!』と怒鳴ってばかりだけど、内心では俺のことを認めてくれていたんだな。嬉しいよ。
「なんだよ!親父も照れ隠しばかりしないで、たまには本心で俺をほめてくれよ」
ゴイン!ボカッ!
「い……いてててて……酷いな……」
「パン職人としての腕だけわな!他はまだまだだ!今も一つ失敗しとるぞ!換気扇のフィルターは調整したのか?」
「あ!ヤバッ……してない……」
「やはりな。アリーちゃんすまん。外に匂いが漏れとる。明日辺りから、解禁日はまだかと殺到するかもしれないな……」
俺は慌てて外を確認する……こりゃバレバレだわ……。外に匂いを漏れないように、フィルターを調整するのを忘れてた……
「なら明日のテイクアウトの方で販売します。丁度畜産の鶏のお肉をゲットしたんです。アッサリしたお肉なので、スモークしたら特製クルミパンにあいそうです!」
「それは旨そうだな。だが良く畜産の鶏肉なんて手に入ったな。卵を取るのがほとんどで、滅多に肉にはならんだろ?」
へーそうなんだ?肉なんてどれも同じかと思ってたわ……
「隣町の農場で放し飼いをしていたのが、サイレントバッファにやられたんです。結界を敷いたので鶏は無事でした。しかし一部の鶏が超音波を浴びてしまい、体内のバランスを崩したらしいんです。おかげで卵を産まなくなってしまい、残念ですがお肉にされちゃいました」
まあ卵を産まない鶏は、肉にするしかないよな。でも高そうだな。
「超音波による肉への異常は見つからなかったので、私が全て購入してきました!」
「アリーちゃん? かなりの金額になったんじゃないのかい?畜産の鶏肉なんて高級品だぞ……」
「サイレントバッファの討伐には、結界が有効です。結界で誘導し傷を少なくすれば、皮からお肉に爪の先まで全てが高く売れるのです。今回も通常のバリケードの場合の、約三倍近い売却金でした。そのため結界はりのアルバイトは引き手あまたです。売却金によっては、ボーナスもつきますからね。ほぼ私が行くので顔がきくんですよ。今回はボーナス分でチャラにして貰いました!」
ボーナス分でチャラにって……。アリーちゃんはスキル持ちなんだな。しかし結界のアルバイト料はいくらなんだ?知るのが怖いな……。なのにそんなことを気にもしないような、快活な笑顔が飾らなくて可愛いんだよな。
本当に理想の嫁さんだよ。俺もそろそろ本腰いれて口説いてみようか……。しかしただの兄貴くらいにしか思われてなかったらショックだな。
ん? あれ? 山積みのパン入りカゴは、どこにいったんだ?
親父………………なんでそんなに呆れ果てたような顔してるんだよ。まさか帰っちゃったの?慌てて探したらいた!何だよ心配させるなよ。よし。俺も男だ!一発当てるぞー!!
…………だからその顔やめろ!
親父の中では…………俺がフラれるの確定してるのかよ!応援しろよ!!ってあれ?
妹までみてるし……しかもその大きなため息はなんなんだ!覗くなら黙って隠れて見てろ。顔も口もだすな!もちろん手もだぞ!
兄ちゃんだってやると決めたらやるんだーー!!
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